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異常な“暑さ” 原因と見通し 温暖化との関係 農業への影響は

  • 2023年8月7日

「昔からこんなに暑かったっけ…?」「気温38度って珍しかったよね?」

ことし7月、全国の平均気温はこの100年余りで最も高くなるなど、記録的な高温が続いています。なぜ猛暑が続くのか、地球温暖化との関連はあるのか。そして、猛暑による農産物への影響は出ているのか。猛暑の“実態”を探りました。

(千葉放送局記者・渡辺佑捺、木原規衣、金子ひとみ)

この100年で最も暑い夏

連日危険な暑さの日が続いています。7月は、全国の平均気温が7月としてはこの100年余りで最も高くなりました。

【全国の平均気温 平年と比べて1.91度↑】

全国の7月の平均気温は平年と比べて1.91度高く、気象庁が1898年に統計を取り始めてから最も暑い7月となりました。

【東日本 記録的猛暑の2018年に次ぐ過去2番目】

東日本の7月の平均気温は、記録的な猛暑となった2018年に次いで過去2番目の高さとなり、千葉市では平年と比べて2.6度高くなるなど、7月としては過去最高を更新した地点が相次ぎました。

“50年に1度の猛暑” 昔38度→現在41度

なぜこんなに暑くなっているのか。専門家に話を聞きました。

気候変動や異常気象を研究している東京大学大気海洋研究所の今田由紀子准教授です。過去の気象データの分析と、将来の気候のシミュレーションを行っています。

渡辺記者

昔と比べると、現在はどの程度暑くなっていると言えますか?

今田准教授

「50年に1度」の極端な高温は、1900~1949年では38度前後でしたが、2000~2022年では41度くらいまで高まっているんです。

今田准教授は、気温が高いことで知られる埼玉県熊谷市と鳩山町、群馬県館林市について、1900~2022年の7・8月の最高気温を分析しました。

熊谷市の暑さを伝えるNHKニュースより

その結果、次のことが分かりました。

1900~1949年では、その地域にとって「50年に1度」の確率で起こるような暑さは38度前後でした。

ところが2000~2022年になると、38度は「3年に1度」以上の高頻度に。つまり、1900~1949年の数十倍ほどの確率で起こりやすくなっていたことがわかったのです。

さらに、2000~2022年「50年に1度」の確率で起こる高温は、41度前後に達しました。

アメダスのデータを元に今田准教授が作成したグラフ

猛暑の原因は?地球温暖化の影響は?

渡辺記者

なぜ、これだけ暑い日が増えているのでしょうか。

今田准教授

エルニーニョ現象やラニーニャ現象といった自然現象に、都市化によるヒートアイランド現象、そして地球温暖化が複雑に重なり合っています。

この中で、地球温暖化がどの程度影響しているのかをシミュレーションして調べました。

今田准教授は、温暖化が進んでいる気候と、仮に温暖化が進まなかった場合の気候を、それぞれコンピューター上でシミュレーションし、猛暑日の日数を比較しました。

その結果、平成30年7月の例では、温暖化が進んでいなかった場合に比べて、関東平野一帯の猛暑日は、4日から6日程度増えていたという結果になりました。

赤が濃いほど猛暑日の日数が増加している

さらに、首都圏の都市部では「ヒートアイランド現象」のため、気温がさらに高まるおそれがあるということです。

今田准教授

人間活動による温室効果ガスの排出が原因の地球温暖化が、厳しい暑さに影響していることは疑いようのない事実です。

適切な対策をしない限り、暑さによる健康被害や農作物への影響は、さらに深刻化していくおそれがあります。

ブルーベリーに被害が…

異常な暑さは、農産物の収穫に影響しています。

6月から8月にかけて収穫の最盛期を迎えているブルーベリー。千葉県は、ブルーベリーの生産量が全国の都道府県で5番目に多く、生産が盛んです。

いすみ市のブルーベリー農家、片岡尉さんを訪ねました。

木原記者

ブルーベリーの収穫にどのような影響が出ていますか?

片岡さん

厳しい暑さが続いているので、例年より2週間ほど早く収穫を始めましたが、高温と強い日ざしの影響で畑に水分が十分に行き渡らず、実が小さくしぼんで硬くなる被害が相次いでいます。

しぼんでしまった実
しぼんでしまった実(左)と順調に成長した実(右)

ブルーベリーの栽培に適した気温は30度までとされ、畑のある地域は比較的涼しく、30度を超えることはこれまで多くなく、夏の収穫も可能でした。

しかし、ことしは7月から厳しい暑さが続いたため、出荷できず捨ててしまう実が多く、廃棄した実は収穫全体の2割と例年の5倍以上に急増しているということです。

片岡さん

多くの実を捨てないといけないのは残念です。これだけ暑すぎるとブルーベリーにも、収穫する人にもよくないので、和らいでほしいです。

来年以降はしっかりと収穫できるよう工夫したいです。

の生産にも影響

千葉県名産のの出荷も、「暑さ」で変わりつつあります。200軒ほどの梨農家がある市川市の選果場の1つを訪ねました。

千葉県の梨の収穫は8月が最盛期で、今後も品種を変えながら10月ごろまで続きます。この選果場では、最初に収穫する品種「幸水」の出荷を7月23日から始めました。

出荷される「幸水」

例年、初出荷は8月の初めですが、ことしは気温が高く、日ざしの強い日が続いたことから、色づきが早く、収穫を10日ほど早めて対応したということです。

金子記者

出荷が早まると、どのような影響があるんでしょうか。

「JAいちかわ迎米梨業組合」
及川剛 組合長

これまでお盆の贈答品やお供えとしては、主に「幸水」が一般的でしたが、今シーズンは例年、8月下旬ころに親しまれる「豊水」が主流になるかもしれません。

長年、梨を作ってきましたが、こんなに出荷時期が早いのはこれまでに経験がありません。今後も年々早めざるをえないのではないかと考えています。

9月下旬から最盛期を迎える品種「新高」を襲った異変とは👇
夏の猛暑で梨に被害「新高」8割が出荷できず 9月で梨シーズン終了も 千葉 市川

今後の暑さ 何ができる?

すでに被害が出ている異常な暑さ。今後もさらに気温が高まることが懸念されています。

渡辺記者

私たちにできることはないのでしょうか。

今田准教授

残念ながら、我々が努力したとしても、しばらくの間は気温上昇が続いていくと考えられます。ただ、人間活動による温室効果ガスの排出が、厳しい暑さに影響していることは疑いようがないので、まずは温室効果ガスの排出削減が急務です。

そのための政策は、国や自治体から打ち出されてはいますが、それを国民一人一人が実感し、支持するところがまだ足りていません。一人一人が声をそろえ、排出削減の取り組みを支持することで、国が打ち出す政策が実現に近づくと思います。

  • 渡辺佑捺

    千葉放送局記者

    渡辺佑捺

    千葉に来て3年目ですが、年々暑さが酷くなっていると感じます。

  • 木原規衣

    千葉放送局記者

    木原規衣

    フルーツ王国・山梨で5年間取材し、8月から千葉に赴任しました。豊かな千葉の農産物を堪能したいです。

  • 金子ひとみ

    千葉放送局記者

    金子ひとみ

    千葉局6年目。遊軍担当。

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