1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. ひるまえほっと
  4. 酪農家が大変!牛乳を料理に使って応援 小山浩子さんのレシピ

酪農家が大変!牛乳を料理に使って応援 小山浩子さんのレシピ

  • 2023年1月6日

私たちの食卓に身近な「牛乳」。
いま牛乳を出荷する酪農家は、飼料の高騰などで大変な状況です。
そこで「ひるまえほっと」では、酪農家の皆さんの現状を取材。さらに、ミルク料理を専門に研究している料理家に牛乳をたっぷり使うレシピを教えてもらいました。

「飲んで応援してほしい」酪農家の声

12月中旬、千葉県八千代市の酪農家を訪ねました。
家族と従業員あわせて9人で約180頭の牛を育てている加茂太郎(かも・たろう)さんに話を伺いました。

加茂さん

エサが特にウクライナや円安などの影響で、かなり高騰していて、もう利益が全く出ていないというような状態ですね。

加茂さんたちは、少しでもコストを抑えようと、工場で捨てるはずの残さ(残りかす)を安く買い取って活用する「エコフィード」に取り組んできました。

これまで、おからやビールかすなどを利用してきましたが、輸入飼料の高騰でこうした残さを使う酪農家が増え、最近では確保しづらくなっているといいます。

そこで加茂さんは、チョコレートや醸造酢のかすなど、ほかではまだ取り入れていないものに目をつけ、牛のエサにできるかを試行錯誤しています。

加茂さん

エサ用に調合されたものではないので、これをわれわれが現場で工夫をして、どのぐらいの量を食べさせるかを研究して、チャレンジしてやっていきます。

さらに自分たちでエサとなるトウモロコシも育て、海外からのエサを減らすことでコストを抑えようとしています。しかし、こうした取り組みを重ねても赤字になる月が増えているといいます。

加茂さん

本当にここ数か月で廃業しようという声がかなり聞こえてきているのが実態です。コロナが収まってだんだんみなさんの外食などが増えてくると、牛乳の需要は当然もっと必要とされてくるだろうなと思っています。きたるべき次の需要に向けて、なんとかこの頭数とか飼養環境をキープしたいなと思っています。消費者の皆さんには、飲んで応援してほしいと思います。

牛乳をだしや調味料として料理に活用!

家庭で牛乳の消費を増やすにはどうすればよいのでしょうか?
そこで訪ねたのは元牛乳メーカー勤務の管理栄養士・小山浩子(こやま・ひろこ)さん。牛乳をたっぷり料理に取り入れられる、とっておきのレシピを教えてもらいました。

小山さん

牛乳を水の代わりに使っていただくことで、塩分が抑えられ、カルシウムを自然にとることができます。

小山さんによると、牛乳はコクやうまみが豊富なので、だしや調味料として使えるのだそうです。

〇鶏手羽と焼き野菜の乳(new)カレー鍋

<材料>(2人分)
・オリーブ油 … 大さじ1
・にんにく … 1かけ ※半分に切って芽を除き、たたく
・鶏手羽中 … 12本(200g) ※水分をふき、白こしょう(分量外)をかける

<A>
・水 … 250ml
・固形チキンスープの素(もと)(洋風) … 1個

<B>
・トマトジュース … 1缶(190g)
・牛乳 … 400ml
・カレールー(中辛・フレークタイプ) … 50g

【具材】
・れんこん … 大1節(150g) ※輪切りにし、酢水(分量外)につける
・エリンギ … 2~3本(125g)
・かぼちゃ … 6切れ(100g) ※くし形に切る
・ブロッコリー … 大3房(50g) ※縦半分に切る
・ミニトマト … 8個(100g) ※へたをとる

【締めの材料】
・冷凍うどん … 2玉(400g)

<つくり方>
1.フライパンにオリーブ油とにんにくを熱し、鶏手羽中、れんこん、エリンギ、かぼちゃ、ブロッコリーの表面に焼き色がつくまで焼いておく。

2.鍋に焼いた鶏手羽中を入れ、水と固形チキンスープの素(洋風)を熱し、沸々としてきたら、オーブン用の紙で落しぶたをして中火で5分ほど煮る。

3.(2)に牛乳とトマトジュースを加えて一煮たちさせる。
★POINT:牛乳のにおいを抑えるため沸騰させ、牛乳の成分を分離させる(分離は失敗ではない)。

4.火を止めてカレールー(中辛・フレークタイプ)を入れ、しっかり溶かす。塩とこしょう(分量外)で味を調える。<鍋つゆの完成>

小山さん

牛乳のコクとうまみのおかげで、調味料が少なくてすみ減塩ができる上、カルシウムなどの栄養もとることができます。

5.具材のレンコン、エリンギ、かぼちゃ、ブロッコリー、ミニトマトを加え、煮ながらいただく。

6.残った鍋つゆに締めのうどんを加え、鍋つゆを含ませるようにして煮る。

小山さん

牛乳で緑黄色野菜を煮ることで、野菜のビタミンA・D・Eといった脂溶性ビタミンがつゆの乳脂肪分に溶け出します。つゆも一緒にいただくことで、それらの栄養を余すことなくとることができます。ビタミンA・D・Eは免疫力アップが期待できますよ。


〇ぶりのミルクみそ煮

<材料>(2人分)
・ぶり … 2切れ(140g) ※さんま、いわし、さば、生ざけでも可
・酒 … 大さじ2
・砂糖 … 小さじ2(6g)
・みそ … 大さじ1(18g)
・牛乳 … 100ml
・赤とうがらし … 1本 ※半分にし、種を除く

<つくり方>
1.ぶりの水分をペーパータオルでふきとる。

2.鍋に材料をすべて合わせ、オーブン用の紙で落しぶたをし、中火にかける。
★POINT:魚を牛乳で煮ることで、くさみを消し、身をふっくら軟らかく仕上げることができる。

小山さん

牛乳のコクとうまみのおかげで、調味料が半分でよくなり減塩につながります。

3.沸々としてきたら、少し火力を弱めスプーンなどで煮汁をかけながら10分ほど煮て完成。
ねぎを一緒に煮たり、味のアクセントとして七味とうがらしやごま油をかけたりしてもおいしい。

小山さん

砂糖の量は、使用するみその塩分とのバランスをみて調整してください。またオーブン用の紙についた牛乳の固形分は、栄養価も高くコクがあっておいしいので捨てずに煮汁に混ぜてください。


〇“ホエー(万能だし)”と“カッテージチーズ”

<材料>(つくりやすい分量)
・牛乳 … 500ml
・米酢 … 大さじ2と1/2

<つくり方>
1.耐熱容器に牛乳を入れ、ふんわりラップをして電子レンジ(600w)に5分間かける。
★POINT:牛乳を80℃以上に温める。耐熱容器のふちに水滴がついていればOK。

2.酢を加えて数分おいてからゆっくりかき混ぜて、厚手のペーパータオルでこすと、ホエー約400mlとチーズ約100gのできあがり。

小山さん

ホエーはミネラルや水溶性のビタミンなどの栄養が豊富で、水やだしとして料理に使うことができます。またホエーで調味料を割ると、減塩につながります。

〇自家製減塩調味料“ホエーポン酢”

<材料>(つくりやすい分量)
・ホエー … 200ml
・ポン酢しょうゆ(市販) … 大さじ3

<つくり方>
1.分量のホエーとポン酢しょうゆを合わせ、保存容器に入れて冷蔵庫で保存する。
★POINT:ケチャップ、ウスターソース、しょうゆ、塩、ドレッシングなど、さまざまな調味料を割って応用することができる。

〇“チーズやっこ”

<材料>(2人分)
・カッテージチーズ … 100g
・かつお節 … 適量
・青ねぎ(小口切り) … 適量
・しょうが(すりおろす) … 適量
・ホエーポン酢 … 適量

<つくり方>
1.器にカッテージチーズを盛り、薬味をのせ、ホエーポン酢をかける。
チーズに同量の水切りした豆腐を混ぜてもおいしい。

〇ホエーポン酢で白菜の浅漬け

<材料>(2人分)
・白菜 … 中2枚(100g)
・塩 … 小さじ1/5
・刻み昆布 … 大さじ1(3g)
・ホエーポン酢 … 50ml
・七味とうがらし … 少量

<つくり方>
1.白菜は葉は手でちぎり、芯は薄い千切りにする。食品用ポリ袋の中で塩もみをし、しんなりしたら水分をしっかり絞り、刻み昆布を混ぜ、ホエーポン酢で漬ける。

2.お皿に盛り、七味とうがらしをかける。

〇ホエーごはん

<材料>(2人分)
・米 … 1合 ※15分以上浸水させておく
・ホエー … 100ml ※冷ました状態で使用。出来たてを使用する場合は水を氷にして調整
・水 … 1合の目盛りまで

<つくり方>
1.炊飯器の内釜に水分をきった米、ホエー、水を加え、普通に炊く。

 

小山さん

牛乳は栄養素の総合デパートといわれているぐらい、いろんな栄養素をもっています。酪農家さんをみんなで応援したいなと思いますので、ぜひみなさん、きょう作った料理をご家庭で作ってみてください。

ページトップに戻る