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久留里線 久留里-上総亀山 “バス転換” JR東日本が協議打診へ

  • 2023年03月08日

地方鉄道の存続が課題となる中、JR東日本は、千葉県を走る久留里線の一部区間について、バス路線への転換を視野に、自治体に協議を打診する方針を固めたことがわかりました。
JR東日本が、不採算を理由にバス転換に向けて動き出すのは今回が初めてで、今後の協議の行方が注目されます。

 JR東日本「バス転換」協議へ

JR久留里線は、千葉県の房総半島を走る32点2キロの路線で、1912年に開業以来、生活の足を担ってきましたが、人口減少や交通網の多様化で利用が落ち込み、赤字が続いてきました。

JR東日本は、新型コロナの影響で経営環境が厳しくなる中、久留里線の3分の1にあたる、君津市にある久留里駅と上総亀山駅の9点6キロの区間について、バス路線への転換を視野に千葉県や沿線の君津市に協議を打診する方針を固めたことがわかりました。

【久留里駅~上総亀山駅】
▼1日あたりの利用者数の平均 1987年度 823人→2021年度 55人と、この30年余りで9割減少
▼昨年度の営業費用は2億8100万円だった一方、収入は100万円と赤字が続く

分割民営化以降、JR東日本が不採算を理由にバス転換に向けて動き出すのは今回が初めてで、バス路線の拡充などを提案していきたいとしています。

久留里線とは

今回、JR東日本がバス転換に向けて動き出したのは、久留里駅から平山駅、上総松丘駅を経て終点の上総亀山駅に至る9点6キロの区間です。

朝と夕方、夜を中心に、▼下り列車が1日8本、▼上り列車が1日9本運行されています。

上総亀山駅

上総亀山駅は、君津市の山間の集落にある無人駅で、8日は午後2時すぎに2両編成の下り列車が
到着すると、7人ほどが下車しました。

地元の利用客は2人ほど、あとの5人ほどは鉄道ファンや旅行者とみられ、カメラで駅舎や列車、駅の周囲を撮影したあと、15分後に出発する折り返しの上り列車に乗って行きました。

さいたま市の大学2年生

初めて乗りました。高校生も乗っていましたが、 途中からは自分のような鉄道ファンがほとんどで、地元の人が日常的に使っているかというと、違うのかなという印象です。鉄道は維持費がすごくかかるので、ファンとしては残してもらいたいけど、そこは仕方ないのかなと思います。

大阪府吹田市から来た66歳の男性

私のふるさとの岡山県でも同じような状況のところがあります。寂しいけど、民間の経営者ならやむを得ないのかもしれないですね。ただ他にもっと乗客が少ない路線もあるので、それと比べると結構多かったんじゃないかと思いました。

上総松丘駅

地元住民の反応は

上総亀山駅で下車した男性

列車がなくなると不便になりますね。今までどおり維持してほしいという思いがあります。私の祖父たちが誘致活動に力を入れたと聞いてきました。幼稚園のころから利用していて、生活の一部でした。駅前の掃除を毎朝行っている人がいるほか、大規模な掃除の際には集まってお茶会をするのが楽しみでした。君津市にはJRとの間でしっかりと対応策を検討してほしいし、何らかの手を打たないと地域がどんどん過疎になってしまうのではないか。

上総松丘駅の近くに住む男性

利用者の減少にともなって、始発の時間が遅くなって使いにくくなっていました。私自身は何十年も乗車していませんが、免許を返納した人が列車を使って久留里駅に買い物に行くなど利用しているので、なくなってしまうなら残念です。バスの運行になる場合は、大きな道路のみに停留所を作るのではなく、住民の利用しやすさも考えてほしい。

久留里駅の近くに住む女性

ぜひ存続してほしいです。代わりのバスが出ればいいとは思いますが、電車の方が時間が正確で乗りやすいと思います。

観光関係者は

亀山湖

終着駅の上総亀山駅から近い観光地の亀山湖の湖畔にある旅館の経営者は、「宿泊客の多くは車で来ていますが、田園の中を走る久留里線は風情があり、それを求めて来る人もいます。地元にとっては観光資源なので、どう影響するか分かりません」と心配していました。

また、亀山湖の近くでペンションを経営する男性も、「列車に乗ってきてそのまま宿泊される鉄道ファンのお客さんも多いので、バス路線に転換すると影響が心配です」と話していました。

君津市担当者

現時点でJR東日本から何も打診はなく、コメントは難しい。沿線の活性化や利用促進に取り組んできた君津市としては、久留里線全線が地域の重要な路線だという認識は変わらない。最も大事なのは、地域の住民が自由に移動できるような足が確保されることで、今後JRから打診があれば、内容を精査した上で対応を検討していきたい。

地方鉄道の存続は全国各地で課題となっていて、国も公共交通の再構築に向けた議論を促す中、今後の協議の行方が注目されます。

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