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“成年後見人”に託される無縁遺骨

人生のしまい方 あなたは
  • 2024年3月19日

シリーズ「人生のしまい方 あなたは」。今回は「無縁の遺骨」を弔う成年後見人についてです。

シリーズでは、火葬や納骨といった死後の弔いを担う家族や親族がいない、無縁の遺骨が多くなっているという現状をお伝えしてきました。そうした中、本来は生前の生活を支援するのが役割である第三者の成年後見人が、そのまま死後の弔いも担わざるを得ないケースが目立っています。

「人生のしまい方」、「お墓」、「遺骨」、みなさんの抱えている悩みやご意見、体験談などをもとに取材を進めていきます。投稿はこちらまでお寄せください。

(千葉放送局記者・木原規衣)

死後事務を請け負う成年後見人

朽名高子さん

社会福祉士の朽名高子さんです。認知症の高齢者や障害がある人などのサポートを行う「成年後見人」を務めています。現在、およそ30人の成年後見人となっていて、施設や自宅を定期的に訪ねています。

成年後見人は、本人の判断能力などに不安がある場合、親族や自治体などが裁判所に申し立てて選任されます。財産の管理のほか、介護の施設やサービスの契約などを代わりに担っていて、本来はこうした生きている間のサポートが役割です。

しかし最近、亡くなったあと親族が関わりを拒否し、成年後見人がやむをえず家庭裁判所の許可を得るなどして代わりに火葬や納骨を行うケースが多いといいます。こうした業務は本来、成年後見人に定められた役割ではありません。

社会福祉士
朽名高子さん

後見人は生きている間の権利を守るためにいるので、亡くなられたとたん、私たちの権限はないんです。だけど、病院から『亡くなられました』という情報が入るので、そのまま放っておくわけにはいかないんです。

朽名さんは数年前、認知症などをわずらっていた70代の夫婦の後見人を務めていました。夫婦は長女を早くに亡くし、親しい親族もいませんでした。

本人の死後に行った対応の記録

夫は4年前に他界。妻もほどなくして亡くなります。火葬は、親族の代わりに朽名さんが一人で行いました。誰もいなくなった自宅には長女の遺骨が残されていましたが、夫婦の遺骨を含め、引き取ると申し出た親族はいませんでした。

かろうじて、夫婦が残した財産を使って永代供養することには同意が得られたといいます。

社会福祉士
朽名高子さん

親族にはわかる範囲で連絡したけれども、“全く関わりたくない”という意向でした。

朽名さんは、付き合いのあった葬儀会社を通じて室内の墓を見つけ、納骨しました。

墓には、長女を含めた3人の遺骨が納められ、朽名さんが時々花を供えています。

社会福祉士
朽名高子さん

どうしても縁を切らなきゃいけない事情があったのかもしれないですよね。本来だったら親族でやってもらいたいけど、緊急的な事務管理の1つとして本人たちを丁寧に納めました。一人寂しく他界されるというのは少し切ないなと思いますね。

成年後見人に求められる役割は 

成年後見人は基本的に本人が亡くなるまでが本来の役割です。成年後見人が火葬や納骨を行っている件数についての調査はありませんが、令和4年度の司法統計によると、成年後見人が財産の引き渡しなど本人が亡くなった後の事務を行った件数は3977件。5年間で2倍に増加しています。この統計の成年後見人には親族が選任されている場合も含まれますが、近年、成年後見人の8割が親族以外の第三者となっているため、朽名さんのようなケースは多くなっていると考えられます。

成年後見人を務めることが多い社会福祉士の団体、日本社会福祉士会の星野美子理事に聞きました。

日本社会福祉士会
星野美子 理事

弁護士・司法書士・社会福祉士などの第三者が後見人になるということは、日常的に関わる親族がいない場合が多く、被後見人が亡くなったあとの火葬や納骨は、本来の後見人の義務でも権限でもありませんが、身寄りがない人や、親族はいるが全く関わらない・連絡も取れないという場合に、法に基づき家庭裁判所の許可を得たり、相続人に確認をした事を家庭裁判所に報告したうえで、後見人が行っている実態が多く見られます。

ただ、あくまでも後見人は本人が生きている間に本人の資産を使いながらその人の生活の質を高めていくためにいるものなので、現状の法律だけでは不十分であることから、後見制度についての議論や法的な整理は必要だと思います。

後見人の制度が現状のままでいいのかは、国も議論を進めているところですが、高齢化・核家族化で家族の力が弱まっているなか、社会全体として、誰がどうやって弔いを担うのか、どう弔うべきか考えていく必要があるのではないでしょうか。

「首都圏ネットワーク」での放送は、「NHKプラス」で3月26日(火)午後7時までご覧いただけます。

  • 木原規衣

    千葉放送局 記者

    木原規衣

    県政担当。お墓や遺骨の取材を続けています

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