新型コロナウイルスの感染が確認され死亡した人について、東京都が11月から12月7日までに公表したのは62人にのぼります。このうち9割近くの人に基礎疾患があったということです。
亡くなった62人のうち、年代別の人数は以下の通りです。
▼90代 9人
▼80代 21人
▼70代 15人
▼60代 12人
▼50代 4人
▼40代 1人
また、都によりますと、亡くなった62人のうち9割近くにあたる、少なくとも54人は基礎疾患があったということです。
都が具体的な基礎疾患としてあげているのは、以下の病気です。
▽腎臓の疾患
▽糖尿病
▽がん
▽高血圧
▽心臓の疾患など
基礎疾患がある人はなぜ新型コロナウイルスに感染すると重症化したり、死亡につながったりしやすいのでしょうか。感染症学が専門の国際医療福祉大学の松本哲哉教授に聞きました。
(1)調査から明らか
「年齢が高くなり、基礎疾患がある人は新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいということはあらゆる調査から明らかになっている」
(2)血管の障害が多く起こっている
「さまざまな基礎疾患では、健康な人と比べると血管の障害が多く起こっていて、そういう状況の中で、新型コロナウイルスに感染すると、血が固まりやすくなり、血流が途絶えることで臓器の障害が起こりやすくなると考えられる」
(3)さまざまな病原体への抵抗性が弱っている
「糖尿病にしてもがんにしても、基礎疾患のある人は新型コロナウイルスだけではなく、いろんな病原体への抵抗性が弱っていて、それに伴って体内で簡単にウイルスが増える可能性があるのではないか」
基礎疾患がある本人やその家族はどうしたらいいでしょうか。
「若い世代が外で感染して家庭内で親や祖父母の世代に感染させる家庭内感染が増えることは十分にありえる。高齢で基礎疾患をもつ本人やその家族は、流行期には家の中でも距離を保ったり、会話を長くするときはマスクを着けたりして家庭内でも感染対策をしてほしい」
「今までも高齢者の方は感染対策を気をつけていると思う。外に出ないようにして閉じこもりがちになって精神面で落ち込む場合もあるので、マスクをして外を散歩するなど、ある程度運動もしてほしい」
新型コロナウイルスに感染して亡くなった人のうち基礎疾患のある人の割合が高くなっていることについて東京・品川区の商店街で聞きました。
60代の女性
「年代的にも基礎疾患をもつ領域に入ってきているので、基礎疾患にならないように日常生活でストレスをためないように気にしています。母も100歳近いので、外から帰ったときには必ず手を洗うように注意しています」
80代の男性
「私もぜんそくを患っているので、マスク着用と手洗いを徹底して、外での会食はしないようにしています」
1歳の子どもがいる30代の女性
「自分の両親や祖父母が基礎疾患に該当すると思うと、感染させてはいけないと感じています。小さい子どもを扱うのと同じ気持ちで高齢者の方に接するようにしています。実家は東北なのですが、正月も帰らないようにします」