エネルギー価格や物価の高騰が続くなか、千葉県は5月補正予算案で、小学生から高校1年生までを対象とした1人あたり1万円の臨時給付金や、ガス代や電気代の支援などを盛り込みました。補正予算案の中身を詳しく見ていきます。
千葉県は、5月補正予算案として209億2900万円を編成しました。
生活者支援として84億6900万円、事業者支援として124億6000万円です。
生活者支援のなかに、県独自の新たな子育て支援策として60億円が計上されました。
▼子どもの成長応援臨時給付金 54億円
物価高騰の影響を踏まえ、習いごとや体験活動などにかかる経費の負担を軽減し、将来を担う子どもたちが豊かな成長につながる機会を得られるよう、小学校1年生から中学校3年生までを対象に、県独自に給付金を支給する。
県内に住む小学1年生から中学3年生までの子どもたちを対象に、保護者の所得制限なしで、1人あたり一律で1万円を支給するとしているよ。
▼高等学校等新入生臨時給付金 6億円
物価高騰の影響を踏まえ、制服や教材などの購入費の負担を軽減するため、特に影響が大きい高校1年生を対象に、県独自に給付金を支給する。
県内に住む高等学校などの1年生を対象に、こちらも保護者の所得制限なしで、1人あたり一律1万円を給付するということだよ。
1万円という金額について、県は、平均支出額と消費者物価指数の上昇率をもとに設定したんだって。
給付金はどのように受け取ることができる?時期はいつごろ?なぜ小1から高1なの?
千葉県が小中高1に1万円給付 受け取り方法は?時期は?
▼低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金(ひとり親世帯分) 1億500万円
物価高騰に直面する低所得のひとり親世帯を支援するため、子育て世帯生活支援特別給付金を支給する。
▽令和5年3月分の児童扶養手当の支給を受けている人
▽公的年金などを受給していることにより児童扶養手当の支給を受けていない人
▽家計が急変し、収入が児童扶養手当を受給している人と同じ水準となっている人
上記の人たちを対象に、児童1人当たり一律5万円を給付するとしています。
▼県立学校の学校給食における物価高騰対策事業 2400万円
食材などの価格が高騰していることから、学校給食の質を維持するとともに、急激な給食費の値上げを防ぐため、食材費の高騰分について県が負担する。
給食を実施している県立学校(特別支援学校33校、中学校2校)を対象に、ことし6月から支援を開始するとしているよ。
▼LPガス料金負担軽減支援事業 23億4000万円
国が実施するガス料金の激変緩和措置の対象とならない、LPガスを利用している一般消費者などの負担の軽減を図るための支援を行う。
県内のLPガス利用世帯などを対象に、1世帯等あたり2400 円(1か月400円×6か月分)支援するということだよ。
▼農業用生産資材価格高騰緊急支援事業 11億円
農業用生産資材の価格高騰の影響を受ける農業者の負担軽減を図るため、価格高騰額の一部を支援する。
生産性向上に取り組む農業者※を対象に、上限を20万円として肥料を除く生産資材価格高騰額の1/2相当が支援されるということだよ。
※個人の場合、原則として青色申告を行っている場合を対象。
※直近決算における生産資材費(肥料費を除く)が20万円以上の農業者に限る。
▼農業水利施設物価高騰対策支援事業 3億4200万円
農業者の負担軽減を図るため、農業水利施設のエネルギー価格高騰額の一部について、土地改良区などに対し支援する。
土地改良区などを対象に、農業水利施設における令和5年4月から9月までのエネルギー価格の高騰分が支援されるということだよ。補助率は1/2等。
▼畜産飼料価格高騰緊急対策事業 12億1800万円
飼料価格高騰の影響を受ける畜産農家の負担軽減を図るため、配合飼料価格安定制度への積立及び粗飼料の購入に要する経費について支援する。
配合飼料価格安定制度に加入している県内の畜産農家は、配合飼料の令和5年度当初契約数量1トン当たり600円。
県内の酪農家および肉用牛農家は、乳用牛は1頭当たり1万5000円、肉用牛は1頭当たり3000円支援されるということだよ。
▼漁業用資材価格高騰緊急支援事業 1億8000万円
漁業用資材の価格高騰の影響を受ける漁業者の負担軽減を図るため、価格高騰額の一部を支援する。
漁業経営セーフティーネット制度に加入している漁業者を対象に、漁業資材価格高騰額の1/2相当が支援されるということだよ。
▼医療機関等物価高騰対策支援事業 36億円
医療を安定的に受けられるようにするため、医療機関等に対してエネルギー・食料品価格高騰の影響を軽減する支援を実施する。
病院および有床診療所では1床あたり5万円、無床診療所(歯科を含む)と薬局では1施設あたり4万円の支援になるそうだよ。
▼社会福祉施設物価高騰対策支援事業 26億円
介護や障害福祉サービス等を安定的に受けられるようにするため、社会福祉施設に対してエネルギー・食料品価格高騰の影響を軽減する支援を実施する。
施設ごとに支援額も変わってくるよ。
▽高齢者施設では、入所施設だと定員1名あたり2万5000円、通所施設だと1施設あたり30万円(小規模施設は10万円)。
▽障害者施設・グループホームなどでは、入所施設だと定員1名あたり2万2000円(グループホームは1万6000円)、通所施設だと1施設あたり4万円。
児童養護施設などでは、定員1名あたり1万2000円が支援されるということだよ。
▼特別高圧電気料金高騰対策事業 20億円
国が実施する電気料金の激変緩和措置の対象とならない、特別高圧で受電している中小企業などの負担軽減を図るための支援を行う。
特別高圧契約で受電し、県内で事業を行う中小企業などを対象に、4~8月:3.5 円/kWh、9月:1.8 円/kWhを目安に支援することが想定されているよ。
▼地域公共交通物価高騰対策支援事業 1億2000万円
地域に不可欠な公共交通手段を維持するため、燃料価格などの高騰の影響を受ける地域公共交通事業者を支援する。
▽県内乗合バス事業者(高速バス及びコミュニティバスのみを運行する事業者は除く)は車両1台あたり2万円、▽県内タクシー事業者は車両1台あたり1万円、▽県内地域鉄道事業者(銚子電気鉄道株式会社、小湊鐵道株式会社、流鉄株式会社)は事業規模に応じて24万円~180万円が支援されるということだよ。
▼貨物運送事業者物価高騰対策支援事業 13億円
地域経済を支える重要な社会インフラである物流を維持するため、燃料価格等の高騰の影響を受ける中小貨物運送事業者を支援する。
県内に営業所がある貨物運送事業者(中小企業など)を対象に、▽営業用普通貨物自動車だと車両1台あたり2万3000円、営業用軽貨物自動車だと車両1台あたり8000円が支援されるということだよ。
この5月補正予算案は、今月開会する県議会の臨時議会に提出されます。
補正予算案が成立すれば、今年度、令和5年度の県の予算額は2兆2180億5400万円となります。