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千葉大学 横手幸太郎新学長「風通し良く発展」 免疫・ワクチン研究推進 柏に新たな拠点整備も

  • 2024年6月13日

ことし4月、新たに千葉大学の学長に就任した横手幸太郎氏。報道機関向けに開かれた懇談会で横手学長は「風通し良く、情報共有しながら大学を発展させていきたい」と抱負を語り、今後の千葉大学の運営について説明しました。

昨年度には世界トップレベルの研究拠点形成に向けて、国の事業にも採択された千葉大学。

今後、何を目指し、どのような大学にしていくのか。懇談会で語ったビジョンとは。

(千葉放送局記者 浅井優奈)

新学長就任「風通し良く発展」

横手幸太郎氏は、兵庫県出身の61歳。千葉大学医学部を卒業し、大学院医学研究院の教授や、附属病院の病院長などを務めてきました。中山俊憲前学長の死去を受けた学長選考を経て、ことし4月に就任しました。

横手学長は6月、就任後初めて報道機関向けの懇談会を開き、抱負を述べました。

横手学長

まずは前学長が掲げてきた『世界に冠たる千葉大学へ』という取り組みを引き継ぐことが1年目の最大の使命だ。そこに私の独自性やオリジナリティを合わせながら大学発展のために貢献していきたい。また、もっと風通しをよく、様々な学部と情報共有をしながら大学を発展させていくことに大きな力を入れ、現場の声が我々の方に届き、我々の意見が現場に無理なく反映されるような大学運営を考えていきたい。

“世界に冠たる大学へ”

横手学長がまず、1年目の使命として挙げたのが、前学長の中山氏が力を入れてきた「世界に冠たる千葉大学」を目指す取り組みを引き継ぐことです。

グローバル人材の育成を掲げる千葉大学は、2020年度から、卒業・修了するまでに全ての学生に留学を経験してもらう「全員留学」や、英語による専門科目の開設、さらに、時間や場所を問わず学べるようICTを活用した個別学習システムの構築などを進めてきました。

また、中堅・若手研究者の育成や研究の支援などに力を入れ、社会への応用を目指していく取り組みを推進しています。横手氏は改めて、これらの取り組みを継続して、推し進めていくと説明しました。

免疫学・ワクチン学研究「トップレベル」目指す

続いて、横手学長が力を入れていくとしたのが、国のプロジェクトである「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」についてです。

千葉大学が作成した資料

千葉大学は、特に免疫学やワクチン学の研究について、世界トップレベルの研究拠点を目指すとして、昨年度に採択されました。このプロジェクトでは、東京大学や筑波大学、東京理科大学などとともに、この分野の研究を戦略的に強化し、成果の社会実装につなげていくとしています。

横手学長はこのプロジェクトについて、「採択されたのは非常に大きな意味があり、大学として最大限支援して強みを伸ばしていく。さらにはそれを横展開して全ての学部に広げていく」と述べました。

柏に新たな拠点整備も

また、研究を加速させるために、柏市にある柏の葉キャンパスに新たな施設を整備する計画も説明されました。

「バイオヘルスオープンイノベーションハブ」のイメージ(資料提供 千葉大学)

新たに整備されるのは「バイオヘルスオープンイノベーションハブ」です。大学や研究機関が集まる柏の葉地区に新設されるこの施設で、免疫学やワクチン学、そして予防医学研究などの共同研究を加速させたいとしています。

運営基盤を強化し、持続的発展を

一方、横手学長は、大学を取り巻く課題として、人員削減やインフラの老朽化、教職員の疲弊などを挙げた上で「大学への運営費交付金が毎年2億円ずつ減額になっていて、たいへん苦しい状況にある」と説明しました。

その上で、今後の大学運営については、「運営基盤を強化し、持続的な発展を目指す大学運営をしていきたい」と述べました。

また、運営にあたっては、附属病院の病院長として、毎週、現場の部署を訪れて意見を聞きながら対応にあたった経験を生かし、「現場の目線を大切にしながら現場の声に耳を傾け、課題を解決し、発展していけるように努めていきたい」と話していました。

このほか、記者から大学の運営費の課題について問われると、「国のプロジェクトや産学連携などで資金を集めているが限界があると思う。今の枠組みのなかで努力は必要だが、根本的には国からの支援がもっと必要だ」との考えを示しました。

地域社会とコミュニケーションを

また、地域貢献については、次のように話しました。

横手学長

日本の地域医療が過渡期を迎えているなか、千葉大学病院・医学部は研究、教育、診療を行いながら地域での医療に貢献してきた。一時は医師の「大学離れ」という傾向があり大変だったが、現在は千葉県の医療の最後のとりでとして、大学と医師派遣という面で支えていく志をすべての医師が共有している。また、同じことが教員養成でも求められていて、千葉県の教員がもっと増えるよう、全力で教員の養成に取り組んでいるところだ。さらに地域の企業と、大学の知見や発見を共有することで、相乗的なシナジー効果が生み出せるのではないかと思う。大学では特色のある農業、園芸学、都市開発といったスキルも持っているので、うまく社会とコミュニケーションをとり、今までになかった価値の創造ができるのではないかと期待している。

学長選考めぐり“意見に耳を傾けたい”

一方、今回の学長選考をめぐっては教授会や学生などから選考過程を明らかにするよう求める声が相次いだ経緯があります。

ことし1月に行われた、教員や学外の委員で作る「学長選考・監察会議」では、3人の候補者の中から横手氏を「学長となるべき者」として決定しましたが、それに先だって教員を対象に行われた「学内意向聴取」では、横手氏は2番目の得票数でした。「学長選考・監察会議」はその結果を「参考にして」1人を選出することになっていて、教授会などから説明を求める声が上がったのです。これを受け、3月には議事録が公開される対応が取られました。

これについて横手学長は、「私自身は選ばれる立場だったので経緯を見守るしかなかったが、さまざまな意見があることを学んだので、今後は学長として意見に耳を傾けながら見直すべき点については見直し、よりよい運営に努めていきたい」と述べました。

その上で、学長選考の方法について見直す考えがあるかという問いに対しては、「改めて多くの意見を聞いて、より良い運営方法があるならばそれを検討していくことが必要だと思う。これから役員会、経営協議会、学長選考会議があるので、そのなかでしっかりとした議論を重ねて、結論を出したい」と話していました。

(大学の発表の訂正に伴い、2024年6月14日に記事の一部を修正しました)

  • 浅井優奈

    NHK千葉放送局 記者

    浅井優奈

    2018年入局。函館・札幌での勤務を経て、2023年より千葉局へ。 遊軍担当として地域の話題を取材しています。

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