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脱「袖ヶ浦」のご当地ナンバー見送りに 館山 鴨川 南房総 鋸南

  • 2022年11月28日

統一した車の「ご当地ナンバー」の導入を検討してきた館山市、鴨川市、南房総市、鋸南町の3市1町は、各自治体が合意できる「地名」を選ぶことができず、導入を見送ることになりました。
なぜ合意できなかったのか、館山市に暮らして50年の大西記者が解説します。

ラッカ星人

3市1町の「ご当地ナンバー」、どんな名前になるのか大注目していたんだナッツ。

大西記者

館山生まれ館山育ち、この地に暮らして50年の私も、どうなるのかずっと気になっていたんです。ですが、やっぱりまとまりませんでしたね(ため息)。

ラッカ星人

えぇ、『やっぱり』とは、どういうことラッカ?

なぜ「ご当地ナンバー」?

館山・鴨川・南房総の3つの市と、鋸南町の自動車のナンバープレートは、現在はこの地域には隣接していない「袖ヶ浦」です。

今年4月から「ご当地ナンバー」を導入する要件が緩和され、3市1町の共同だと可能となり、一部の住民から導入を求める声が上がっていました。

大西記者

袖ケ浦市とこの地域は、隣接していないどころか、間に木更津市や君津市、富津市が位置しているため、地域の人たちにとってはずっと、愛着のもちにくいナンバー名だったんですよね。

8割が『導入賛成』!

そこで4つの自治体は、ことし8月、WEBでアンケート調査を行いました。

寄せられた回答はおよそ2500件で、80%あまりが導入に賛成でした。

アンケート調査の結果

寄せられた賛成意見
「まったく関わりがなく、長年『袖ヶ浦』というナンバープレートに違和感を持っていた」
「勝手に決められて、ずっとガマンしていた人は沢山いる」
「『袖ヶ浦』ナンバーは、暴走族のイメージがいまだにある
「ご当地ナンバーになれば、地域をPRできる」・・・など

ラッカ星人

『袖ヶ浦ナンバー』を変えたい!という認識は、多くの人に共通しているようだね。じゃぁ、どんな名前が良いという意見があったのかナ。

大西記者

それについては、80以上のアイデアが寄せられたんです。

アンケート調査の結果

上位5つは、以下のような結果でした(全回答/3市1町)。主な意見とともにご紹介します。

「南房総」(26.8%/26.4%)
「房総半島の南エリアで分かりやすく、暖かいイメージが持てる」「南房総というのが明るいイメージで、将来移住も含めて人気が出そうだから」
「安房」(21.5%/22.3%)
「旧国名であり、この地域を表す適切な地名だから」「安房地方といわれるのになじみがある」
「館山」(11.9%/11.2%)
「全国的になじみのあるイメージがあると思う」「都心から近い高級リゾートとして、潜在性を感じる」
「房総」(6.4%/6.1%)
「房総半島を知ってほしいから」「房総の温暖な印象を持つナンバーに変えた方が良い」
「鴨川」(2.8%/2.8%)
「名前の知られている鴨川で、シャチや波の柄があったら良い」「鴨川が一番イメージが良い」

ラッカ星人

『南房総』と『安房』で、半数近くを占めたね。

大西記者

実はわたしも住民として募集後すぐにアンケートに答えました。わたしは、歴史的にみるとこの3市1町はまさに「安房国」「安房郡」だったので、まとまるならこの名前だなという理由から、『安房国』がよいと回答したんです。

ツイッターにもさまざまな声

このアンケート結果について、NHKが9月4日にニュースとして放送したところ、ツイッターにはさまざまな声が寄せられました。

「各自治体名や平成の大合併前の旧自治体名、曲亭馬琴の南総里見八犬伝に関する動き…。色々とございますが、房総族と房州連合だけは洒落と信じたいです。どう考えても珍走団名称を想起してしまいます」
「『あわ』は徳島県、『房総』は同音異義語を連想されるのでは…。」
「総論賛成、各論反対、みたいな。安房・南総あたりかなと思うけど、80もあると泡沫候補がすごいな」

今回、「ご当地ナンバー」を導入するには、11月までに国土交通省に意向を表明する必要がありました。

ラッカ星人

2か月ちょっとで結論を出さなきゃいけないので、時間があまりないナ。

大西記者

アンケート結果をもとに、3市1町で話し合うことになっていたのですが、自治体の担当者からは『それぞれの地域の住民に思い入れがあるため、名称をひとつに絞るのは相当、難しいだろう』とこの時点ですでに心配する声も出ていたんですよ。

結論は・・・見送りに

各市町では、担当者を中心にアンケート結果をもとに検討を重ねました。しかし、アンケートで最も多かった「南房総」も、館山市や鴨川市の住民からは人気が比較的低いなど、地域によって希望に差があったことなどから、1つに絞ることが出来ませんでした。

ここで拙速に判断する必要はないということになり、4つの自治体は、今回の申請は見送り、今後、再び募集があった場合に改めて協議することになりました。 

反応は?

住民からはこんな声が聞かれました。

60代男性

見送りになったのは残念です。早急に決めるのではなく、時間をかけてゆっくりみんなの合意を得たほうがいいと思います。

70代男性

もう一度チャレンジするなら、地域の人と行政が一緒になって努力してほしいと思います。

60代男性

内側からの目ではなく、外からの人に見せるものなので、それを意識してほしいです。無駄に我を張らずに、魅力的な『かっこいい』ナンバーにしてほしいですね。

中心となって議論を進めてきた館山市の担当者は次のように話します。

館山市企画課 宮澤知幸課長

各市町、住民の考えをとりまとめるのはたいへん難しかったです。ただ、各自治体が気持ちをひとつにして取り組めたのには成果があったと考えています。改めて募集があれば積極的に取り組むことを、3市1町で確認しました。

ラッカ星人

『袖ヶ浦ナンバーを変えよう』という気持ちではなんとなく一致していたのだけれど、結局、当面は『袖ヶ浦ナンバーでいく』ことになったということナッツね。

取材後記

この地域は、20年ほどまえに市町村合併の議論があったのですが、館山市がその議論から離脱することになった理由のひとつに、新しい市の名前をめぐって『南房総市』と『館山市』で対立したことがあったと言われています。今回の「ご当地ナンバー」候補が決まらなかったのは、名前に関心のある人たちの地域への地元愛が強かったことと、3市1町を代表するイメージが見つからなかったことだと思います。私も選択するのにいろいろと悩み、時間がかかりました。今後また導入に向けて動き出す時には、3市1町が、どうして導入したいのか、ご当地ナンバーに何を求めるのかなどを十分に議論する場を持ち、時間をかけて進めていかないと実現は難しいように思えました。また、近隣する市町がともに豊かになっていくような官民連携の地域づくりも大切だと感じました。

  • 大西純夫

    千葉放送局房総支局

    大西純夫

    地域の人々の暮らしを伝えていきます。

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