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コロナのクラスター起きた川崎市の病院 課題は症状が治まった「あと」に

  • 2021年1月19日

去年、医師や看護師を中心とした新型コロナウイルスの感染者の集団=クラスターが起きた川崎市の市立多摩病院では、ある課題に直面しました。それは、医師や看護師などの感染が疑われる症状が治まったあと、いつ職場に復帰するのかということでした。
※現在、クラスターは解消しています。

クラスター発生で病院の機能の大部分が停止に

川崎市の市立多摩病院では去年10月、外科の医師の1人が発熱し、2日後に新型コロナウイルスに感染したことが確認されました。外科の医師全員が濃厚接触者となったため自宅待機になり、予定していた手術や新たな入院などはすべて休止しました。

その後、外科だけでなく、小児科の医師、内科系の看護師や研修医など次々に感染する人が出てクラスターが発生し、医療従事者21人と入院患者など合わせて39人が感染しました。

複数の診療科で患者が出たため、病院は院内で感染が広がっている可能性があるとみて、新たな入院患者の受け入れを休止し、救急診療も停止させました。

病院の機能の大部分が停止する中、医師や看護師、入院患者など、1000人近くを検査し陰性を確認していきました。

多摩病院作成の検査結果リスト

入院患者の受け入れを再開できたのは、クラスターが発生してから17日後のことでした。

課題は“症状が治まったあと、いつ現場に復帰するのか”

接点がない医師や看護師の感染が同時に発覚したことで、課題となったのが病院で働く医療従事者への感染の広がりをどう防ぐのかでした。

注目したのは、鼻水や微熱などの疑わしい症状が出て、すぐに治まった場合に現場に復帰するタイミングでした。

病院では、それまで症状が治まって24時間たてば復帰を認めていましたが、新型コロナは症状がなくなったあともウイルスが出ている可能性があると判断し、医療を守る観点からあえて検査で2度、陰性が確認されるまでは復帰を認めないよう見直しました。

現場への復帰が遅くなり、人手が厳しくなる面もありますが、対策を徹底することで病院でのクラスターを防ぎ、新型コロナの患者の治療や地域医療を支えようとしています。

市立多摩病院の長島梧郎病院長
「今回のクラスターで、新型コロナウイルスはこれまでの基準では機能しない可能性が浮かび上がりました。医療がひっ迫する中ですが、軽微な症状でも感染した可能性のある場合は、医療従事者の陰性を確実に確認することで、すべての患者にしっかりと医療を提供し続けていきたい」

対策しても患者急増で危機感「立ちゆかなくるかも」

クラスターを教訓に、診療を維持し続けられる対策を取りましたが、今、患者の急増に、病院は、医療そのものが立ちゆかなくるかもしれないと危機感を募らせています。

病院では、1つの病棟を新型コロナウイルスの治療専用にしていますが、人手の面などから確保できるのは30床が限界だといいます。
このほか、ICUの2床もコロナ専用とし、ウイルスを外に出さないための陰圧機能がある病床1つで患者を受け入れています。

しかし、去年12月ごろから徐々に患者が増え始め、コロナ専用の病床も常に満床に近い状態が続いています。午前中に1床あけば午後には埋まることもあるといいます。

そうした中、この病院では、入院する患者に占める高齢者の割合が増加している上、比較的症状が重い人も多くなっていて、看護師の負担が増しているということです。

「N95」と呼ばれる医療用マスクは、着けているだけで息苦しさを感じる看護師も多く、暑くて、動きづらい防護服を着用せざるを得ません。
また、高齢者の場合、医療的な看護以外にも食事や排泄、体を拭くなど身の回りの世話まで担わないといけない点も負担が増す要因だということです。

こうした理由から患者が少なくて人手に余裕があれば1時間ほどで交代できていましたが、最近は1人の看護師が3時間つきっきりで対応することもあるといいます。

病院は、今後、さらに多くの患者を受け入れられるよう、病棟を新たに閉鎖して新型コロナ専用にする見通しです。

佐藤美子看護部長
「病棟の閉鎖は、本来、そこに入るべき患者さんが入院できなくなるという悪循環が起きます。特に寒い時期は、心筋梗塞とか脳梗塞とか血管の病気が多くなる時期ですが、そういう患者を受け入れることができなくなる。ベッドも看護師も急には増やせないので、何かを生み出すためには、そこに人員を移して対応するしかないんです」

そのうえで、こう訴えます。

「特に若い人では、新型コロナをインフルエンザや風邪のようなものと軽く考えている人もいると思いますが、そんなに簡単に考えないでほしい。高齢者と同居していなくても、40代50代の自分たちのお父さん、お母さんの世代でも重篤になる場合もあることを想像してください。医療従事者は使命感で自らを奮い立たせているが、少しでも人との接触を減らす努力をして頂かないと現場は立ちゆかないレベルまできています」

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