新型コロナウイルスの警戒レベルが引き下げられましたが、多くの皆さんからの不安の声、お悩みが寄せられています。妊娠・出産についての悩みや子どもたちに関する悩みについて、専門家に話を聞きました。
Q. 透明のフェイスシールドを見かけるが、飛まつ拡散防止になるのでしょうか?
接客業や受付の方が、飛まつを防ぐということでは意味があると思いますが、感染予防の視点からいうと万全ではありません。
車を運転していたり、自転車に乗っている時につけている人もいますが、反射して危険な場合も考えられますので、外すようにしましょう。
Q. 入院している家族の容態を確認したいが、病院への問い合わせはどうすればいい?
心配する気持ちは良くわかりますが、警戒レベルが下がっても多くの病院が面会を断っています。
医師には容態について説明する義務がありますので、主治医に電話やメールで聞いてください。
予約をして10分~15分など、質問項目をまとめておいて一定時間で話すようにしましょう。
Q. 学校で床の雑巾がけをしています。床にウィルスが付着している可能性は?
教育の面から掃除をするという事は大切だと思いますが、ウィルスが床に付着している可能性があるので感染のリスクは高くなります。
子どもたちには最低限の整理整頓をしてもらい、床については教職員や専門の清掃業者に消毒してもらうようにするなど、学校と相談するといいでしょう。
Q. 妊娠7か月です。いまコロナに感染すると胎児にどんな影響が?
※4月に紹介した質問ですが、その時はまだ状況が詳しくわかっていませんでした。
母子感染の情報収集や研究は始まりましたが、感染例も少なく確定的なことは分かっていません。
今のところ、胎盤でウィルスを食い止めているということが分かっています。
日本では今のところ母子感染の報告はありません。一定の頻度で重症者はいますが、特に妊婦だからひどくなるということはありません。外国では母子感染の報告がありますので十分注意してください。
対策としては、今まで通り3密を避ける、不必要な外出を避ける、リモートワークをするなど、本人はもちろん、家族や周りも気をつけるようにしましょう。
Q. 妊婦健診で気をつけることは?
妊婦健診は必ず行ってください。病院へ行くときには下記に気をつけてください。
・徒歩や自家用車など極力他人との接触を避ける。
・病院には予約通りの時間に行き、滞在は最小限にする。
・子どもは連れて行かないようにする。
Q. 念のため出産前にPCR検査を受けたほうがいい?
主治医の判断に従ってください。
Q. 東京からの里帰り出産はまだ避けた方がいい?実家には60代の両親がいます。
現時点でも婦人科学会、産婦人科医会、産婦人科感染症学会ではは里帰り出産を勧めていません。
警戒レベルが下がっても感染リスクはゼロではないので、可能であれば避けたほうがいいでしょう。
住んでいる地域によって状況も違いますので、主治医に相談してください。
Q. 夫の立ち合いで出産はできますか?また、赤ちゃんとの面会はできますか?
警戒レベルも下がり、立ち合ってもらいたいという気持ちもわかりますが、私のいる病院では基本的には遠慮してもらっています。
外国人で夫の通訳が必要だったり、一人になるとパニックになってしまうような精神疾患がある方は、例外として立ち合いを認めています。そのときは、自費でPCR検査や抗原検査を直前に受けてもらいます。
赤ちゃんとの面会もできるだけ短くしています。(ガラス越しに30分ぐらいなど)
※病院によって異なるので確認してください。
Q. 出産の時はマスクをしたほうがいい?
私のいる病院では、妊婦さん・医療スタッフを守るために、マスク使用をお願いしています。苦しくて
本人が直前にPCR検査を受けて陰性であれば、あえてつけない場合もあります。
マスクをつけての出産は苦しいかもしれませんが、胎児や本人が低酸素血症になることはありません。
※病院によって異なるので確認してくだささい。
Q. 授乳中にマスクをしたほうがいい?感染の疑いがある時の対応は?
★感染していない場合
・授乳していいが、マスクをするなどの感染対策をする。
★感染したり、疑いがある場合
・母親は赤ちゃんの世話をしない。ほかの家族が世話をする。
・授乳は控えミルクにするのが無難。
・赤ちゃんも濃厚接触者として自治体に連絡する。
Q. 買い物のときなどマスクを幼い子どもがとってしまいます。何歳からマスクはつけるべきですか?
2歳未満などの乳幼児にはマスクの着用は推奨されていません。3歳ぐらいからつけられるでしょう。
幼い子どもに無理をしてマスクをつけると、熱がこもり熱中症のリスクが高まります。顔色が分からないため、体調の異変に気づかないこともあります。
買い物などの店内では、ほかの人との距離をとりながら行動するのがいいでしょう。
Q. 保育園で先生はマスクをしているが園児はしていません。気をつけることは?
年齢によってマスクを自分で外してしまったり、正しいマスクの着用ができていない場合もあります。感染の広がりを予防する効果はそれほど期待できません。
そのため、園児のマスクの有無にかかわらず人との距離をとることが重要です。園児ではなかなか難しいところもありますが、3密(密閉、密集、密接)を避けるような配慮ができるといいでしょう。
おもちゃや本などの物品からの感染を予防するために、手を洗ったりこまめな消毒も大切です。
Q. 学校で修学旅行などの行事があります。感染予防のため保護者がきることは?
・体調が悪い場合は参加させない。
・みんながよく触れるものは常に消毒。
・飲食のときは必ず手洗い。
・対面での食事を避ける。
・少人数で行動する。
これらの基本を心がけるように、保護者がきちんと子どもたちに伝えることが大事です。
◆妊婦・出産についての悩みの回答
日本大学医学部主任教授
日本産婦人科感染症学会 副理事長
早川智さん
◆子どもたちについての悩みの回答
日本大学医学部小児科 主任教授
森岡一朗さん