1月23日、匝瑳市の小中学校や幼稚園では、特別な給食が出されました。その名も「大匝瑳膳」。地元産の食材をふんだんに使ったこの給食は、子どもたち自身がレシピを考え、コンテストで選ばれたもの。さて、そのお味は?
(千葉放送局銚子支局記者 岡根正貢)
匝瑳市は2006年1月23日、旧・八日市場市と旧・野栄町が合併して発足しました。特別メニューの給食は、それを記念して、子どもたちに地元への関心を深めてもらおうと企画されたものです。その「大匝瑳膳」がこちら。
一品一品に、子どもたちのアイデアと、生産者や調理スタッフの思いが込められています。
こちら『カルシウムたっぷり小松菜とじゃこの炒め物』。市内で栽培された小松菜に完熟の赤いピーマンを加え、彩り鮮やかに仕上がっています。この小松菜は12月から3月に旬を迎え、甘みがあって柔らかく、えぐみが少ないのが特徴です。
給食用に30キロの小松菜を提供したのは、市内の堀川地区の農家、伊藤昌美さん。取材にお邪魔した日は、宮内康幸市長も収穫を手伝っていました。
自分で食べておいしいと思う野菜を作っています。学校給食には安全でおいしいものを届けています。
子どもたちのアイデアと生産者の思いでできた合併記念の給食をおいしく食べてもらいたいです。
給食の5日前の1月18日には、学校給食センターで管理栄養士や調理員が子どものレシピをもとに打ち合わせを行いました。
給食の場合、調理してから子どもが食べるまで時間がかかるため、野菜の炒め物はその間に水分が出て味を損なってしまいます。そこで、かたくり粉でとろみをつけ、水分が出るのを抑える工夫をすることにしました。
このレシピを考えたのは、八日市場小学校6年生の田山侑希乃さんです。自分で考えた一皿を、給食で味わった感想は?
お父さんと一緒に試食を繰り返し考えました。考えたレシピに、とろみがつくアレンジがされていて、おいしくなっていました。
『栄養満点!東総とん汁』は、市内で栽培された大豆と米で作ったみそが味の決め手です。
みそを提供したのは、齊藤超さん。齊藤さんは代々続く農家で、有機農法で育てた米や大豆を使ってみそを手作りしています。
学校給食を通じてみそのことを知ってもらい、食べてもらえることはうれしく、励みになります。
栄養満点になるように地域のものをふんだんに使うように考えました。友だちからおいしかったと言われてうれしかったです。みんな優しくて明るい匝瑳市になってほしいです。
こちらは『鮭の和風バターポン酢』。エノキダケとニンニクをバターで炒めたソースを、ポン酢であっさりした味に仕上げ、さけのムニエルに合わせました。
さけは好物でお寿司などでもよく食べています。料理は全くしませんが、友だちから「おいしい」と言われてうれしかったです。匝瑳市はお年寄りや子どもが安全に暮らしていけるまちになってほしいです。
中学校で提供された『しっとりささみのレモンソース』。下味とかたくり粉を付けた鶏のささみを揚げて、しょうゆと砂糖、レモン汁で甘酸っぱく仕上げたタレに漬けました。
ささみの料理を食べたとき、好きなレモンを使って甘酸っぱくできないかとお母さんと一緒に考えました。
白米ももちろん、市内で収穫されたもの。栢田地区で佐藤真吾さんが栽培した有機米です。
給食を通じておいしいお米を食べてもらい、有機農業の取り組みが少しずつ広まってほしいです。
今回の企画を担当した学校給食センターの管理栄養士、長井真理子さんは。
お米や小松菜などを生産者が直接届けてくれることで調理員の意識も上がります。子どもたちには給食を通じて地域や健康について考えてほしいです。
給食を通じて、市の誕生日や地域の食材など自分が住んでいるまちのことについて学ぶきっかけになる、とてもいい取り組みだと感じながら取材を進めました。
食材を提供する方々が「子どもたちに安心でおいしいものを届けたい」と話す姿や、その食材を生産者から直接受けとる調理スタッフも「食育にかかわっているという気持ちが高まっている」と話していたことが印象に残りました。
子どもたちに人気のメニューに「鶏肉のマリネ」があるそうですが、私が小学生のころにはそのようなメニューはなく、うらやましいなぁと思いました。