任期満了に伴う木更津市長選挙が3月20日に告示され、現職の渡辺芳邦氏(57)以外に立候補の届け出がなく、無投票で3回目の当選を果たしました。東京湾アクアラインがつながる木更津市は、郊外への企業誘致が好調で、人口も増え続けています。一方、中心市街地の空洞化が課題のほか、陸上自衛隊のオスプレイの暫定配備の行方に関心が高まっています。渡辺市長に、今後のまちづくりについて、千葉放送局の櫻井慎太郎記者が聞きました。
櫻井記者
木更津市は、人口およそ13万6000人で、人口減少が進む房総半島南部の中でも、人口が増加しています。東京湾アクアラインの効果が大きいと言われていますが、今後、どのようにアクアラインを生かしていこうと考えていますか?
渡辺市長
ETCを利用した普通車の通行料金が800円に値下げされていて、この距離感と低価格で行き帰りできるということで、移住や観光で訪れてくれる人が増えています。そうした中で、アクアラインなどを通じて都心に働きに行ったり、地元の商業施設で働いたり、農業をしたりするなど、いろいろな暮らし方を提案して、未来志向の若い方々に来ていただいています。一方で、人口の自然減少が多くなってきています。転入の増加は維持できると思いますが、バランスとしては、人口の増加が止まりつつあるので、人口流入の基盤を作っていかないといけません。
櫻井記者
木更津市では、東京湾アクアラインが通じる川崎市から会員制大型スーパーの本社が移転してくるほか、アウトレットモールなど企業の進出が相次いでいますが、さらなる企業誘致を進めていく方向ですか?
渡辺市長
そうした商業施設は木更津市にとって、雇用の場としてのありがたさがあり、若い方々が柔軟に働ける場所が増えてきました。一方で、しっかりとフルタイムで働ける場も近くにあると、また違った生活もでてくるので、そういった商業施設の以外の業態もしっかり吸収できるようにしたいです。ただ、企業誘致を行う大きな土地は、もうほぼなくなってしまっています。今後、市内のインターチェンジの近くで、千葉県が産業用地の開発を支援していく意向を示しているので、タッグを組みながら企業誘致の受け皿を作っていきたいです。
櫻井記者
中心市街地の空洞化が課題となっています。どのように対策を取っていきますか?
渡辺市長
30年ぐらいかけて、こうなってしまったものをどう復活させるかというのは大変難しいテーマです。この前、港周辺ににぎわいを作り出す「パークベイプロジェクト」の一環で、中心市街地近くの鳥居崎海浜公園がリニューアルオープンできたので、これから国の支援をいただきながらマンション建設も誘導していきます。マンションは、この3月で3棟目が建っています。また、駅前庁舎の整備や、吾妻公園に中規模ホールや図書館、公民館などがある複合施設を作ろうとパブリックコメントを実施中で、それらを合わせながら、まちなかの価値を上げていくという作業に取りかかっています。これからが勝負だと思っています。
櫻井記者
暫定配備された陸上自衛隊のオスプレイについては、発着回数の増加への懸念、また、「5年以内」の佐賀空港への移転が実現するのかという懸念がありますが、どうお考えでしょうか?
渡辺市長
移転の実現に向けて粛々と防衛省と対話をしていきます。最近、機体が増えて、訓練の回数が増えているのではないかと感じています。今後、オスプレイが必要な状況となれば、当然、木更津市に配備されていてはいけない話だと思うので、そこは政府として有効にオスプレイを使うために、暫定を終了してもらうというのは当たり前の話で、そこは訴えていきたい。
櫻井記者
佐賀県では、ことしに入って移転に向けて地元の漁協や防衛省との協議が始まっていますが、期待はどうでしょうか?
渡辺市長
佐賀の状況はそんなに詳しく掘り下げるつもりもなくて、5年を死守してもらうために、佐賀が無理ならば、他に暫定で、オスプレイが西日本に行ってもらうことが必要だと思っています。5年を守るのは防衛省の仕事で、そのために必要な場所というのは彼らが探さなくてはいけないと思っていて、しっかり伝えていくしかないです。
櫻井記者
2回連続の無投票当選となった受け止めと、3期目に向けての抱負を教えてください。
渡辺市長
これまでの活動や今後の方向性について、理解をいただいたのではないかと思っています。一方、無投票なので多くの方に託していただいた責任の重さを感じなければいけないですし、選挙を通じていろいろな議論ができませんでした。その分、市民と対話しながら、ビジョンを共有し、方向性を作り出すことが必要だと感じています。木更津市は、ちょうどことし80周年です。木更津の豊かさをみんなで共有して、100周年に向けて新しいスタートを切る年にしたいです。