お題:「月」

  • 2020年9月16日

2020年9月16日の放送で紹介した作品
みなさんからお寄せいただいた作品を紹介しながら、気軽に俳句を楽しむ「ひるまえ俳句茶房」。
お題は「月」です。どんな句が飛び出すんでしょうか?


■小倉一郎さん選 お気に入りの3句
【金賞】 産声の響く産院月さやか (千葉県 玉井令子さん)

【銀賞】 古民家の磨くかまどや月出汐(つきでしお) (埼玉県 沼尻みよ子さん)

【銅賞】昼の月ひこうき雲を右に見て(東京都 国立うさぎさん)

■メール、ファックス、ハガキ、お手紙でいただいた作品から紹介した句

・替えがたき人の繋(つな)がり月今宵(つきこよい) (梅田歌子さん)

・フルートをさらう少女や宵の月 (滝本エミ子さん)
 
・黒雲を風吹きながし月ひかる (杉浦令子さん)

・月昇り台所から夕げの香 (金杉和彦さん)

・満月や夜空見上げて境内に (二瓶惠美子さん)

・夕暮の月待人の停留所 (小柳ヨシヱさん)

・月明かり自転車習う夜の道 (内田のり子さん)

・波音と月と夜釣の一人かな (川島隆さん)

・金木犀(きんもくせい)仄(ほの)かに香る三日月夜 (中山智江さん)

・砂浜に流木の影月夜かな (岡まゆみさん)

・松島やかき棚遥(はる)か月の影 (新井一夫さん)

・月明り障子に作る影絵か (髙田貞子さん)

・月中空机にそっとカップ麺 (市川きみ子さん)

・星月夜パノラマ展がせまりくる (武藤元子さん)

・月光に白さきわだつムクゲかな (武井道代さん)

・月いでて猫がいっぴきまたふえし (軒治美さん)

・名月や腕を伸ばしてショベルカー (菊池克己さん)

・命名の墨の香碧(あお)く月天心 (大澤君予さん)

・月明り公園の椅子照らしおり (林田美奈子さん)

・観劇の余韻まとひて月の道 (吉田公子さん )

・名月を遺影の妻と分かちあい (久保博さん)

・晩節の里賑はふや月夜茸(つきよたけ) (村田信明さん)

・半月の道下りゆく僧ひとり (高辻康治さん)

・脱走の子山羊(こやぎ)の眠る月夜かな (杉山勝利さん)

・狛犬(こまいぬ)の阿吽(あうん)の呼吸月に吠ゆ (いまいやすのりさん)

・名月の探してくれた落とし物 (古矢敏光さん)

・沖合で墜落しそうに赤い月 (よしこさん)

・雑木山ぽんと産みける盆の月 (長嶺奈都子さん)

・ベランダに武蔵野の月ぽっかりと (大島すみ子さん)

・三日月やかかりて過ぐる飛行機灯 (真理子さん)

■あと一歩で賞
 ・月の出を待てば船出の時刻かな (栃木県 寺内伸弥さん)
・小倉さんからのアドバイス
「月の出を待ちて船出の時刻かな」
かなが文語なので、口語と文語のごちゃ混ぜはいけません。
「待てば」ではなく「待ちて」とすればよいでしょう。


 ・仕事終え家路を供に月代の (神奈川県 竹内空さん)
・小倉さんからのアドバイス
「仕事を終え家路を供に月代
つきしろとは、月が昇ってくるとき、東の空が白んで見えることをいいます。
この句で気になるのは最後の「の」です。月代「と」一緒に帰るのですよね?!
 

 ・小(ち)さき手やたらひに浮かぶ月すくふ (東京都 佐藤祐子さん)
・小倉さんからのアドバイス
「小さき手たらひに浮かぶ月すくふ」
ちさき手「や」と切れ字を使いましたが、ここで切ると小さい手に焦点が当たってそこで一旦映像が切れてしまいます。
その手で月をすくうのだから一気に詠んでしまったほうがこの句はよいでしょう。


出演者紹介

小倉一郎さん(おぐら・いちろう)

東京都出身。俳優。
1960年、9歳で子役としてデビューし、数々の映画や舞台、テレビドラマで活躍。
舞台出演中の作句がきっかけで1997年より本格的に俳句の道に入る。
河内静魚氏に師事。
古くから伝わる美しい言葉を大切にしつつ、俳句を身近に感じてもらいたいと、
その魅力を伝えている。
俳号は蒼蛙(そうあ)。

句集に『俳・俳』(2000年)、『俳だらけ』(2002年)、
『俳彩(はいいろ)』(2005年)。
著書に『みんな、いい人』(1995年)、『僕の日記帳~続みんな、いい人~』(2010年)、
『小倉一郎のゆるりとたのしむ俳句入門』(2020年)。

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