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通学路を安全に ハンプと住民合意で事故減少 千葉・鎌ケ谷

  • 2021年09月24日

千葉県八街市で下校中の小学生の列にトラックが突っ込み、児童5人が死傷した事故からまもなく3か月になります。どのようにしたら事故を減らすことができるのか。千葉県鎌ケ谷市は道路に「ハンプ」を置くことで、大幅に事故を減らすことができたというのです。どのようにして設置を進めたのか、取材しました。(「その通学路、安全ですか?」取材班 千葉放送局/福田和郎)

渋滞回避で抜け道へ

千葉県鎌ケ谷市の東初富地区は、幹線道路に囲まれています。近くの新京成電鉄鎌ヶ谷大仏駅前の交差点は、朝や夕方の時間帯を中心に渋滞します。この渋滞を避ける車が「抜け道」として地区内に流れ込み、スピードを出して走行するため、事故が多発していました。

住民からは「自宅前のゴミ集積所に行こうとしても車が連続して通るので道路が渡れない」とか「歩いていると車が猛スピードで走り去って行くので危ない」といった声が上がっていました。そこで鎌ケ谷市は、平成15年度から、この地区の対策に本格的に乗り出すことにしたのです。

抜け道として通過する車が多かった 提供:鎌ケ谷市

対策のカギは「ハンプ」

市ははじめに、地区内のおよそ1800世帯すべての住民を対象に、危ない経験をした場所などについてアンケート調査を行いました。これに実際に事故が起きた場所の情報を重ねて、危険な場所をピックアップします。さらに、抜け道になっている場所や走行する車の速度などを調査し、道路対策に詳しい専門家とともに具体的な対策を練りました。

住民を交えた会議の様子  提供:鎌ケ谷市

その結果、地区内を走る車の速度を抑えることが最優先の対策に挙げられ、当時海外で普及していた、道路に10センチの高さのこぶを作る「ハンプ」を導入することを決めたのです。ハンプは通過する車を一時的に押し上げるもので、事前にこれを見たドライバーが速度を落とすことを狙っています。

赤の部分が「ハンプ」で10センチほど高くなっている

地域のことは住民に

ハンプの導入を決めたら、次はどこに設置するかです。市はハンプの効果や住民生活への影響を調べるため、直線道路の真ん中に1週間、試験的に設置しました。

 ハンプの実験   提供:千葉工業大学 赤羽弘和教授

すると、30キロ以上の速度で走る車の割合は、27%から10%に大きく減少したのです。しかし、速度抑制には大きな効果が確認できた一方、生活には大きな支障がありました。それは騒音や振動でした。住民にアンケートを行ったところ騒音については、半数近くの人が「気になった」と回答したのです。

「ハンプを車が通過すると家がかなり揺れました。車の種類によっては震度2や3くらいの地震のようでどきっとしました」

そこで市は、道路の真ん中ではなく、住宅から少し距離が取れる交差点に設置場所を変えます。すると、安全性を確保した上で住民が納得する形を作ることができ、地区内の10カ所にハンプを設置することになりました。

鎌ケ谷市道路河川管理課 永束昇 課長

鎌ケ谷市道路河川管理課 永束昇 課長
「地区のことは地区の住民が一番ご存じなので意見を聞いて、それと同時に実験を行って対策を進めていきました。どの道が危ないとか、どこに設置したらいいのかというのも話し合いました。事故が起きてからでは遅いので、子どもたちのためにも安全対策進めていったのです」

ほかにもさまざま

ほかにも、道路の幅を部分的に狭くする「狭さく」を地区の入り口に設置し、子どもたちが登下校に使う道にはグリーンベルトを設けるなど、さまざまな対策を進めていきました。

狭さく設置前 提供:鎌ケ谷市
狭さく設置後:提供 鎌ケ谷市

その結果、平成16年までは年間20件を超えていた人身事故は、去年には5件まで減ったということです。市によりますと、この地区は市内のほかの地域に比べると、通学路の危険箇所の数は少なく、保護者などから道路改善の要望もほとんど出ていないということです。

出典:鎌ケ谷市

自治会長の三宅紀生さんも対策を進めたことで地区内が安全になったと感じています。

自治会長 三宅紀生さん
「自分自身が運転していても、ハンプがあるところではスピードを落とします。通行する車も一時停止ではないことでも、ハンプの手前でしっかりとスピードを抑制している様子をよく見ます。自治会としても子どもの安全を第一に、安心できる通学路を作ってあげたいと思っています」

鎌ケ谷市道路河川管理課 永束昇 課長

永束課長
「子どもたちが歩く道については安心して快適に歩けるような道を作りたいというのがあって対策を進めていきました。人の命が一番大事だと思っています。地区の皆さんの声を聞きながら、これからも安全対策を進めていきたいと思います」

欠かせない住民の協力

鎌ケ谷市の対策は全国から注目され「鎌ケ谷モデル」と言われているそうです。対策を進める上では地域住民の協力は欠かすことはできません。住民がメリットをどのように感じて、デメリットをどこまでを受け入れることができるのか。子どもたちの安全は地域全体で考えることが成功の秘訣なのだと思います。

9月24日(金)午後7時30分 NHK総合「首都圏情報ネタドリ!」で通学路の安全をどう確保するのか考えます。ぜひ、ご覧下さい。

  • 福田 和郎

    千葉放送局 記者

    福田 和郎

    2006年入局。社会部などを経て現在千葉県警キャップ。趣味は猫。

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