4・5・6月、特に不登校の児童・生徒が増えると言われています。その背景は?自分の子どもに「学校に行きたくない」と言われたら―?
自身も不登校経験者で、400人以上の当事者に取材をしてきた「不登校新聞」の石井しこうさんに花ラジちばに生出演いただきインタビュー!
「みんな、普通のおじさん・おばさんになるから大丈夫だよ」
今、不登校で悩む人たちにメッセージも届けてもらいました。
聞き手 千葉局キャスター 木下愛季子 ゲストMC シンガーソングライター 声松優一さん
はじめに、石井さんも中学2年生から高校卒業まで不登校を経験されたとお聞きしました。
当時、中学受験にことごとく失敗しまして…「人生、もう終わりだ」と自己否定の気持ちが強くなり、学校に行かなくなりました。今はその時の経験をいかし、不登校の子どもたちをサポートする「不登校新聞」で取材活動をしています。
文部科学省によると、令和4年度、全国の小中学校で30日以上欠席した不登校の児童・生徒は過去最多のおよそ30万人にのぼり10年連続で最多を更新しています。
全国的に不登校が増えているんですね。背景に考えられることは?
大きく分けて3つ考えられます。1つ目は、時間差でコロナによるストレスの影響が出ていること。2つ目は、不登校に関する法律ができるなど不登校しやすい環境がそろいつつあること。3つ目は、生きづらさの低年齢化です。
生きづらさの低年齢化…ですか?
はい。これまで小学校の高学年にあった陰湿ないじめが低学年から始まったり、早くから勉強につまずいたりと、子どもたちが生きづらさを感じるのが低年齢化しているように思います。
う~ん、胸が痛い話ですね…
そして、新しい生活が始まる時期。子どもたちの心の変化に注意が必要とのことですが?
はい。4・5・6月は不登校が増えやすい時期と言われています。新しい友達や先生との相性の問題が出てきたり、場合によってはいじめのターゲットが決まる時期でもあります。さらに、今まで無理して学校に行ってた子の心がポキっと折れて不登校になる“燃え尽き症候群”も起きやすいです。親としては「元気に行けていたのにどうして?」となるパターンですね。
もしも、自分の子どもが「学校に行きたくない」と言い出したら親には何ができるでしょうか?
1番大事なのは、子どもの「行きたくない」気持ちを受け止めてあげること。私のおすすめは「お」と「え」の間の「お~ん」くらいの生返事で深刻になりすぎない雰囲気をつくって、まずは子どもの話を聞いてあげることです。こちら(大人)側の言葉で子どもをコントロールしようとするのはやめましょう。
不登校の子の親にとって、「きょうは学校に行かせるべきか、休ませるべきか…」その判断に悩んでしまいますよね。
そうなんです。ずっと前から、親たちから「子どもを学校に通わせる基準がほしい」という切実な声が届いていました。そこで、不登校新聞と専門医が共同開発したのが「学校休んだほうがいいよチェックリスト」です。20の質問に「はい」か「いいえ」で答えるだけで客観的に判断してもらえます。
ご両親の中には、判断に自信が持てない方もいるかと思います。これは心強い味方になりそうですね!
今、不登校で悩んでいる子どもたちやご家族に伝えたいことはありますか?
そうですね。仕事柄、元・不登校児の大人と会って話す機会があるんですけど、みんな口をそろえて「なんか、普通のおじさん・おばさんになったよね」って言うんです。
普通のおじさん・おばさん?笑
はい。今、不登校で悩んでいる子の中には「自分はみんなと違うんだ。人生終わりだ」と辛い思いを抱えている人もいると思います。当時の私もそうでした。
しかし、振り返ってみると…心配とは裏腹に、私は普通の大人に…普通のおじさんになっていました。笑 なにを言いたいかというと、人生なんとかなるんだよということです。
今を一生懸命生きているすべての子どもたちへ。
「どうか自分を追いつめず、あせらず行こうね。思い通りではないかもしれないけど“捨てたもんじゃないと思える人生”が、きっとあなたを待っているよ」