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首都圏から多数参加!人気の “復興マラソン”

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震災
復興
おはよう日本 関東甲信越
2018年4月28日

大嶋貴志アナウンサー

東日本大震災の被災地を盛り上げる「復興マラソン」についてご紹介します。

3月まで仙台局に勤務していて、学生時代は陸上部。その経験を生かして、こうした復興マラソンに、いろいろと参加してきました。震災後、たくさんマラソン大会が生まれているんですけれども、その中でも、今回ご紹介するのは「東北風土マラソン」。今年で5回目の大会です。復興マラソンの中でも、最も人が集まる大会で、今年の来場者は5万3,000人、首都圏からの参加者も多くて、年々その規模を拡大しています。なぜ多くの人をひきつけるのか、実際に走ってその魅力に迫りました。《大嶋貴志アナウンサー》

■仮装を推奨、記録よりも楽しんで走ることを重視

3月25日、宮城県北部、登米市の会場にたくさんの人が集まってきました。登米市は海までおよそ15キロ。津波の被害を受けなかったため、震災後は、避難者を受け入れ、多くの仮設住宅が作られました。

この大会、ほかのマラソンとはちょっと違うんです。

「ジュディオングでーす!」

この大会では、 “仮装” が推奨されていて、記録よりも “楽しんで走ること” を重視しているんです。

みなさん今日はどちらから?

「東京からでーす」「東京です」「東京です」

声をかけたなかでは、東京の方が多かったです。

■給水所では東北各地の名産品をランナーに提供

「3、2、1スタート!」

地元の太鼓と神輿(みこし)に背中を押され、スタート。コースは沼のほとり。1周走ればハーフ、2周すればフルマラソンになります。今回私はハーフマラソンに出場しました。

この大会、最大の魅力が給水所です。出てきたのは・・・

「リンゴで~す!」

日本一の生産量を誇る青森のリンゴ。こうした東北各地のグルメを2キロごとに、計10か所で味わえます。風土マラソンの “風土” は、食べ物の「FOOD」でもあるんですよ。

リンゴの次は、宮城・松島湾で獲れた「アカモク」。

「食感がいい!しゃきしゃきして」

そして・・・

「『いぶりがっこ』いただきます。うーん」

行列ができていたのは、地元登米市の名物、小麦粉を練って作った「はっと汁」。

「はっと汁は、油ふが入っているのが特徴で、これがおいしいんです」

■地域活性化につながると参加した東京出身のランナー

地元の人に励まされながら、仮装ランナーも必死に走ります。そんな中、仮装もせず、ひとりで黙々と走るランナーを見つけました。

高橋幹太さん。東京出身で、東北を訪れたのは今回が初めて。被災地のことが気になっていましたが、訪れる機会がありませんでした。

「震災の被害、原発の被害を見て、気持ち的に多少離れてしまった・・・」

そんな高橋さんの背中を押したのは、会社の仲間たち。毎年参加している同僚が撮った写真を見て、楽しそうな様子に心が動いたといいます。

「“復興支援” という言葉だけだと、気負ってしまっていたんですけど、地元の食べ物とか、お酒を飲んで、それを介して、地域の活性化につなげるコンセプトを知って、『それであれば僕もできそうだし、ちょっと参加してみたいな』と思って」と高橋さんはいいます。

■発起人の男性、フランスの大会からノウハウを学ぶ

「こんにちは!」

「お疲れさまです。楽しませていただいています」

「ありがとうございます。毎年」

大会の発起人、竹川隆司さん。賛同してくれる仲間を集め、手弁当で大会を始めました。ふだんは、東京でIT企業を経営している竹川さん。震災直後、仕事でアメリカにいて、海外から見る東北の惨状に、これまでにない思いを抱きました。

「自分の故郷の横須賀も、東北もこうなっちゃうと関係ないなと。 “故郷はやっぱり日本” なので、そこのどこかが困っている、傷んでいる、っていう時に、何かできることはないのかなって、やっぱり意識としては考えましたし・・・」

「東北のために何かしたい」という思いを強くした竹川さん。しかし、寄付以外に方法が思いつきませんでした。

そんな時ヒントになったのが、フランスの「メドックマラソン」。ぶどう畑を走り、地元のワインを楽しめる大会です。この大会は、ワインの産地として知名度が低かったメドック地方を盛り上げようと、30年以上前、生産者たちが始めました。カキやステーキなどのフルコースも味わえるとあって、世界中から3万人が訪れます。地元の豊かな食文化を、マラソンを通して発信する仕組み。竹川さんは何度も参加してノウハウを学びました。

「ランナーの方と、そういう魅力が出会う場所と考えていますので。それをきっかけに、東北もしくは、東北の外から来たランナーの方も、魅力に気付いて。またそれを作っている方も、食べた人の笑顔を見て、自分たちの魅力にもっともっと気付いて、自信を持っていただくような、そんな場になればいいなと思います」

■第1回大会から提供されている「桃のピクルス」

そうこうしているうちに次の給水所が見えてきました。出てきたのは・・

福島の「桃のピクルス」。第1回の大会から提供されています。

生産者は、原発事故による風評被害に苦しみ、当時は心がくじけそうになったといいます。

「『福島ならいいわ』って言われたり、『まだだめでしょ』『もう出せるの』とか、放射能に関することは結構多いかもしれませんね」

東京から来た高橋さん。震災後、初めて福島の桃を口にしました。

「おいしい!これ桃を漬けたんですか?」
「桃のピクルス。お酒にも合うよ」
「こういう食べ方初めてだったので、新鮮だしおいしかったです」
「うれしい~」

高橋さんは「いろいろな意味で満たされました。東京で東北のことを見ているときよりも、だいぶ気持ち的にも近づいたなと思います」と話していました。

■東北の生産者たちにとっても特別な場に

楽しむのはランナーだけではありません。この大会、生産者にとっても特別な場になっているんです。大会の終盤で、その思いに触れることができました。

「牧浜産のカキのしぐれ煮です」
「おおー!すごい!立派です」

カキのしぐれ煮。2時間以上かけて煮込む、手のかかる一品です。カキを提供した漁師の豊島富美司さんは、今回初めての参加です。マラソンを通して、伝えたいメッセージがあるようです。

豊島さんが住む宮城県石巻市東浜地区は、津波に襲われ400人が孤立状態になりました。豊島さんは、災害対策本部長として、地域の取りまとめに奔走。当時、自衛隊とボランティアから炊き出しや物資の支援を受けました。

手作りの災害対策本部の壁には、びっしりとメッセージが。ひとつひとつの言葉に、励まされてきたといいます。

「これが私の当時の心のよりどころ。この小屋があるから、何とか自分も前さ進まなきゃならないなって・・・」

漁を再開し、生活を再建するまで7年。ようやく、支援をくれた人たちへ感謝を伝えられる機会にめぐりあいました。

「全国のみなさんに、その感謝を伝えたかったんですよ。たった一粒のしぐれ煮ですけど、それが伝わればそれでいい」

さまざまな思いがつまった東北風土マラソン。完走、完食しました。

完走したご褒美は日本酒。東北中から17の蔵元が集結し、飲み比べができるんです。

参加者からは「来てよかった~~!」「また来年も来ようと思います!」という声が聞かれました。同じ経験をしたランナー同士、会話がはずみます。不思議なつながりを感じるマラソンでした。

取材をしていて出会った、東京の英会話サークルの人たちは、大会のあとには、お花見などの飲み会で余ったお金を、来年の大会のために集めて、また東北に行くと言っていました。

無理をせずに、自分たちで出来ることを・・・というのも、東北との交流を長く続けるつながり方なんだなと感じました。

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