1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. 千葉放送局
  4. 記事
  5. 新型コロナ 自宅療養者 情報一元管理で支援 千葉・いすみ市

新型コロナ 自宅療養者 情報一元管理で支援 千葉・いすみ市

  • 2021年09月03日

新型コロナウイルスの感染拡大で、千葉県内でも自宅療養者が大幅に増え、死亡事例も相次いでいます。いすみ市では、オンライン診療で得られた自宅療養者の症状の変化を把握し、支援にあたる「在宅支援センター」を開設しました。どんな取り組みなのか、取材しました。

いすみ市コロナ在宅支援センター

夷隅保健センター(いすみ市提供)

いすみ市では、今月から、保健所と市内の医療機関と連携して、自宅療養者を継続的に支援する拠点として、「いすみ市コロナ在宅支援センター」を、市内の保健センターに新たに開設しました。

いすみ市コロナ在宅支援センター(いすみ市提供)

こちらのセンターでは、非常勤の医師や保健師などが待機し、市内で自宅療養者にオンライン診療を行っている医師から、患者の症状の変化などについて報告を受けて、情報を一元的に管理します。

【(1)市民の生活支援】
まずは、パルスオキシメーターの貸し出しのほか、生活支援も行っていきます。自宅療養者には一定の食料が配られますが、食料が足りなくなった場合などの情報を速やかに把握し、共有するほか、トイレットペーパーやティッシュペーパーなど生活用品についても、不足がないか把握・共有を進めていきます。ゴミ出しについても支援していくということです。

【(2)“医療とつながる”支援】
さらに、保健師による電話での健康状態の確認に加えて、自宅療養者と夜間でも連絡が取れるようにするため、24時間通話可能な専用の電話番号を設けて対応にあたる予定だということです。そして、症状によっては、医師会と連携し、すみやかに患者を市内の医療機関につなげ、重症化を防ぐ役割を担っていくとしています。

“情報の一元化で早期発見、早期治療に”

黒木春郎医師へのオンラインインタビューの様子

いすみ市内のクリニックで、オンライン診療を行っている医師で、日本遠隔医療学会理事の、黒木春郎医師に現状について聞きました。

記者「いすみ市の第5波の現状をどうみていますか?」

黒木医師
「いすみ市だけで見ても、8月になって患者数は急増しています。先月までの感染者数は、月に10、20人ぐらいでしたが、8月は152人でした。自分が診療して経過を見ている患者が、具合が悪くなった時に受け入れ先の病院がなく、非常に逼迫していると感じます

記者「そうした中で、オンライン診療の意義をどう感じていますか?」

黒木医師
「コロナの患者には、オンライン診療は不可欠だと思います。すでに自宅で、中等症以上になった方は、訪問診療とオンライン診療を適切に組み合わせていくことが非常に有効だと思います。いすみの地域では、自宅療養だった方はオンライン診療につなげるようにしているので、経過観察が可能になっていきます」

記者「新たに在宅支援センターを開設することで、何を期待しますか?」

黒木医師
「情報を一元化し、どういう患者が自宅療養しているかということと、病院のベッドの状況を共有しておくことで、実際の診療では早期発見、早期治療につなげることができます。オンライン診療、訪問診療、外来診療、入院とを組み合わせて対応していくことができると思います」

記者「自宅療養をする人にアドバイスはありますか?」

黒木医師
「まずはなるべく1人でいないで、医療とつながってもらいたいですね。オンライン診療をして、可能であれば訪問診療を受ける。具合が悪くなったときのバックアップ体制を、常に担当医師と相談しておくことが大切だと思います」

県内の自宅療養者数は1か月で3倍以上に

千葉県では、9月3日、新たに1163人が新型コロナウイルスに感染したことが確認されたと発表され、23日連続で1000人を超えています。また、9月2日時点では、療養中の1万3315人のうち、自宅療養者は1万506人、1か月で3倍以上に急増しています。

自宅療養者の急増にあわせて、死亡事例も相次いでいます。

▼9月1日には、船橋市が、新型コロナウイルスに感染し、自宅で療養していた20代の男性が、搬送先を探している救急車の車内で容体が悪化し、到着した病院で死亡が確認されたと発表しました。男性は当初は軽症と診断されていましたが、その後、症状が悪化し、入院する途中だったということです。
▼また、8月16日に感染が分かった県内の20代の男性は、医師によって「入院は必要ない」と判断されて自宅で療養していましたが、その2日後、家族から消防に「連絡がとれない」などと通報があり、救急隊がかけつけたところ亡くなっているのが見つかりました。
▼柏市内の60代の女性は、8月10日に感染が判明し、自宅療養となっていましたが、17日に保健所の職員らが自宅を訪れたところ亡くなっていたということです。

県は「フォローアップセンター」を開設

こうした状況を受けて、県も、自宅療養者への支援体制を強化する必要があるとして、保健所と共同で健康観察を行う「自宅療養者フォローアップセンター」を、今月、千葉市内に新たに開設しました。

民間に運営を委託し、日中は看護師ら30人、夜間は10人が常駐して、軽症などの自宅療養者と連絡をとり、容体が悪化したら保健所にすぐ引き継ぐということです。

このほか、▼自宅療養者全員に配るため、血液中の酸素の状況をみるパルスオキシメーターを1万5千台追加購入するほか、▼急変に備えて、酸素吸入器200台を確保します。
また、▼5つの病院が交代で、夜間空いている外来診療用の病床を活用し、酸素吸入や点滴など、一時的な処置を行う体制を作るほか、▼189の訪問看護事業所の協力を得て看護師を自宅に派遣し、症状の悪化に対応するということです。

千葉県は、こうした事業を盛り込んだ追加の補正予算案を、9月の定例県議会に提出する予定です。

 取材後記

ことし6月、私は、自宅療養を経験した元患者の30代の女性を取材しました。この女性は軽症でしたが、発熱のほかに、骨の痛み、味覚・嗅覚の異変を感じていました。彼女が、専門家と話す機会は、数日に1回かかってくる保健所からの電話だけでした。夜になると、“そこはかとなく怖かった”と話していました。いつ急変するか分からない病を患いながら、自宅でひとり耐える恐怖は、想像を絶します。いすみ市の取り組む「医療とつながる」、「後方支援」体制づくりは、自宅療養者にとっては「命綱」とも言えます。こういう取り組みが、全国にも広がってほしいと思いました。(千葉放送局/記者 松尾愛)

私は館山市在住で、日ごろから県南地域で取材をしています。8月に入ってからというもの、新型コロナの感染者数が急増していて、周りの人たちからは感染を心配する声を多く聞くようになりました。この夏は、地元の海水浴場は閉まっているはずなのですが、海岸近くの飲食店やコンビニは県外ナンバーの車であふれています。また、海水浴を楽しむ人の姿も、多く目にしました。地元のひとたちは、海岸近くのスーパーに行くのも怖いと言っています。まだまだ新型コロナとの闘いは終わっていないので、気を緩めず、感染者数を増やさないという強い意識を持って、過ごしたいものです。(千葉放送局/記者 大西純夫)

  • 松尾 愛

    千葉放送局 記者

    松尾 愛

    2013年入局 宇都宮、金沢をへて、現在は千葉局で警察担当。 ALSなどの難病問題のほか、コロナ関連では医療従事者なども取材。

  • 大西 純夫

    千葉放送局 房総支局記者

    大西 純夫

    地域の人々の暮らしを伝えたい

ページトップに戻る