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心の風景をのぞいてみよう

中江有里のブックレビュー
  • 2021年5月11日

50代女性の心を代弁してくれるエッセイ。遠藤周作の母に対する恋慕。混とんとした現代社会を表す書評。多種多様な閉じ込められた世界を舞台にしたアンソロジー。大阪を舞台に二人の過去の記憶をのぞく一冊。
どこにも出かけられなくても、心の風景は無限大!そんな5冊を紹介します。

【番組で紹介した本】

『ひきこもり図書館 部屋から出られない人のための12の物語』
編者:頭木弘樹
出版社:毎日新聞出版

ひきこもるとは、いったいどういうことなのか?
病のため、十三年間のひきこもり生活を送った編者ならではの視点で選ばれた、今の時代だからこそ読みたい、閉じられた空間を舞台にした作品集=アンソロジーです。

Yuri’s Point
「あの塀を見ろよ。最初は憎み、しだいに慣れ ―長い月日の間に頼るようになる」※映画『ショーシャンクの空に』より引用

中江さん「人に触れない、極力会わないことを求められて1年が過ぎ、いつのまにかこの距離感が当たり前になってきた。一日も早くみんなで集える日が来てほしいと願いつつ、いまの生活に慣れきってしまい、いざ解放されたときに元の世界に順応できるか不安。いまこそ、この本に描かれている場面の深いところが理解できる」

 

『大阪』
著者:岸 政彦・柴崎友香
出版社:河出書房新社

大学進学以降大阪で暮らす、社会学者で作家の岸政彦さんと、生まれてから30歳まで大阪で過ごし、その後東京で暮らす、芥川賞作家の柴崎友香さんが、それぞれの「大阪」についてつづる、往復書簡形式のエッセイです。

Yuri’s Point
「自分を育てた景色」

中江さん「私はこの本を読んで、自分が大阪の人間関係や空気に育てられ、離れてからは東京のそういうものに影響を受けたのだと分かった。自分を育てた景色や人、環境、時代があって、今の自分がいる。いまはその場所にいないかもしれないし、子供の頃の景色がすでにないかもしれないが、私の心の中にはいまもある。そんな『心の中の風景』を訪ねる楽しさを教えてくれる一冊」

 

『ガラスの50代』
著者:酒井順子
出版社:講談社

中江さん「『負け犬の遠吠え』著者が50代女性の心を代弁。こんな人生の先輩がいてくれると心強い」

 

『影に対して 母をめぐる物語』
著者:遠藤周作
出版社:新潮社

中江さん「新たに発見された表題作を収録。母への恋慕、罪の意識に胸が締めつけられる」

 

『言葉である。人間である。 読書術極意』
著者:藤沢周
出版社:言視舎

中江さん「芥川賞作家による75編の書評。混とんとした現代社会を見事に表している」


【案内人】
☆女優・作家・歌手 中江有里さん

1973年大阪生まれ。1989年芸能界デビュー。
2002年『納豆ウドン』で第23回BKラジオドラマ脚本懸賞最高賞受賞。
読書家としても知られ、NHK-BS「週刊ブックレビュー」で長年、司会を務めた。
近著に小説『残りものには、過去がある』(新潮社)、『トランスファー』(中央公論新社)など。2019年より歌手活動を再開。

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