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「不適切保育」発覚 松戸市の小規模保育事業所 法人の会見詳報

  • 2022年12月21日

松戸市の小規模保育事業所で職員3人が園児6人に、額をたたくなどの不適切な保育を行ったとして市が行政指導を行いました。12月20日夜に施設を運営する社会福祉法人が、保護者説明会(非公開)のあとに開いた会見の内容です。
(1つ前の記事では、12月19日に松戸市が開いた会見の内容をお伝えしています)。

「不適切な保育」事案が発生した施設概要
施設名 :コモレビ・ナーサリー(小規模保育事業所)
運営法人名:社会福祉法人菊光会
施設の現況:職員9名、入所児童17名(1歳7名、2歳10名)
▽現在も施設は開園中。1つのフロアで1歳児と2歳児の保育が行われている。
▽法人は松戸市内で4つの保育所、市川市内で1つの保育所を運営。

会見内容詳細

会見には理事と事務長が出席。理事長は、保護者説明会の対応で体調が悪化したため、欠席。

【保護者説明会で法人が話したこと:謝罪と受け止め】

「入所児童に対する保育従事者として、決して行ってはならない、不適切な暴力的な行為を行っていました。お子さまを預かる保育園として、決してあってはならない行為であり、保護者様には、本当に申し訳ありません。
乳幼児を預かる保育園は、児童の安全・安心が確実に担保される施設でなければばなりません。いかなる場合でも、保育従事者は児童に対して、暴力的行為が許されるものではなく、これは犯罪です。
今後、当園は2度とこうした事態が発生しないよう、必ずお子さまの安全と安心が確保される保育環境の再構築に向けて努めていきます。
法人として、コモレビ・ナーサリーの入所児童の安全確保を最優先に、職員の配置と不適切な保育行為の撤廃・防止に全力をあげて取り組むことを誓約いたします」

【保護者説明会で法人が話したこと:これまでの経過】

10月 7日 松戸市から「不適切な保育が行われている可能性がある」と調査を受けた
10月24日 防犯カメラの録画データを市役所に提出した
12月 2日 市役所にて録画の内容のうち、不適切な部分について指摘を受けた
12月 3日 園長らに、状況を説明した上で保育のあり方を確認。法令遵守の徹底を指示した
12月 9日 松戸警察署の事情聴取を受けた
12月10日 被害にあった2人の子の保護者に松戸警察署が事実確認を行った
12月12日 法人と加害保育士2人で被害児2人の保護者に謝罪と報告をした
12月19日 松戸市から行政指導を受けた
12月20日 保護者説明会を開催

【保護者説明会で法人が話したこと:警察の捜査について】

・松戸警察署の捜査が進んでいる。警察からは現時点では、2人の保育士、2人のお子さんが関係する事案を捜査していると聞いている。
・防犯カメラのデータも警察に提出中で、戻ってきたら、希望する保護者には見せたい。

【保護者説明会で法人が話したこと:今後の対応について】

《新たに講じる対策》
無記名の意見ポストの設置
定期的な保護者からの評価アンケート
③上記①②の結果で、必要によって職員の配置転換
保育従事者の乳幼児保育の研修強化
→内部の研修だけではなく、外部機関の研修も取り入れていきたい。
⑤児童の安全確保の目的から、防犯カメラの機能を拡大
→現在は、内部2か所・外部2か所にあるが、内部を4か所に増やしたい。また、一度に録画・保存できる容量も、30日分に増やす予定。
→出席した保護者から「保護者の携帯から撮影内容を見ることができるものがある。そういったものを導入したらどうか?」という提案があり、法人として検討していく。
⑥その他、園と法人が必要と判断する措置
→危機管理機関と契約して、保護者も保育園も相談できる第三者窓口を開設したい。

【保護者説明会で、保護者が話したこと】

・12月10日に警察から映像を見せられた2人の保護者が発言した。この2人の保護者には、法人と保育士自身で謝罪に行っている。
・1人は、「ビデオを見て、非常にショックを受けた」「この保育所に対する不信感がある、保育士の資質が欠けているのではないか」と発言。
・もう1人は、「保育士本人は『頭を押した』と言っているようだが、ビデオを見ると、もっと度合いが強いように感じた。非常にショックだ」と発言。
・一方で、「うちの子はここに来ることがとても楽しみで、加害者と呼ばれる先生のことが好きなんです、あの先生、とてもいい先生なんです」と発言した保護者もいた。

【記者との質疑応答】
Q)なぜ、10月時点では、「不適切保育はない」と市に報告したのか?
A)基本的には、最初は「そういうことがないだろう」という前提で話をしました。保育所内で250時間(11日分×24時間)あるビデオを全部見るわけにいかなかった状況があり、早送りで見ていきました。その中では、確認ができませんでした。今となっては、「間違いだった」と深く反省をしています。

Q)これまで、法人や園に対しての通報はなかったのか?
A)一度もありません。全くありません。だからビデオのチェックの時も、性善説じゃないですが、「そんなことありえないだろう」という認識のもとで、入っていってしまいました。

Q)異常に気づくことはなかったのか?
A)保護者や同じ職場の職員からの声がなく、発見が遅くなりました。今後、働く環境も再構築したいと思います。

Q)11日間で10の不適切な行為があったと市は言っている。これ以外にもあったのではないか?
A)保護者の方からも「他にもあるのではないかという不安がある」という発言がありました。確約を取れるものがなく、「断定はできません」と話をしました。

Q)現在、この保育園はどのような状況か?
A)不適切保育に関係するお子さん含めて登園されています。

Q)転園や退園した子はいないのか?
A)いません。

Q)保護者説明会に出席した保護者の様子はどうだったか?
A)涙を流されていた方が4~5人はいらっしゃいました。「わが子がもしかしたら不適切な保育を受けて傷ついているのではないかと思うと、非常に悲しいと思う」とおっしゃっていた方もいました。17家族の32人が出席されました。
今回の保育士が「誰なのか?」という質問も出ましたが、捜査も進んでいるため、「お答えできない」と回答しました。

Q)きょうの保護者説明会で説明責任果たせたと考えているか?
A)保護者さんは今日の説明だけでは満足はしていないだろうなと感じました。今後もご報告していくと話しました。保護者からは「紙に書いてあることと口で言うこととが違うんじゃないかというイメージを受けた」という話もありました。警察の捜査結果が出次第、また説明会をすべきと考えています。

Q)法人が運営費や補助金を不正に受け取った問題も起きた(※)。なぜ不正受給したのか?
A)保育士不足でなかなか保育士の人数が集まらなかったこともあり、ある施設の経営状況が非常に厳しかったので、退職した職員をそのまま在籍しているようにして、その分、補助金をもらってしまいました。
複数の施設の保育士の定着が悪く、市から「もっと園児を受け入れてほしい」と要請が来る一方で、保育士不足で受け入れられない状況がありました。配置基準をギリギリ満たすという状況でした。
 (※松戸市では、この法人が運営する市内の4つの保育施設が、退職ずみの保育士を職員の人数に入れて報告したり、申請した補助金を職員に支給せずに内部留保したりして昨年度の運営費や補助金あわせて1200万円を不正に受け取ったとして、法人に対し、保育士への追加給付や市に返還を求めるなどの行政指導もあわせて行った)

【19日に行われた松戸市の記者会見の詳細はこちら

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