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仕事=成すべきことを考える3冊

  • 2020年7月27日

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コロナ禍に、多種多様な仕事をする77人の日記。6つの職業現場を舞台に「あと継ぎ」の視点から新しい時代の働き方・生き方を見つめる仕事小説集。「レビー小体型認知症」と闘う著者が分かりやすい描写で自らの脳の中を明らかにする当事者研究本。「仕事=成すべきこと」とは何かを考える3冊を紹介します。

【番組で紹介した本】

『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』
編集:左右社編集部
出版社:左右社

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出た4月、多種多様な仕事をする人々は、どのように過ごし、何を感じていたのか。
スーパー店員、タクシー運転手、介護士、ゴミ清掃員、専業主婦、作家など、77人のリアルな日記を集めた意欲作。

中江さんポイント
著名人だけでなく、身近な人たちのリアルな日記をまとめたのが、この本の魅力。
日記は、その時の気持ちがありのままに書かれている。
主観で書かれたものも集合体になると、多面的にその時期を映し出す。
新型コロナウイルスの影響で、思うように仕事ができなかった人も、危険を感じながら仕事をしていた人もいる。
多くのひとが「仕事」について切実に考える期間だっただろう。改めて仕事について考えさせられた一冊。

 

『あとを継ぐひと』
著者:田中兆子
出版社:光文社

理髪店を継がなかった息子が受け継いだものとは。
下町の駄菓子工場を継いだ女社長が苦悩する、新事業と結婚。
若女将になりたいトランスジェンダーの息子と、なかなか許せない母。
6つの職業現場を舞台に、新しい時代の働き方、生き方を見つめる、仕事小説集。

中江さんポイント
「あと継ぎ」という視点から、人生が見えてくる一冊。
継ぐひとも、継がなかったひとも登場する。
「あとを継ぐ」のは家や経営だけではない。仕事や志や思いを継ぐことも「あとを継ぐ」こと。
私たちも誰かから意思を受け継ぎ、誰かに譲り渡していくのだろうと思う。

 

『誤作動する脳』
著者:樋口直美
出版社:医学書院

アルツハイマー型認知症の次に多いと言われる認知症「レビー小体型認知症」。著者はこの病気と闘う当事者。
幻視、幻臭、幻聴など五感の変調を抱えながらも、分かりやすい描写や例えを駆使し、自らの脳の中を明らかにした、当事者研究本。

中江さんポイント
病気と闘う当事者だからこそ著せた一冊。
同じ病気でも人により「できる」ことと「できない」ことが違うが、著者は自分が「できる」ことである「書くこと」で、「レビー小体型認知症」を私たちに分かりやすく伝えてくれる。
私たちは、自分たちが「当たり前」と感じることは相手も同じように感じると思ってしまいがちだが、感覚は人によって違う。脳の誤作動によって感じ方が違うと知るだけで、「当たり前」を押し付けずに接することができると感じた。

 
【案内人】
☆女優・作家 中江有里さん

1973年大阪生まれ。1989年芸能界デビュー。
2002年『納豆ウドン』で第23回BKラジオドラマ脚本懸賞最高賞受賞。
読書家としても知られ、NHK-BS「週刊ブックレビュー」で長年、司会を務めた。
近著に小説『残りものには、過去がある』(新潮社)、『トランスファー』(中央公論新社)など。

 

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