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読書感想文にも役立つ!読書メモのススメ 中江有里のブックレビュー

  • 2022年7月4日

特別養護老人ホームを舞台に繰り広げられる新米介護士の日常。
レビー小体型認知症の著者がつづるコロナ禍。
のちに歌人となった著者の子育てエッセイ。
どんな状況でも必死に、前向きに生きる人たちを描く3冊を紹介。
そして夏休み直前!“書評家”中江有里さん直伝!読書体験をより豊かにするコツを紹介します。

【番組で紹介した本】

『「できる」と「できない」の間の人 ― 脳は時間をさかのぼる』
著者:樋口 直美
出版社:晶文社

Yuri’s Point
病気や老い、怪我などで、できていたことができなくなっていく。そんな経験から考えたことを率直につづったエッセイ集。
レビー小体型認知症の著者がつづるコロナ禍の日常は、人と会えなくなったことから始まる。「月曜日は会議、水曜はヨガのレッスン、金曜は飲み会。(中略)そんな予定のすべてが魔法のように消え失せたとき、時間はふわふわと宙に舞い、形を失ってしまうのだとわかった。」
リモート全盛となった現在、スマホやネットが使いこなせない人は、できないままコミュニケーションが取れなくなっていく。病気を患ったり年を重ねたりすれば、できなくなることは増えていく。できないままで生きていける、と優しく応援してくれるような一冊。

『一緒に生きる 親子の風景』
著者:東 直子
画家:塩川 いづみ
出版社:福音館書店

Yuri’s Point
育児中に短歌を詠み始め、やがて歌人となった著者が、育児中に感じたことを描いた一冊。
年子の子どもを育てた著者の視点は、子どもの世界へと降りて、子どもが何を喜び、何を楽しんでいるか、子どもが見ている風景を映しだす。たとえば砂場で作った砂のプリン。ミニカーを無心に動かす姿、食べている途中にうとうとと眠ってしまう姿…。
子どもの日常はいつも全身全霊で、その姿に不思議な喜びが胸に生まれてくる。子育て中の人だけでなく、かつて子どもだったすべての人にも読んでほしい、普遍的な子育てエッセイ。

『ウェルカム・ホーム!』
著者:丸山 正樹
出版社:幻冬舎

Yuri’s Point
介護の現場・特養老人ホームを舞台に繰り広げられる新米介護士の日常を描いた物語。
派遣の契約を切られてとりあえず介護士になってみた若者が、介護される人たちの言葉、行動の謎にぶつかる。そして一つの謎の答えが解ける度に介護人として揺れ動いていた自身を振り返る。「重い認知症の人にも、好きなことと嫌いなことがある。何も考えてないわけじゃない。何も感じてないわけじゃない。」若者はだんだんと介護の仕事の面白さに目覚めていく。
介護すること、介護されることはいつかの自分事。介護される側と介護する側の心に光を当てた、笑って泣ける一冊です。

特別企画 中江有里さん流!「読書メモのススメ」

「中江有里のブックレビュー」をはじめ、本の魅力を人に伝える書評などを、年間約100冊分行っている中江さん。『ウェルカム・ホーム!』を課題本にして、読書経験を豊かにするコツをうかがいます。

1.本を読むときは、心のままにマーキング

●ポイント 付箋を貼る場所は心のままに
あとから確認したときに「なぜ私はここに付箋を貼ったのか?」と考えることで、さらに深く読み込むきっかけに。

※感動した場所
※「ちょっと分からない」と引っかかった場所
※大事なフレーズだと思った場所
※この本のテーマだと感じた場所 など

2.本を読んだら、「読書メモ」をつけよう

●ポイント 「読書メモ」は自分だけのメモ
ノートや付箋、スマホのメモ機能など、自身がやりやすい方法で。

●書き方 「文章抜粋 + どう思ったか、感想など」

1)付箋を貼った箇所を抜き出す
2)その下や横に、自分が何を思ったのか、気づきを書き込む

<中江さんの例>

腰掛け気分で介護士の仕事を始めた主人公。はじめのうちは、同窓会で友人に仕事のことを聞かれたときに「―機械的にやっているだけだから。」と自ら卑下するようなことをいってしまっていた。
しかし施設利用者や同僚介護士とのふれあいの中で、次第に、介護士としての自覚が芽生えていく。
時が経ち、大けがをした母の手術に立ち会うため一時帰省したあと、先輩介護士の言葉を思い出し、仕事だけでなく身内の介護をすることになった場合の自分を想像できるように。
主人公が介護を、自分事として捉えられた部分に、成長を感じる。

3.読書感想文など、文章化に挑戦するみなさんへ

●ポイント 文章構成は 起承結の3ブロックに分ける

起:どんな本か端的に
承:内容を具体的に … 読書メモでマーキングした「抜粋部分」も活用
結:自分の思いを書く … 読書メモに書いた「気づき」の部分を活用

中江さん
「読書メモ」を書いておけば、読後のみずみずしい感想や気づきをとどめることができます。せっかく読んだ本なのだから、人生を豊かにする糧にしましょう。


【案内人】
☆女優・作家・歌手 中江有里さん

1973年大阪生まれ。1989年芸能界デビュー。
数多くのTVドラマ、映画に出演。02年「納豆ウドン」で第23回「NHK大阪ラジオドラマ脚本懸賞」で最高賞受賞。NHK-BS『週刊ブックレビュー』で長年司会を務めた。NHK朝の連続テレビ小説『走らんか!』ヒロイン、映画『学校』、『風の歌が聴きたい』などに出演。
近著に『万葉と沙羅』(文藝春秋)、『残りものには、過去がある』(新潮文庫)、『水の月』(潮出版社)など。
文化庁文化審議会委員。2019年より歌手活動再開。

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