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安価・継承不要のお墓「合葬墓」が人気 千葉市では抽せん倍率“38倍”も

シリーズ「人生のしまい方 あなたは」
  • 2024年2月19日

自分や身近な人の「お墓」「終活」「みとり」…考えたこと、あるでしょうか。「多死社会」と言われ、家族や社会のあり方が大きく変わるなか、NHKでは、現代日本の「人生のしまい方」について視聴者の皆さんといっしょに考えていくシリーズを展開します。初回のテーマは「お墓」です。

時代とともに選択肢が増えているお墓。「あなたはどんなお墓に入りたいですか?」街の人の意見を聞きました。そして、注目が高まっている「合葬墓」という、家族や親族以外の人とも同じ場所に納められるお墓についても調べました。公営の合葬墓では、倍率38倍というケースも。

「人生のしまい方」、「お墓」、みなさんの抱えている悩みやご意見、体験談などをもとに取材を進めていきます。投稿はこちらまでお寄せください。

(千葉放送局記者・金子ひとみ)

新宿と錦糸町で「お墓」について聞きました

今回、街の声をたくさん聞いてみたいと、新宿駅前と錦糸町駅前に「お墓のこと聞かせてください」と書いた看板を掲げて立ちました。

墓石を建てて、家族や親族が継いでいく「一般墓」と、家族や親族以外とも一緒に納骨される「合葬墓」のどちらを希望するかも尋ねました。

「合葬墓」とは、墓石の代わりに木の下に埋葬する「樹木葬」や、建物の中のロッカーのような場所に納める「納骨堂」などです。

「一般墓」派の意見

まず、「一般墓」派の意見から。

明治時代からの先祖代々のお墓が清澄白河にあって、そこに入ります。私は保守的な考えで、日本の伝統を守っていかなくちゃいけないという気持ちが強いかもしれません。

お墓、本当に難しい問題、本当に困るのよね。墨田区に嫁いできて長いけど、お墓が遠いんです。義理の父が、みんなに反対されながらも、「生まれ故郷に買いたい」って千葉の南の方に買ったんだけど、行くのに車で3時間かかるんです。息子たちはその墓の管理をするのは難しいと言うから、私が入ったら、お寺さんに永代供養を頼むつもりです。100万円ぐらいかかると言われたけど、そのぐらいならなんとか残せるかなと思うから。

私自身が、父の死後に作ったお墓に入ります。父の書いた「心」という字を墓石に刻んだんです。それを子どもたちに継いでほしいとお願いしています。孫たちにも継いでもらえればありがたいんですけどね。

2年前に主人が亡くなって、お墓を作って、納めました。お墓からまっすぐ行くと、私の家が見えるんですよ。自己満足かもしれないけど、「お父さん(夫)はいつも家が見えるね」と子どもと喜んでたんです。お墓が私からお父さんへのプレゼントです。自慢できるお墓です。私が作ったお墓だから、自分もそこに入らないともったいないでしょ。

「合葬墓」派の意見

続いて、「合葬墓」派の意見です。

子どもがいないこともあり、4年前に夫婦で、長野の善光寺の納骨堂に入ることを決めました。夫婦とも丑(うし)年生まれだから、「牛に引かれて善光寺参り」で有名な善光寺さんがいいなと思って。主人は2年前に亡くなりましたが、「夫婦そろって納骨した方がいいのではないか?」とお寺さんに言われ、私が死んだ後にいっしょに納骨してもらうつもりです。

自分自身のお墓は、自分で見つけて入りたいと思っています。樹木葬とかで、子どもにお参りしてもらいやすいところがいいと思っています。

一般のお墓は高額な土地代や墓石代が気になっちゃうので、自分で無理なく払える、「みんなで入れるお墓」のほうがいいですね。高齢で出産して、子どももまだ小さいので、しっかり考えていかないといけないですね。

歳を取ってきて、お墓のこと、すごく悩んでます。ひとりなんですけど、いなかも遠いし。きょうだいのところに入れてもらうなら、その子どもの許可をもらわなくちゃいけないし。樹木葬とか合同墓とかがいいかなと感じています。

「散骨派」も

お墓を持つつもりはない、という人もいました。

お墓は残された者のためにあるようなもんでしょ。ひとり身だからね、墓は作らないで海に散骨とするつもり。5年ぐらい前から、もしもの時にはどうするかというのは考え始めています。

「合葬墓」25人、「一般墓」25人 で同数でした

10代から80代までの50人が調査に協力してくれました。結果は、ちょうど25人ずつ。

調査前には「合葬墓の希望者は3割ぐらいかな」と予想していましたが、予想よりも合葬墓の希望者が多い印象でした。

千葉市営墓地には2つの合葬墓

最近は、自治体が運営する公営の墓地に合葬墓が設置される例も多くなっています。

印西市の公営墓地内にある合葬墓の納骨スペース

ここでは、千葉市の市営墓地における合葬墓について詳しく取り上げます。

千葉市内には、「桜木霊園」と「平和公園」の2つの市営墓地があり、2013年、千葉市として初めての市営合葬墓を「桜木霊園」に作りました。遺骨は30年間、骨つぼに入れた状態のまま納骨室におさめられた後、袋に移し替えられて埋葬される仕組みです。使用料は1体あたり7万円です。

千葉市「桜木霊園」合葬墓のパンフレット

これに続き、千葉市として2つめの市営合葬墓がいま、「平和公園」に整備されています。樹木葬タイプで、4年後には、3万体あまりを納骨できるようになります。

千葉市「平和公園」で進む工事

樹木葬では、墓標の代わりが木です。「平和公園」の樹木葬では、ヒメシャラやイロハモミジ、ハナモモなどの木と芝生が植えられています。

「平和公園」で個別の墓石を建てる場合、墓石代や工事費とは別に永代使用料が広さに応じて62万5000円~78万1250円かかるほか、管理料として毎年5020円が必要です。

一方、樹木葬の使用料は、1体あたりで通常の納骨の場合が6万円、骨を砕いて粉状にする場合が4万円が最初にかかるほかは、その後の年間管理料などはかかりません

千葉市の担当者

樹木葬を整備してほしいという声は、市民や市議会からあがっていました。都市部では、墓地の用地を確保するのが大変ですが、樹木葬の場合、骨つぼから袋に移し替えて埋葬するので、少ない面積でより多くの遺骨を埋葬できるという特徴もあります。

初めての抽せん会では倍率38倍の枠も

この樹木葬の墓、市が今年度初めて希望者を募ったところ、当初の募集数700件に対して5倍以上の3600件を超える申し込みがあり、去年9月には抽せんが行われました。

募集区分は、すでに遺骨があるか、生前の申し込みか、1体分か、夫婦など2体分か、などの条件ごとに10の枠に分けられています。生前に夫婦など2人分をまとめて申し込む枠が特に人気が高く、60人分の募集に対して2300人以上の応募があり、倍率は38倍あまりに。

抽せん会では、パソコン上で無作為に選ばれた当選番号が、会場前方のモニターに1つずつ表示されていきました。

生前2体枠に申し込んだ人たちからは…

子どもたちに負担をかけたくないと申し込みましたが、くじ運がなく、ダメでした。10年ぐらいは連続で申し込みたいと思っています。

倍率の高さに驚きました。時代を反映しているんだと思います。山口県にお墓はありますが、そこに私たちが入ってもバラバラに住んでいる子どもたちがお墓参りしてくれることは期待できず、子どもたちがお墓参りする必要がないところがいいと考えました。

ダメでした。これまで管理していた代々の墓を「墓じまい」するつもりです。父が大事にしていた墓をしまうのは一抹の悲しさはあるけれど、私が死んだあとにその墓がどうなるかわからないよりは、墓じまいした方が親孝行になるのではないかと思っています。樹木葬を希望しているので、ほかのところも探してみます

9月の抽せんでは、生前に夫婦など2人分をまとめて申し込む枠と75歳未満の1人分の枠の2つは抽せんでしたが、ほかの8つの枠は、申し込んだ人全員が当選しました。

抽せん会の現場

当選者の中には、抽せんへの申し込みが「初めてではない」人も多くいました。

千葉市営の「桜木霊園」の合葬墓の抽せんに4回チャレンジしましたが、いずれも落選して、きょうが5回目でした。今回は抽せんなしで入れるということで、すごくほっとしました。私はひとり暮らしですが、合葬墓に入れば、他人様でも手を合わせてくれるのがいいと思っています。

2年前に主人が亡くなりました。1度、「桜木霊園」の抽せんで落選して、今回の抽せんは2回目なんです。主人が「平和公園」の桜をよく見に行っていたのと、樹木葬の木の中にいいなあと思う木が含まれていたので、夫婦2人分申し込みました。当選してほっとしましたが、今は家にある夫の遺骨と離れることになるのは、なんとも言えない気持ちです。いつまでも家にいてもらってもよかったんだけど。

合葬墓人気、その背景は

合葬墓への注目と人気の高まりについて、墓や終活に詳しいシニア生活文化研究所の代表理事、小谷みどりさんに話を聞きました。

小谷みどりさん

かつては3世代同居が当たり前で集落のお墓に入るのが当たり前でしたが、核家族化が進み、子や孫が離れたところに住むようになると、家族とはいえ、「先祖の墓を守ってほしい」と言いづらいと感じる人が多いのでしょう。

「先祖代々の墓を継承しなければならない」という気持ちよりも「子どもに迷惑をかけたくない」という意識の方が強い人が多いのではないでしょうか。

「安さ」「参りやすさ」「管理の簡単さ」で墓選びする人が増えていて、合葬墓という選択にたどりつくのではないでしょうか。

NHKでは、「合葬墓」について自治体にアンケート調査を行いました。その結果、自治体が設置した「合葬墓」は、この20年で4倍に増加していることが分かりました。

こちらの記事で詳しくお伝えしています。

「人生のしまい方」、「お墓」、みなさんの抱えている悩みやご意見、体験談などをもとに取材を進めていきます。投稿はこちらまでお寄せください。

「首都圏ネットワーク」での放送は、「NHKプラス」で2月26日(月)午後6時半までご覧いただけます。

「人生のしまい方 あなたは」シリーズ全体については、こちらの記事でまとめています。

  • 金子ひとみ

    千葉放送局 記者

    金子ひとみ

    子どものころは1年に3~4回お墓参りしていました。

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