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ウクライナ侵攻 千葉からのメッセージ 留学生は支援訴え

  • 2022年03月14日

ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、千葉県内からのさまざまなメッセージをお伝えします。千葉大学に留学するウクライナ人の男子学生は、不足する医薬品や物資の支援とともに、避難してくる人たちへのサポートを訴えました。県内各地で平和への願いを込めて募金に協力する動きが、広がっています。

千葉からできること…各地で募金活動 

市川市は、ウクライナで避難を余儀なくされている人たちを支援しようと市役所や出張所など6か所の公共施設に募金箱を設置しました。市川市役所には「StandWithUkraine」=ウクライナと共に、というメッセージが貼られ、ウクライナを象徴する花、ひまわりで飾られた募金箱が置かれました。募金箱は3月いっぱい設置され、ウクライナ大使館を通して人道支援に役立てられるということです。

1歳の子どもを連れた30代の女性
「つらい目にあっているウクライナの子どもたちのために募金を役立ててほしい」

70代の夫婦
「早く戦いが終わって平和が来てほしいという願いをこめました」

市川市国際政策課 鈴木久美子課長
「ひとりひとりの思いが重なれば大きな力になると思うので、賛同していただける方はぜひ協力してほしい」

ゾウが描いた絵の売り上げを募金

市原市の動物園では、ゾウが描いた絵の売り上げを募金する活動が始まりました。
「市原ぞうの国」は、ロシアによる軍事侵攻で避難を余儀なくされているウクライナの子どもたちを支援する募金活動を今月いっぱいの予定で行っています。園内で行われたゾウのショーでは、日本生まれのアジアゾウの「ゆめ花」がウクライナの国旗を鼻で持って入場しました。

「ヒマワリ」を描くゆめ花

ゆめ花が、自らの鼻で絵筆を器用に使って画用紙にウクライナを象徴する「ヒマワリ」を描くと、訪れた人から拍手が送られていました。

ゾウが描いた絵の売り上げは子どもを支援するため国際的なNGO「セーブ・ザ・チルドレン」や、ウクライナの動物園や水族館を支援するため「ヨーロッパ動物園・水族館協会」に寄付されるということです。

1歳の息子と訪れた母親
「ウクライナの子どもたちが、大変な目にあっていることに心を痛めていたので絵を購入しました」

「市原ぞうの国」坂本小百合園長
「まずは食料、それから寝る場所と、人間として当たり前のことができなくなった人たちにしっかり支援が届いてほしい」

千葉大のウクライナ人留学生 家族や友人が心配

ウクライナから千葉大学に留学 ローマンさん(21)

千葉大学に留学しているウクライナ人の男子学生がNHKのインタビューに応じました。ローマンさん(21)です。去年4月から千葉大学に留学して日本語を学んでいます。ローマンさんはウクライナ西部の都市リビウ出身です。

ウクライナ西部のリビウは、ロシア軍の侵攻エリアから離れていて、これまで比較的平穏とみられてきました。ローマンさんの7人の家族や友人はリビウに住んでいます。ローマンさんは家族や友人のことを心配して、毎日のようにインターネットでメッセージのやりとりをしています。母親からはリビウは今のところ攻撃は受けておらず、「まだ大丈夫だから心配しないで」というメッセージが届いています。

警報続く毎日 友人は地下室で夜も眠れず

こちらはリビウに住む友人からローマンさんに届いた写真です。
友人は攻撃を受けた場合の避難先となる自宅の地下室から外の様子を撮影しました。
リビウではロシア軍による攻撃に警戒を呼びかける警報がたびたび出されていて、友人は地下室に移動し警報を聞き逃さないようにしています。緊張状態を強いられていて、夜も眠ることができないということです。ローマンさんは、今後ロシア軍の侵攻が続くことでリビウも攻撃を受けるのではと強く心配しています。

父親は不足する物資支援 求める

父親から送られてきたのは必要な物資の一覧表です。
攻撃に備えて包帯や止血剤といった医薬品や、ヘルメットや発電機などの物資が不足して、買えなくなっているということです。ウクライナでは物資そのものが不足しています。ローマンさんは募金ももちろんですが、物資の支援も必要だと訴えました。

ウクライナから千葉大学に留学 ローマンさん
「自分で何が買えるのか考えましたが、個人的に送っても届かないおそれがあるので、団体など大きなレベルで支援してほしい」

日本へ避難するウクライナ人の相談窓口を

ウクライナから避難する人々

ローマンさんは一時、家族を避難のため日本に呼び寄せることも考えました。
しかし、家族の人数が多い上に英語や日本語を話せないことから、実際に家族を日本に呼び寄せることは難しいという結論に至ったということです。

ウクライナから千葉大学に留学 ローマンさん
「ウクライナから日本に避難したい人はたくさんいると思う。これから避難してきた人が金銭的に困らないような支援や相談窓口があれば、より助かると思います」

ウクライナから千葉大学に留学 ローマンさん
「ロシアによる侵攻が続き、状況は悪くなっている。両親や友人たちがこれからどうなるか非常に心配です。戦争というのは現代では本当に解決策としては人がとるべきものではない。むだに両国の人の命が失われる。ウクライナという国がいつまでもつかも心配なので、支援を行ってほしい」

取材後記

千葉大学に留学するローマンさんはインタビューの中で、「日本の人々から『応援してます』とか、『国として存在してほしい』と思っていただけたら、それだけで国の人たちは心強い」と話していて、それが強く印象に残っています。ウクライナは、なじみがないという人も多くいるかもしれませんが、調べてみたら身近に縁があるかもしれません。私たちと同世代の人や子どもたちも犠牲になっています。遠い国で起こっていると思わずに関心を持ってほしいと思いました。わたし自身も、できる支援から始めたいと強く思いました。(千葉放送局記者 荻原芽生)

  • 荻原芽生

    千葉放送局記者

    荻原芽生

    初任地は徳島局。ことし2月に千葉に転勤してきたばかり。 千葉県内の各地の事件や事故、話題などのニュースを発信します。

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