コロナに感染しても無症状なのは若者ばかり、というわけではないことがわかりました。東京都内で1月15日までの2か月半に感染が確認された人のうち、およそ20%は陽性と判明した時点で無症状で、年代別に割合をみると20代や30代より60代以降の年代で高いことが都の調べでわかりました。都の担当者は、「若者だけでなく幅広い年代で無症状でも感染している可能性があることを認識してほしい」と話しています。
東京都内で去年11月から今月15日までの2か月半に感染が確認された5万1848人について都が調べたところ、検査で陽性と判明した時点で無症状だった人は1万315人でした。全体の19.9%で、およそ5人に1人にあたります。
●無症状だった人の年齢別人数
20代と30代が38.9%と、全体の40%近くを占めています。
20代 2262人
30代 1754人
40代 1546人
50代 1304人
60代 742人
70代 587人
80代 441人
●感染が確認された人に占める無症状の割合
若い世代より高齢の世代のほうが無症状だった人の割合が高くなっています。
都の担当者
「無症状の人から感染が広がるのを防ぐことが重要だ。若者だけでなく幅広い年代で無症状でも感染している可能性があることを認識して日ごろから感染防止対策を徹底してほしい」
「特に、関係者の感染がわかった高齢者施設などでは、できるだけ早く検査を実施し、無症状の人も見つけだして感染拡大のリスクを減らしてほしい」
実際に無症状だったという都内の20代の男子大学生が取材に応じてくれました。
この学生は、両親と2人の弟の5人家族で、今月2日に体調に異変を感じた父親がPCR検査を受けたところ、陽性が確認されたということです。
保健所の調査の結果、家族全員が濃厚接触者になり、PCR検査を受けたところ、6日に、自身と母親、それに上の弟が感染していることがわかりました。
感染が判明したものの、この学生は、自宅療養があける今月14日まで、発熱やけん怠感など、まったく症状が出なかったということです。
大学生
「体調は、かかる前もあとも、まったく変わらなかった。家族に症状があり、検査を受けたので自分も陽性が判明しましたが、1人暮らしだったり、家族も無症状だったりしたらわからなかった」
この学生は、年末年始は大学が休みだったこともあり、外出はほとんどしなかったということですが、「学校が休みではなかったら普通に出歩いていた。誰かに感染を広げていたかもしれないと思うと怖かった」と話していました。
おとといから学校に通い始めるなど、家族を含めて日常を取り戻していますが、家では、できる限りマスクを付けるようにしたり、手を拭くタオルを紙に替えたり、全員が毎朝、検温をするなどして、対策を続けているということです。
男子大学生は、無症状の怖さについてこう話します。
「知らないうちに、リスクの高いといわれる高齢者などにうつしてしまうことにあると思います。人とまったく会わないことは難しいと思いますが、常に自分が無症状の感染者かもしれないという思いを持って、行動してほしいと思います」
都内の感染状況について分析している国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、NHKの取材に対して次のように話しています。
■注意点
「無症状でも人にうつるのがこの病気の嫌なところだ。無症状の人からの感染を防いでいかなければこの流行は抑えられない。高齢だろうが、若かろうが、どの世代だろうが、症状がなくてもきちんとマスクをして生活する。3密の場所を避け、避ける自信がなければ出かけないなど対策が必要だ」
■高齢者について
「高齢者は最初は無症状であっても、やがて症状が出て入院が必要なほど悪くなることがある。悪くなる率が高いのも年齢が高い人だ。
これだけ流行すると誰がコロナウイルスをもっていてもおかしくないので、高齢者施設などでは対応のシミュレーションをして準備してほしい」
■都内の感染者数について
「先週と比べると数値は落ち着いているように見えるが、どうなるか読めない。今まで我々が経験してこなかったことがずっと続いていて、状況は変わっていない。油断はできず、変な希望的観測は持てない」