カウントダウン2020 東京パラへもう一度夢を ~パワーリフティング・山本恵理選手~

  • 2020年3月17日

東京パラリンピックの正式競技の一つ、パワーリフティングは、足に障害のある選手がベンチに寝転んだ状態でバーベルを持ち上げて、その重さを競う競技です。

かつて一度は諦めたパラリンピック出場の夢。その夢を再びこの競技で追う選手を取材しました。

パワーリフティング・女子55キロ級の日本記録保持者、山本恵理選手です。

国内では敵無し。この競技で、日本女子初めてのパラリンピック出場が期待されています。

パワーリフティングは、重いものを持ち上げるという力自慢を競うだけではありません。バーベルの持ち上げ方も厳しく判定されます。

ゆっくりおろし、胸の上で一瞬止め、まっすぐ挙げる。バーが斜めになったり、揺れたりすると失敗と判定されてしまいます。

ひとつひとつの動作がスムーズにできているか、動画で入念に確認します。

選手は、持ち上げる前に下半身をベルトで固定します。

健常者のように、足の裏で踏ん張ることなどができないため、使うのはほぼ上半身の筋肉だけ。並外れた筋力が必要となるのです。

脊椎の病気で生まれた時から脚が不自由だった山本選手。小さいころから体を動かすのが大好きでした。

9歳の時に水泳を始め、当時は競泳でパラリンピックを目指していましたが、練習中のケガで、夢を諦めざるを得ませんでした。

当時を振り返って山本選手は「強い気持ちをもってずっと水泳をやっていて、ケガで断念してしまって。パラリンピック出場は一番大きな夢でした」と話しています。

その後は、アスリートを支える側に進んだ山本選手。5年前からは、東京大会を見据えて作られたパラリンピックサポートセンターで働き始めました。

一度諦めた夢を再び意識したのは4年前。仕事で訪れたパラアスリート発掘イベントで40キロのバーベルを挙げ、日本パラパワーリフティング連盟からスカウトされたのです。

日本パラパワーリフティング連盟の吉田進理事長は、当時の山本選手の印象について「女性は普通20キロを挙がるか挙がらないか。40キロを苦労しながら挙げたんですよ。どこかスポーツマンとしての、上を向いていく意志の力というか、そういうものを感じましたね」と評価していました。

また、山本選手は、「前の自分が達成出来得なかった夢がまた追えるチャンスが来たっていう、夢が復活したと思ったんですよね」と話していました。

 

パワーリフティングを始めて4年足らずで、自己記録を63キロまで伸ばした山本選手。

国内では圧倒的な強さですが、世界の壁は高く、パラリンピックの参加標準記録には、まだ2キロ足りません。

記録突破のため、今年から始めた特別メニューがあります。山本選手のためにアレンジされたランニングマシンです。

これまで動かしてこなかった下半身を強制的に動かして、少しでも脂肪を落とそうというものです。

55キロという体重制限をこえないようにするため、まず脂肪を落とす。その上でトレーニングをして筋肉を増やすのが狙いです。

このトレーニングについて山本選手は「脚の脂肪を落としていけば、その分上半身に筋肉をつけられる、他の選手より有利になるんじゃないかなと思って」と話します。

東京パラリンピックまで5か月余り。参加標準記録の65キロを突破するためのラストチャンスとなる大会が、いよいよ来月に迫っています。

山本選手は、「パラリンピックに行ける行けない、これで決まるというのは考えすぎるとドキドキしますよね、頑張ります、65キロ挙げますというよりは、もう自分の最善のベストを尽くせる状態で行こう、その先にパラリンピックがあるといいなと思っていますね。ベストを出せば結果はついてくると思います」と話していました。

 

新しいトレーニングを始めた山本選手ですが、下半身を動かすことでが下半身がしぼられて、もうすでに脂肪が落ちて、ズボンがブカブカになってきているそうなんです。その分、上半身に筋肉をつけて、さらにパワーをつけて、重いおもりを挙げたいと話していました。

東京パラリンピックに向けての山本選手のラストチャンスとなる大会は、来月14日から、南米コロンビアで行われる予定です。

 

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