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収穫量378キロ! 小学生が伝統の米づくり 千葉・船橋

  • 2021年11月19日
米作り(提供:高根小学校)

千葉県船橋市の高根小学校が取り組んでいる米作りは、「1日田植え体験」でも「1日稲刈り体験」でもなく、種まきから稲刈りまで1年を通して続く体験活動です。ことし取れた米の量は378キロ。地域の協力を得て続く37年目・恒例の米作り活動とはどのようなものなのでしょうか。

11月初め、「高根小学校の米作り活動を発表する『収穫祭』開催」という船橋市の取材案内資料を見たとき、「小学生が稲刈り体験したことを発表するのかな」と思いました。でも、学校に電話してみると、教頭先生は「学校としておよそ1反=50メートル×20メートルの田んぼをつかっていて、30年以上、1年を通して活動している」とさらっと話していて、私の想像を超えた米作り体験をしていることがわかりました。

小学校での収穫祭の様子

「これは気になる!」、田植えも稲刈りもとっくに終わっていて、発表会と給食の様子だけの取材でしたが、「収穫祭」当日の11月12日、高根小学校に向かいました。体育館で開かれた「収穫祭」には、全校児童170人ほどが参加。

2年生の授業(提供:高根小学校)

学年ごとに成果を発表していき、2年生は、9月に収穫した1本の稲穂からいくつの米粒が取れるかを数えたことを報告しました。発表した児童は、およそ40粒の予想に対し、実際には85粒だったと報告していました。

5年生の発表

5年生と6年生は、4月からこれまでの活動を振り返りました。4月の種もみまき、5月のあぜづくりに田植え、7月の草抜きに9月の稲刈り、10月の餅作りに至るまで、盛りだくさんの活動です。ことしの収穫量はなんと378キロ。私も「種もみまきまで自分たちでやっているとは!」と驚きました。

稲刈りの様子(提供:高根小学校)

高根小学校では自分たちの収穫した米を「高根米」と名付けています。

今年度、最後の「高根米」収穫を終えた6年生に感想を聞いてみました。

渡邉威風さん「稲刈りは足が土にはまって抜けなくなり大変でしたが、できあがったお米を見たときは『きれいだなあ』と思いました。無事、収穫祭を終えられてほっとしています。自分たちで作ったお米を使った五目おこわが一番好きです。これからも伝統をつなげてほしいです」

一谷海璃さん「1、2年生の頃は米作り活動のとき、服が汚れて嫌だなと思っていたけど、今は貴重な体験ができているのだと思うようになりました。6年生は機械を動かすのを手伝う役割があって、それに憧れていたので、ことしできてうれしかったです。自分が作ったからというのもあるけど、高根米、最高です」

米作り指導者の仲村さん

高根小学校が米作りを長年続けるにあたって、欠かせない存在の人たちがいます。収穫祭にも招かれていた「米作り指導者」。近くの農家の人たち4~5人です。子どもが高根小学校に通う保護者が、ボランティアで行っているそうです。

仲村学さん(44)もそのひとり。脱サラして、父親のあとを継いで農家の道を進み、息子が小学校に入学した4年半前から「米作り指導者」になりました。仲村さんも高根小学校の出身で、30年以上前に米作り活動を体験していている先輩でもあります。

仲村学さん(本人提供)

仲村学さん「父親のやることをまねすることで自分自身は農業を覚えていったのですが、子どもたちに米作りを教えるにあたって、自分で猛勉強しました。子どもたちからいっぱい質問が飛んでくるからそれにちゃんと答えたいんです。子どもたちは授業や学校行事があるから、あらかじめ決まった稲刈りをする日にあわせて田んぼの水を抜く必要があるなど、自分たちの農業とは違う難しさもあります」

「子どもたちの学ぶ姿を見るのが楽しい」、「同じことを一緒にやることで、一体感や連帯感が生まれていくんです」といきいきと語る仲村さん。

この地域では、若い就農者が少なく、仲村さんは息子が卒業した後も、「米作り指導者」を続けていく予定だといいます。「相当な負担だと思うが、なぜ続けるのか?」と質問をぶつけてみたところ、仲村さんは即答しました。

仲村学さん「やっぱりこの文化を無くしたくないんです。40年続いてきた高根小学校の米作りの文化を大事にしたい。無くすのは簡単だけど、それはしたくない。こういう体験できる小学校はなかなかないですから」

収穫祭の給食は、「高根米」を使った五目おこわ。6年生のクラスでは、おかわり分もじゃんけんしてあっという間に完食していました。

今後、正月用の鏡もち作りも行うということで、「米とともに歩む1年なのだな」と実感して取材を終えました。

取材後記

船橋に住んで4年目、船橋の担当になって3年目ですが、私の中の船橋の主なイメージは「千葉県第2の都市」と「ベッドタウン」というのが大きくて、市内にここまで真剣に米作りに臨む小学校があるとは思いませんでした。数や長さを稲の成長の中で学んだり、収穫を祝う「神楽」の舞も学んだり、活動の幅は広いです。来年はもち米でなくうるち米の千葉県新品種「粒すけ」作りに挑戦する予定だということで、新たな体験が楽しみです。
 

  • 金子 ひとみ

    千葉放送局 記者

    金子 ひとみ

    千葉局4年目。11月、3年あまり拠点だった千葉県政記者クラブを離れ、「遊軍(担当・なんでも)」になりました。きな粉もちが好きです。

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