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成田空港開港40年 空港と農家 共存への試み

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まちの未来
地域の選択
首都圏ネットワーク
千葉
2018年5月16日

成田空港側が周辺の農家を支援するという意外な取り組み。そこには、過去の教訓を踏まえた共存への試みがありました。《地曳創陽記者》

■空港会社が農家を育成するための研修制度を

地元で有機農業を営む住田学さん(47)です。7年前にサラリーマンを辞め、この場所に移り住みました。農薬を使わず、ニンジンなどおよそ60種類の野菜を栽培しています。

住田さんの畑があるのは、成田空港のすぐそばです。空港を運営する成田空港会社から土地を借りています。空港会社は農家を育成するための研修制度も開設し、これまでに10人ほどが地元に根づきました。

しかし、空港が農家を支援するのはなぜなのか。最初は住田さんも知らなかったと言います。

「空港がやっているんだから、間違いないだろうというのはありましたけれどね。深い意味はわからないですね」

■背景には空港と農家の間の長く重い歴史が

住田さんは近くにある展示施設で、その訳を知ることになります。そこには、空港と農家の間の長く重い歴史が紹介されていました。

成田空港の建設が明らかになったのは、昭和41年。地元の農家にとっては寝耳に水の出来事でした。国は、十分に説明をしないまま空港建設に乗り出します。必死に耕してきた大切な農地を奪われることに、農家は激しく反発。いわゆる「成田闘争」が始まりました。闘争には県外からの活動家も加わり、多くの死傷者が出る事態となりました。

住田さんは「いきなり『空港ができるから』といって、農地を取りあげられることを考えると非常に寂しいというか、つらさはすごく伝わってくる」と話しています。

闘争の始まりから25年後。こうした流れを変えたのが、学識経験者などが開いたシンポジウムでした。シンポジウムに参加した経済学者の宇沢弘文さんです。ノーベル経済学賞の候補とも言われた宇沢さん。成田を何度も訪問し、解決への道筋を探りました。

「住民、関係市町村を含めて新しい方向を模索する」

そして空港側に対し、農地と共に生きてきた人たちの思いに寄り添うよう訴えました。

「『成田』は悲劇である。悲劇は決して、悲劇的な結末で終わらせることがあってはならない」

■新滑走路建設、同じ過ちを繰り返さないために

こうした考えは今、成田空港会社と農家の間に受け継がれています。住田さんは「こういうシンポジウムがあって、はじめて僕が今、農業をやれていると感じて、すごく感謝の念がありますね。自分がこうやって農業でしっかりやることによって、地域にも貢献ができるのかなという気持ちがあります」と話しています。

過去の教訓を基に、共存を模索してきた空港と農家。しかし今、成田空港は新たな段階を迎えようとしています。国や空港会社、それに地元の自治体などが、空港の拡大を目指して3本目の滑走路を建設することで合意。敷地の周辺には住田さんが耕す畑もあり、移転を求められる可能性が出てきたのです。

住田さんは、この日、成田闘争にも参加した農家の先輩、寺内金一さん(69)を訪ねました。シンポジウムのあと、空港会社と共存を図ってきた寺内さんの経験を聞くためです。住田さんが「ここ最近、新たに第3滑走路の問題とか、いろんなうわさが飛び交っているなかで、すごく不安を感じているんですが、今後どうなっていくのかが心配で」と打ち明けると、寺内さんは「農地が、ある意味で全体的に空港の敷地にかかるといったきに、将来的にどうするのか、代替え地ということも含めていろいろこれから話をしていかなくてはいけない」と、アドバイスしていました。

寺内さんが伝えたのは、今後、空港会社と話し合いを尽くすことの重要性でした。寺内さんは「50年前の空港反対運動でいったら、もうまっすぐ進むだけだったから、周りを見ないというのか。空港会社も含めて農業の在り方を、もう一度考えていったらいいのかな」と話していました。

これからも空港の近くで農業を続けたいと考える住田さん。共存への決意を固めています。住田さんは「有機農業という特色のある農業が、この土地で発展していく可能性はすごくあると思う。どちらかがだめになるっていうのは なしだと思うので、農業と空港が何か協力して発信ができればなとすごく考えています」と、思いをめぐらせていました。

成田空港の開港から40年。過ちを二度と繰り返さないために、農家の声をしっかりと受け止めることが求められています。

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