障害者向けグループホーム運営会社 食材費問題で厚労省が監査

全国で障害者向けのグループホームを運営している株式会社「恵」が食事の材料費について国の基準に反して実費よりも多く利用者から徴収していた問題で、厚生労働省は会社の業務管理体制に問題がなかったか調べるため、法律に基づく監査に乗り出したことを明らかにしました。

東京・港区に本社がある株式会社「恵」が運営する障害者向けのグループホームを巡っては、食事の材料費について、国の基準に反して実費よりも多く利用者から徴収していた疑いがあるとして、厚生労働省がことし6月に施設のある自治体に実態を調べるよう通知を出し、事業所などに対して各地で調査が進められています。
さらに、厚生労働省は26日開かれた記者会見でグループホームが全国各地に展開されていることから、法人の業務管理体制に問題がなかったかどうか調べるため、法律に基づく監査に乗り出したことを明らかにしました。
厚生労働省によりますと、監査の結果、管理体制に問題が認められた場合には、適切な体制を整備するよう法人に勧告を行い、従わない場合は法人名を公表するなどの措置が取られるということです。
26日の会見で武見大臣は「一般論として食材費を過大に徴収している場合には障害者虐待防止法の『経済的虐待』などに該当する可能性もある。引き続き自治体と連携し適切に調べを進めていきたい」と話していました。

株式会社「恵」をめぐっては神奈川県、愛知県、群馬県の3つの県で、食材費を過大に徴収していたことが、各自治体への取材で明らかになっています。
グループホームなどの事業所を運営するための指定の権限は、都道府県や政令指定都市、中核市が持っていて、悪質な法令違反がある場合には適切な措置を取るよう勧告や命令を行うほか、必要があれば事業所の指定の取り消しも行うことができます。
株式会社「恵」は東京・港区に本社があり、ホームページによりますと、愛知県や埼玉県など全国12の都県で障害者向けのグループホームを運営しているということですが、厚生労働省はことし6月、「恵」の施設がある自治体に対して、実態を調べるよう通知を出し、各地で事業所などへの調査が進められています。
このうち川崎市によりますと、市内のグループホームで去年5月までの1年4か月間、国の基準で実費の徴収と定められている食事の材料費が1人につき1か月あたり7500円程度だったにも関わらずおよそ2万4000円を利用者から徴収していたということです。
過大に請求した額はあわせて430万円余りにのぼり川崎市はことし1月、利用者に返還するよう指導し、その後、会社は全額を返還したということです。
また、愛知県では、県内の事業所で食材費について利用者から実費以上の金額を徴収していたことなどが愛知県の監査で確認されていて、26日開かれた記者会見で大村知事は「すべての事実関係を明らかにした上で、行政処分も含めた厳正な対処を行っていきたい」と述べました。
このほか、群馬県の前橋市と高崎市にある施設でも、それぞれの自治体が行った調査のなかで、同様に国の基準に反して食材費を過大に徴収していたことがわかったということです。