観光に大変革 “コロナ時代”にどう楽しむ?

  • 2020年6月20日

新型コロナウイルスで深刻な影響を受けている観光産業。インバウンドから国内へ、大きな方針転換を迫られています。その一方で6月19日には、都道府県をまたぐ移動の自粛が解除に。この先も続く“withコロナの時代”、観光の楽しみ方はどう変わっていくのでしょうか。

再開はしたけれど… 浅草の活路は?

年間1000万人近い外国人観光客が訪れる東京・台東区。その中心、浅草で6月1日、仲見世商店街が、2か月ぶりに営業を再開しました。

商店街の一角にある土産物店。140年続く老舗ですが、最近は、外国人観光客向けの商品に力を入れてきました。しかし、今、店内に外国人の姿はありません。丸1日営業しても客は3人、売り上げは以前の1%にも届きません。

店主 稲葉和保さん
「うちの主力のお客は外国の方と修学旅行。これからが本当の意味で大変。ぶらり歩き的な感じで浅草に来てくれた人が、興味を持ってくれないと」

商店連合会の理事長も務める稲葉さん。ほかの店の様子も見て回りましたが、どの店も、客の入りは、以前とは比較にならないといいます。

“今ならではの楽しみ”を模索

浅草で、外国人客の人気を集めていた人力車。商店街が再開して最初の週末、人力車50台を所有する会社は、感染対策を徹底した上で、4台を町に出しました。

待つこと3時間、ようやく乗車した親子連れが選んだのは、12分で4000円の最も短いコースです。この日の客は、すべての人力車をあわせて、日本人5組にとどまりました。

会社では、今、日本人が長時間楽しめるプランを検討しています。

えびす屋 浅草 梶原浩介さん
「例えば、テイクアウトのお弁当を車上で楽しんでもらう。観光客の中には、店内ではなく、密を避けたいという人が多いと思います。そういうお客様を対象に、何かできればと思っています」

デリバリーにドライブスルー!? 横浜中華街の生き残り戦略

横浜中華街も、6月に入り7割の店舗が営業を再開しました。観光客は以前の3割ほど。それ以上に深刻だというのが売り上げの低迷です。多くの客が、街の雰囲気を楽しみ通り過ぎるだけで、入店する人が少ないというのです。

創業65年になる上海料理の店。旅行客にも人気で、これまで集客に頭を悩ませることは、ほとんどなかったといいます。営業を再開したものの、売り上げは以前の半分以下。創業以来初めて、宣伝のちらしもつくりました。料理のデリバリーも始めています。

上海料理 状元樓 陣 恵さん
「何か新しいことをすれば、何かが変わるかもしれない。そういう気持ちが、このコロナで芽生えました。中華街という船の一員として、自分で漕いでいかないといけないです」

横浜中華街では、地域ぐるみの動きも始まっています。中心になるのは、中華街の協同組合理事長、高橋伸昌さんです。

高橋さんが目をつけたのは、今は空いたままの観光バスの駐車場です。中華街の各店が電話で料理の注文を受け、この駐車場で渡す、ドライブスルーを始めたのです。組合の呼びかけに参加した店は30以上。新たな中華街の楽しみ方を模索しています。

横浜中華街発展会協同組合 高橋伸昌 理事長
「店が開いていなければ、お客も、この街の雰囲気を楽しみに来る人も来ない。なんでもやって、街の復興につなげていきたいなと思っています」

国内外でリゾートの運営を手がける星野佳路さんは、日本の観光消費額のうち、インバウンドは17%に過ぎず、およそ8割に当たる22兆円が日本人によるもので、当面は、この日本人旅行客をいかに呼び戻すかがポイントだと指摘します。
「感染拡大期に、“今は来ないで”という各地からの発信で、観光客がすごく自粛しました。今後は、観光地や観光事業者がそれぞれ判断して、“来てください”という情報発信を行っていく必要があると思っています」。

海外から近隣へ 高級ホテルもターゲットチェンジ

5月23日、横浜の中心部にオープンした外資系のホテルも、戦略の大きな見直しを迫られています。当初のターゲットは外国人。広いスイートルームや豪華なラウンジを備え、高級感を打ち出しています。しかし、開業初日に利用があった客室は5分の1程度。すべて国内の旅行客で、9割以上は、東京、神奈川、埼玉から来ていました。

ハイアットリージェンシー横浜 齋藤孝司 総支配人
「この2か月で、一気にホテル業界の様変わりがありました。我々のブランドは欧米系のお客様が非常に多いので、影響は避けられません」

宿泊客のさまざまなリクエストに応えるコンシェルジュ。開業前には、外国人が好む飲食店などを徹底的に調査していましたが、国内、それも近くからの旅行者をどうもてなすのか、作戦を一から立て直すことになりました。

ホテルの周辺を歩いてヒントを探します。洋館が立ち並ぶ山手地区でスタッフが目にとめたのは、外国人宣教師の住まいを改装した雑貨店。世界各地から集めたクリスマスグッズ1万点以上を販売しています。ガーデンカフェや西洋式の庭園も巡り、散策ルートを考え始めました。コンセプトは、横浜ならではの異国情緒です。

ホテル コンシェルジュ
「普段忙しい生活のなかで、ちょっと山手の風を感じながら、おおらかな気分で散策を楽しめるのではないかと思います」

近場で、安全に “コロナ時代”の観光スタイル

今も感染の不安が払拭されない中、注目されているのは“3密回避”の観光スタイルです。オープンエアーの船のデッキから東京の景色を楽しむ隅田川下り。浅草からお台場までを1時間で結びます。特に親子連れに人気です。

天井のないバスを使ったバスツアーも、乗車人数を座席の半分に制限して再開しました。1時間かけて、都内の名所を巡ります。

星野佳路さん
「密の回避も、単に安全ですよというだけはなくて、それをどうやって観光の魅力につなげていくかが大事です。私自身は、1~2時間圏内を自家用車などで旅をするという“マイクロツーリズム”を伸ばしていくべきだと思っています。全世界を相手にするよりはるかに人口は少ないですが、マイクロツーリズム圏内であれば、リピートして来てくれる可能性があります。withコロナの時代には、こうしたお客をある程度のボリュームでしっかりおさえておくことが、観光地にとって足腰を強くすることにつながると思います」

(首都圏情報ネタドリ! 6月12日放送)

ネタドリ! これまでの番組内容をテキストで

ページトップに戻る