住まいの危機 ローンが、家賃が払えない

  • 2020年6月6日

新型コロナウイルスの影響で、解雇されたり勤務時間が削減されたりして収入が激減し、住宅ローンや家賃を払えないという人が、相次いでいます。中には、すでに住まいを失った人も。“住まい喪失”の危機に多くの人が直面しています。

両親と暮らすために買った家が

住宅ローンの支払いに苦しんでいる30代の男性。3年前、両親と暮らすため、横浜に中古の一軒家を3千万円で購入しました。両親は庭が気に入り、小さな畑で野菜を育てています。

男性は携帯電話販売会社の正社員ですが、新型ウイルスの影響で30万円あった給料が半減しました。時短営業で、残業が大幅に減ったためです。

もともとの収入は、親の年金と合わせて月に36万円。一方、生活費は食費や光熱費などで16万円ほどで、臨時の出費があっても月に10万円のローンを支払うことができていました。しかし、男性の給料が半減したため収入は21万円に。家計は一気に赤字になってしまいました。

家財を売ってしのいでいるが…

貯金がほとんどなかった男性は、赤字を埋めるため家財道具を売却。値段がつくものはほとんど売ってきました。

ローン返済用の現金には手をつけず、生活費はできる限り家財を売った代金をあてていますが、家計は回っていないといいます。今、売却を検討しているのは、音楽大学に通っていたころに使っていたピアノです。

「たまに弾くと楽しいですし、音大に行かせてくれた父と母も喜んでくれます。価値はお金では計れないので、売りたくないです…」

勤務先の時短営業が続いているため、給料が元に戻る見通しは立っていません。このまま住宅ローンが支払えなければ、この家を売却しなければなりません。

「正直、不安です。また仕事が減る可能性はあるので、どうしようかと思っています」

厳しい現状はこの先も ローン返済に困ったら?

東京で住宅の任意売却の相談・仲介を行っている会社には、自宅を売却したいという相談が相次いでいます。新型ウイルス関連の相談は、2月の12件から4月には158件に急増してるといいます。

「今後もリストラなど様々なことが行われると思う。相談は、半年から1~2年間は増え続けると考えています」

(任意売却119番 代表 富永純三さん)

ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんは、住宅ローンの返済に困った場合は、まず銀行に相談することを勧めています。

「リーマンショック以降は、住宅ローンについて、銀行は条件変更などの相談に対応するようになっている。延滞を重ねるとブラックリストに載り、その後の借り入れができなくなるおそれも。消費者金融は、金利が住宅ローンに比べて遙かに高い。借金を借金で返すことは絶対に避けてください」

家賃が重荷 引っ越すしかない

小学生の子ども2人を育てる40代のシングルマザー。横浜市内にある家賃9万5000円のアパートで暮らしています。

この春、転職の予定でしたが、業績の先行きが不透明だとして採用を取り消されました。今は貯金を取り崩しながら生活しています。1か月の生活費はおよそ25万円。家賃が、最も大きな負担となっています。

「貯金がみるみる無くなっていくのが心配です。家賃を払えなくなったらどうしようと。家賃は必ずでていくもので、節約のしようが無いじゃないですか」

さらにアパートの更新期限が迫っていて、更新料9万円を支払わなくてはいけません。このままでは、あと2か月で貯金が底をつく…。女性は、検討の結果、家賃が今より3万円ほど安い公営住宅に申し込むことにしました。子どもは転校しなくてはなりませんが、ほかに方策がないといいます。
仕事の先行きが見えない中、公営住宅の当せんに望みを託しています。

「就職できて給料が下がったとしても、家賃が下がれば節約すれば生活できる。当たるのを祈るしかないです」

ひとつ歯車が狂って…住まいと仕事 同時に喪失

食品工場で派遣社員として働いていた30代の男性。交際している女性と一緒に、社員寮で暮らしていましたが、雇い止めに。寮からも1週間以内に退去することを求められました。

2人は実家を頼ることができず、一時的にホテルに身を寄せました。求人誌で職を探しましたが、企業からの反応は思わぬものでした。

「住所もないの?いや、ちょっと…という感じで。電話しても、すべて断られます」

ようやく見つけた仕事は、チラシのポスティング。1枚当たり1.5円で、6時間歩き続けて配っても、手に入るのは2人合わせて3000円ほどです。所持金が底をつき、訪れた炊き出しの場で都の無料宿泊施設を紹介されました。しかし、施設にいられるのは一時的で、今後の見通しは立っていません。

「家がないのがこんなにつらいとは…。あるのが当たり前でした。人生、ひとつ歯車が狂えばこうなっちゃう。普通の生活に戻りたいです」

住宅の支援政策に詳しい藤森克彦さんは、日本の住宅政策は、持ち家政策が中心で、借家に住んでいる人への支援が十分でないといいます。

「いま増えている非正規労働者は、借家に住んでいる傾向が強い。住まいが安定していれば、危機的な状況でもなんとかできる人は少なくないので、借家への支援も強化していく必要があると思います」

(みずほ情報総研首席研究員・日本福祉大学教授)

(首都圏情報ネタドリ! 5月29日放送)

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