どう両立? 救急医療と新型コロナ対応

  • 2020年6月19日

心臓発作や、脳卒中。一刻を争う病気でも、速やかな治療が受けられないかもしれない。こうした病気を専門とする救急医療も、新型コロナウイルスに対応するため、患者の受け入れ停止を余儀なくされました。感染第2波に備え、医療全体の立て直しが求められています。

異例の“心臓救急受け入れ停止”

5月末、東京・府中市にある心臓病治療の専門病院に、激しいどうきと胸の痛みを訴える70代の男性が搬送されてきました。心臓の病では、治療の遅れが命に直結しますが、男性が病院に到着したのは、倒れてから1時間以上あとでした。複数の病院に断られた末、この病院にたどりついたのです。

男性の妻
「救急隊が2か所の病院に電話をかけて、2か所ともだめで。受け入れてもらえて、本当に助かりました」

東京では、73の病院が連携し、24時間態勢で心臓病の救急医療を提供しています。しかし、渋谷区に住む男性が搬送されたのは、府中市の病院。新型コロナウイルスの影響で、多くの病院が、心臓救急の受け入れを停止していたからです。受け入れを停止した病院は、最も多いときで17か所に上りました。

現在も続く“新型コロナ対応”

4月から、新型コロナウイルス患者の対応にあたっている東京医科歯科大学医学部付属病院。今も、心臓救急の受け入れを停止しています。この病院では、重症化した患者に使う人工呼吸器などの高度な医療機器を備え、治療のノウハウを持っています。都の依頼を受け、医療スタッフや必要な機材の多くを新型コロナウイルスの対応に振り分けることにしたのです。

東京医科歯科大学循環器内科 笹野哲郎 教授
「感染した患者が、どれくらいの数、どれくらいのペースで入ってくるか、全く読めない部分がありました。他の患者さんに対して申し訳ない気持ちもありますが、医療崩壊を防ぐためには、最大限の対応をしておかなければいけなかった」

“高度救急閉鎖” 地域医療にダメージ

別の理由で、心臓救急の受け入れを停止せざるをえなかった病院もあります。墨田区の墨東病院です。原因は、4月に発生した院内感染でした。

新型コロナウイルスの患者を多く受け入れてきた墨東病院。院内感染が起こりうることは想定しながらも、従来の医療と新型コロナ対応を両立させようとしていたさなかでした。

院内感染による病院への影響は、心臓救急だけにとどまりませんでした。この病院が備える都内に4つしかない高度救命救急センターも、一時的に閉鎖。およそ150万人が暮らす東京東部の救急医療の機能が、大きく低下しかねない事態となったのです。

都立墨東病院 上田哲郎 院長
「墨東病院が担うべき医療ができなくなってしまう。申し訳ないという気持ちと同時に、それで東京東部の医療が成り立っていくのか不安でした。救急センターを閉じることで、救命できなかった人がいるかもしれないと思うと、悔しいです」

“救えるはずの命” 第2波にどう備える

心臓病の救急医療を24時間提供できるよう連携する都内73の病院。今も、4つの病院が心臓救急の受け入れを停止したままです(6月5日時点)。
このままでは、新型コロナウイルス感染の第2波がきたとき、救えるはずの多くの命が失なわれてしまう。医療の現場では、強い危機感を抱いています。

東京都CCUネットワーク会長 高山守正 医師
「感染の第1波で、救急医療は崩壊の可能性が非常に高い状況だった。今回の経験をうまくいかせるシステムを作っていかなければいけない」

(首都圏情報ネタドリ! 6月5日放送)

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