「子どものうんちがでない」「医療機関を受診すべき?」など、親にとって子どもの便秘は心配です。日本で最初に便秘外来を立ち上げ、これまでに3万人以上の便秘の悩みに向き合ってきた順天堂大学医学部の小林弘幸教授に、子どもの便に関する疑問や便秘解消法について聞きました。以前掲載した記事の反響が大きかったため、ケアの動画を加えた最新版にしました。
お悩み(1)
11ヶ月の子どもがいます。便秘の原因は何ですか?1日出なくても大丈夫でしょうか?
子どもの場合、腸の形、排便に必要な筋肉が未熟なことが原因で便秘になることが多いです。大人の場合は食生活やストレスが影響していることが多いです。排便の回数は、週に2~3回出れば問題ありません。3日間出ないと便秘と言えるでしょう。
お悩み(2)
便秘で顔が真っ赤でつらそうです。病院に連れて行くべきレベルは?
「3日以上出ない」というのも1つの指標ですが、毎日出ていても、トイレを嫌がる、痛がる、泣く、長い時間トイレに入ったままになるといった場合は小児科を受診することをおすすめします。
また、便秘が長く続くとストレスになって、機嫌が悪くなる、元気がなくなる、疲れやすい、いらいらする、食欲のなくなる子どももいます。こういう症状が出たら小児科に相談をしてください。
年齢別に便を出しやすくする方法です。
(1)0~1歳 「の」の字タッチ
大腸の形に沿ってタッチして、便が流れるようにサポートします。
子どもを寝かせて、「の」の字を書くようにタッチします。少しお腹がへこむ程度にやさしく押してください。子どもから見て右脇腹→あばら骨の下→左のあばら骨→左脇腹と赤ちゃんが気持ちよくなるように、ソフトなタッチで繰り返します。くれぐれも強く押さないようにしてください。
(2)2歳以上 大腸ポイント押し
大腸は4隅が動きが悪くなります。特に子どもは図の左下と右上の2か所(子どもにとっては右の脇腹、左のあばら骨の下)が動きが悪く便がたまりやすくなるので、この部分を押していきます。
2か所のポイントを親指で10回くらい押します。他の指を背中に添えるとやりやすいです。子どもが気持ちよくなるような感じでゆっくりやさしく押してください。
小さい子どもは皮膚の下の脂肪や筋肉が薄いので、やさしく押すだけで効果があります。小学生以上の子どもや、大人は、自分でこのポイントを押せば効果があります。
(3)3歳以上 ペンギンジャンプとカエル体操
子どもに楽しくやってもらうために動物をイメージして「ペンギンジャンプ」「カエル体操」と呼んでいます。はねるだけで腸には十分な刺激となるうえ、肛門の筋肉を鍛えることができます。1日10回くらい飛ぶ習慣をつけるといいでしょう。
カエル体操は、足を広げてしゃがみます。子どもは肛門の筋肉が弱いので、しゃがむだけで鍛えられます。できればその体勢のまま、体を左右にひねると腸にも肛門にもより刺激がいくので良いでしょう。昔は和式トイレだったので、肛門の筋肉が自然に鍛えられていましたが、今は洋式トイレでなかなか鍛えにくく、便秘の1つの原因になっているとも言えます。
便秘解消には、食生活も重要です。
●水
水分が不足すると便が固くなり、出にくくなります。特に朝食や帰宅時にコップ1杯の水を飲むように心がけてください。
特に大事なのは朝です。夜から朝にかけては腸の動きが止まるため、起床後に一杯の水を「一気」に飲むと、胃にたまった水が大腸を押して排便に効果があります。冷水でもぬるま湯でもいいですし、子どもの場合はジュースでも構いません。
●おすすめの食べ物
・野菜 ペースト状やジュースでもOK
・バナナ、キウイ ミネラル・食物繊維も豊富
・ヨーグルト 便の固い子どもにはオリーブオイルやアマニ油を入れると快便に
便秘解消には、子どもにストレスをかけないことも大事です。「きょうは出たの?」と聞いたりせず、「朝じゃなくても、いつでもいいんだよ」と優しく声をかけましょう。
また、トイレの中の環境を嫌がる子どももいるので、絵を貼ったりおもちゃを置いたりするなど、楽しくなるような工夫をしてみましょう。