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笑顔広がる介護ファッション

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シニア
介護・認知症
ひるまえほっと
神奈川
2017年4月19日

左から、武内陶子アナウンサー、西村美月リポーター

今回は、「介護ファッション」についてお伝えします。

こちらはひざ掛けなんですが、普通のひざ掛けと違って、上と下がそれぞれカーブしているのが特徴です。このひざ掛けが、いま介護の現場で使われ始めているんです。
ひとつひとつ手作りで、実際に介護を経験した女性が考案しました。どんな思いで作ったのか、取材してきました。

■車いすで生活する人用のかける形の洋服を考案

訪ねたのは、神奈川県川崎市のお宅です。
一見、普通の洋服を作っているように見えますが、裏面には保温性の高いフリース素材を使っています。車いすで生活する人のためのもので、かける形の洋服なんです。

これを考案したのは、宮﨑詩子さん。介護にまつわる相談を受ける仕事をしています。

お母さんの田鶴子さんと一緒に、2年ほど前から作っています。

宮﨑さん
「車いす生活は足を動かさないで座ったまま1日過ごすので、季節を問わず足元が冷えるんですね。なので1年中ひざ掛けが必要なんです。表地は春らしい質感のものを使って、でも裏側は暖かい(フリース生地)」

■「カバーリングファッション」のさまざまな工夫

特徴は、車いすに乗っている人にすばやく着せられること。
試しに、椅子に座っている私に着せていただきました。

このように膝にかけるだけで、まるでスカートをはいているように見えるんです。

そして、一緒に使う前掛けは、このようにスカーフで首元にかけて、あらかじめ着ていたカーディガンの中に入れると、ブラウスのように。

宮﨑さん「完成です」
西村リポーター「この手を全く動かさずに着られました」

パジャマなど普段着の上にかけるだけで、洋服のように見えることから、「カバーリングファッション」と名付けました。

車いすで利用することを考えて、形にも工夫をこらしました。
下の車輪に巻き込まれないように、丸みをつけたんです。
体に沿うように丸みをつけたことで、スカートをはいているように見えるんですね。

機能だけでなく、おしゃれな装飾も特徴的で、体が思うように動かない人が簡単におしゃれをできるにはどうしたらいいか試行錯誤した結果、生まれたのです。

宮﨑さん
「すてきなお洋服を取りそろえて着せてあげることはすごく大変ですし、パっとかけるだけで外出着に変わる。(自分が)介護される側なら、そうしてほしいというのが、いちばんの理由です」

■祖母の介護生活を経験したことがきっかけに

宮﨑さんがこのカバーリングファッションを思いついたのは、祖母の存在がきっかけでした。

5年前に94歳で亡くなった祖母・廣子さん。亡くなるまでの15年間は、介護が必要な状態でした。
宮﨑さんは当時20代前半。自営業の両親に代わり、家族の中心になって、祖母の介護をすることになったのです。

日々、祖母と向き合う中で、葛藤が生まれます。いつも着物姿できれいにしていた祖母が、おしゃれでなくなることに違和感があったのです。

宮﨑さん
「『宮﨑さんの奥さんはいつもきちんとした格好をしている』と言われていたし、そのことを誇りにも思って頑張っていたと思うんですね。介護生活は1日中パジャマで過ごす方が便利かもしれない。そのときに、おばあちゃん本人がどう思うかというのは、すごく気になりました」

■既製品にひと工夫でおしゃれと機能性をプラス

要介護でも、祖母にはおしゃれでいてほしい。
その上で、できるだけ自分たちが介護しやすい方法を模索していた宮﨑さん。こんなものが欲しいと思いつくと、手作りするようになりました。

これは、靴下にかわいく補強の布をつけたもの。
靴をはいたように見えるのがポイントです。

そして身のまわりのものにも一工夫。
いつも手元に置いておきたいバスタオルを可愛いクッションに見せるために、カバーを手作りしました。

宮﨑さん
「おう吐してしまうようなことが高齢だと起こり得ますよね。バスタオルはリビングで過ごしているときに手元にあると違和感がある。そういうときに、こういったカバーの中に入っていれば、来客者があってもバスタオルと気づかないんですけれど、家族は知っていてパッとそこから出せるという良さがあると思います」

■車いす生活を始めたばかりの女性のために家族が注文

この日作っていたのは、車いす生活を始めたばかりの60代の女性のもの。
新たな生活に向けて、似合うカバーリングファッションを作ってほしいと家族からオーダーを受けました。

病気になる前の写真や、事前に家族から聞きとった色や柄などの好みを参考に、デザインを決めました。

宮﨑さん
「ライフスタイルも少し変わるタイミングなので、そういう意味では今までなかった要素を取り入れた楽しみ方があるといいと思って」

母の田鶴子さんは、服飾の学校を卒業後、長年、人形店を営んでいました。
細かな飾りや仕立ての良さは、プロの技が光ります。

田鶴子さん
「(娘が)いろいろ考えた結果(の作品)で、機能性もあっていいですね。役に立つのならありがたいと思っています、楽しいし」

製作期間はおよそ2週間。値段は上下セットで3~4万と決して安くはないですが、外出ができるオーダーメイドの洋服として注文する人が多いといいます。

宮﨑さん
「着せるときにご家族が笑顔でウキウキしていると、それを見て(本人が)ウキウキすると思うんです。自分もすごく幸せだなと思うはずなので、そういう“相乗効果”に貢献できればいいと思っています」

■入院中の母親にできたばかりの洋服をプレゼント

完成したこのカバーリングファッション。注文したのは、息子の糟谷明範さんです。
この日、母にプレゼントするために、入院先の病院に向かいました。

糟谷さん
「元気ですか? きょうはプレゼントを持ってきました」

母の敦子さんは1年ほど前に、筋肉を動かすのが困難になる難病を患い、3月に気管切開の手術を受けたばかり。退院後は、車いすの生活をする予定です。

糟谷さん
「おしゃれができるように、じゃーん! いいでしょ?」

敦子さんの好み、シックなデザインのカバーリングファッションです。

糟谷さん
「『こんな素敵な洋服があるなんて思わなかった』と。そうだよね、すごいよね」

上下セットを、息子さんに着せてもらいます。
なんと、酸素チューブをカバーする布まで付いていました。

あっという間に素敵になった敦子さんの姿を見に、看護師さんたちも集まってきました。

看護師
「すごくエレガントでとてもいいと思いました。長さもいいですし、すてきです。お似合いで」

糟谷さん
「病気になったけど、母は母でいてもらいたいなと思いますね」

糟谷さん
「『前の私に戻りたいからリハビリ頑張る』と。そうしましょう」

■利用者に低料金でレンタルするサービスを検討

糟谷さんも実は、介護のプロ。ヘルパーや看護師を派遣する会社を運営しています。
宮﨑さんのカバーリングファッションの良さを知り広めたいと、利用者に低料金でレンタルするサービスを検討しています。

スタッフ「後ろはどうやって止めるんですか?」
糟谷さん「後ろはこうやってスカーフを通して、あとは出してもいいし。柄を見るのもいいし、あとはジャケットをはおってしまえば、スーツを着ているみたいに」

スタッフ
「着るのは、車いすだとぶつかったり後ろ入れたりするのが大変なんですけど、これはさっと着けて、さっと外せるのでいいと思います」

■介護生活における着替えの負担を軽減

試験的に貸し出すことにしたこのサービスを利用したいと申し出た人がいます。
船澤和秀さんです。

船澤さんは脳性まひがあり、手足が思うように動きません。17歳の時にけがをしてからは、1日の大半を車いすで過ごしています。
2016年4月からは、親元を離れ1人暮らしを始めました。ヘルパーの力を借りて生活する訓練をしています。
介護生活の中でも、着替えは重労働のひとつだといいます。

崎山鉄朗さん(介護ヘルパー)
「(1日の着替えは)2~3回は普通ですね」
Q:腰が痛いと感じることは?
「ありますね。それはしょうがないと思いますね」

船澤さんはタブレットを使って会話ができるので、ある程度細かい指示はできますが、それでも頼むことをためらうこともあるそうです。

船澤さん
「夜にコンビニに出かけたい気持ちになるときもあります。ヘルパーさんに『スイーツ買ってきて』と頼むより、やはり自分で選びに行きたいです」

パジャマの上にこれをかけてもらうだけなら、ヘルパーさんに着替えを頼むのも遠慮せずにすむと考えたのです。

船澤さんは、いろんなデザインを選べるレンタルサービスになれば、どんどん利用していきたいと考えています。

船澤さん
「レンタルビデオ屋に、夜行きたい」

西村リポーター
「これだったら崎山さんもすぐに夜、連れて行ってあげられますか?」

崎山さん
「そうですね。気軽に準備もすぐにできるので、行けるのかなと思いますね」

■介護する人と受ける人がお互いに思いやりを持てる

おしゃれをしたいと思う気持ちを我慢しない。
カバーリングファッションを、介護する人と受ける人がお互いに思いやりを持てるアイテムとして広めていきたいと、宮﨑さんは考えています。

宮﨑さん
「(利用者が)何が幸せで何が不幸せなのかということを、私たちがいかに想像して考えるかがすごく大事だと思うんですね。(このファッションが)そのことに気づいてもらうアイテムとして広まってほしいと思います」

■カバーリングファッションの広がりに期待

(西村リポーター)
スタジオには、車いすを借りてきましたので、武内さんにひざ掛けを試着してもらいます。

このような形でスカートをはいているようにも見えますね。
すその方は、車輪に当たらないようにカーブがついているんです。

(武内陶子アナウンサー)
ベビーカーで毛布を使うときにも、角が車輪に当たって真っ黒になるんですけど、これは細かい配慮ですね。

(西村リポーター)
車いすですと、足を動かさないので冷えるということですが、これなら温かいですよね。
体に障害がある人や介護を受けている人の中には、自分の気持ちを周りの人に伝えられない状況の方もいらっしゃいますし、伝えることができても、必要以上に迷惑をかけたくないと、遠慮してしまうことも多いそうなんです。
宮﨑さんは、介護経験者として講演活動もしていますが、介護する人も受ける人もお互いが気持ちよく過ごせるようなものがあればと考えたもののひとつが、この「カバーリングファッション」ということなんです。

(武内アナウンサー)
どうしていままで気づかなかったんだろうというか、これに着目した視点がすごいですね。このカバーリングファッションがもっと広がるといいですね。

(西村リポーター)
宮﨑さんのところには、型紙を作ってほしいとか、作り方を教えてほしいという要望もたくさん寄せられているそうで、今後、何らかの形で情報を提供する手段を考えているということでした。

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