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飲酒運転防止の検査強化 八街市の教訓いかせるか

  • 2022年04月01日

きょうから新年度。成人年齢が20歳から18歳引き下げられ、食料品や日用品の価格が引き上げられるなど私たちの暮らしが変わります。
新たな制度の1つに、飲酒運転の検査の強化があります。千葉県八街市で児童5人が死傷した事故を受けて、これまで運送業など「緑ナンバー」の車を使う事業所に義務づけられていたアルコール検査について、一定の台数があれば「白ナンバー」の車を使う事業所にも対象が拡大されました。先駆けて検査を行っている千葉県内の事業所を取材しました。

飲酒検査義務化、現場を取材

千葉市中央区にある千葉信用金庫では、義務化に先がけて先月からアルコール検知器を使った飲酒検査を行っています。

千葉信用金庫のアルコール検査

けさも本店の営業担当の職員8人が順番にアルコール検査を行っていました。検知器は息を吹き込んで数秒で「0」の表示が示され、数分で全員の検査が終わりました。

営業担当
黒田基弘さん

「すぐ終わるので負担は全くないです。前日の夜に飲み終わる時間を考えるなど、毎日の意識づけになっています」

営業担当 
髙島駿斗さん

「私が通っていた小学校の児童が被害にあい、悲しい気持ちです。飲酒運転は絶対にあってはいけないことだと思います」

検査の記録は保管が義務づけられます。記録には、千葉県安全運転管理協会のホームページで公開されている用紙を使っています。
記録に残すのは、運転者の氏名運転車両確認時間確認方法酒気帯びの有無などです。

千葉安全運転管理協会の記録用紙

担当者は、検査の結果を書き込んだ資料をファイルにまとめて保管しています。

記録はファイルにとじて保管

義務化されるのは?

国は、きょうから事業所に対する飲酒運転の検査を強化します。
対象となるのは、運転指導などを行う「安全運転管理者」を選任しなければならない、
①白ナンバーの社用車を5台以上
または、
②11人以上の定員の自動車を1台以上持つ事業所です。

義務化されるのは、 

・運転前後のドライバーの状態を目視などで確認
・酒気帯びの有無を記録し、1年保存

さらにことし10月からは、アルコール検知器によるチェックが求めらます。

警察庁によると、安全運転管理者を選任して警察に届け出ている白ナンバーの事業所は全国に34万、ドライバーは782万人のぼるということです。県内だけでも1万4000事業所にのぼります。しかし、違反しても罰則はありません。それだけに事業所・ドライバーの意識にかかっているといえます。

すでに導入されている緑ナンバーの状況は?

「緑ナンバー」の事業者は、2011年に飲酒検査が義務づけられました。しかし、2012年以降、飲酒運転の事故は50件前後と横ばい傾向にあり、2019年は56件と前の年に比べて16件増えました。

出典・事業用自動車に係る総合的安全対策検討委員会

国土交通省は、2018年に起きた40件について状況を調査しました。

◎検査の前にドライバーが飲酒したケース    18件 
(検査が実施されていなかった・・・15件 検査をしたものの見逃された・・・ 3件)
◎検査の後にドライバーが飲酒したケース    20件 
◎経緯不明 2件

このように、事業所の管理がずさんだったり、ドライバーの飲酒運転に対する意識が低いことが、事故につながっていることがわかりました。

一方で、飲酒運転対策の取り組みについてアンケートを実施し、優良事例を挙げました。 

(1)検査時の工夫
・アルコール検知器によるチェックだけでなく、前日の飲酒量と時刻を確認。
・車内カメラを通じて、リアルタイムでアルコールチェックの様子を確認。

(2)検査以外の工夫
・アルコールパッチテストで、ドライバーの飲酒に対する体質や飲酒習慣を把握。
・宿泊を伴う勤務の場合、抜き打ちでアルコール測定。

(3)そのほか
・飲酒を控えるなどドライバーの家族に対して協力依頼。
・ドライバーの呼気からアルコールが検知されるとエンジンがかからなくなる「アルコールインターロック」を装着。

国土交通省の担当者
「検知器によるチェックも重要だが、ドライバーに対する安全意識の教育を徹底し、 ハードとソフト両面で対策を進めていく」

費用負担もルール徹底、飲酒運転防止に意識強く

千葉信用金庫(千葉市中央区)

千葉信用金庫では、本部と49の店舗で検知器による検査を行っています。
このうち、義務化の対象になっているのは、本部と8つの店舗だけですが、すべての店舗で検査を行うことにしています。
検知器の導入にかかった費用はおよそ70万円で、今後、およそ2年ごとに買い換えることなども考えると決して安くはない費用です。

また直接家に帰る場合には、検知器を事前に持たせて電話で確認を行い、翌日に検知器のメモリーを確認するなど、社内で細かいルールを決めることも必要だとしています。

千葉信用金庫
松田辰夫 本店長

「厳格にチェックをするため早めにアルコール検知器を導入しました。きちんと数字が示され、ほんの少しでもアルコールが検出されれば車を運転させないので、職員の意識が非常に強くなっています。八街市のような悲惨な事故が起きないようチェックに取り組んでいきたい」

取材後記

アルコール検査は数分もかからずに終わる簡単な作業です。なぜこの作業をすることになったのか、八街市の事故で被害にあった子どもたちのことを忘れずに、検査を徹底して欲しいと思いました。
八街市で事故を起こした運転手の会社は、そもそも安全運転管理者を選任していませんでした。千葉県警が去年10月に選任するよう呼びかけたところ、新たに400近い事業所が届け出を行ったということです。選任していない事業所があれば、これを機会に届け出て欲しいと思います。
飲酒運転はドライバーの意識1つでなくせるものです。悲惨な事故を2度と起こさないためにルールを徹底して守ることが求められています。

  • 櫻井慎太郎

    千葉放送局 記者

    櫻井慎太郎

    2015年入局。長崎局、佐世保支局を経て千葉局。八街市での事故発生直後から現場で取材にあたり、継続して取材している。

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