地価調査 東京圏平均で3.1%上昇 16年ぶりの高い上昇率

全国の土地の価格を調べた「都道府県地価調査」が公表され、都心部と周辺地域の「東京圏」の地価の平均は、3.1%上昇しました。
インバウンド需要の回復や郊外の住宅需要の高まりで、16年ぶりの高い上昇率となっています。

「都道府県地価調査」は、毎年7月1日時点の全国の土地の価格を都道府県が調べるもので国土交通省は2万1300余りの地点の結果をとりまとめ、19日公表しました。
それによりますと、東京、神奈川、埼玉、千葉の広い範囲と茨城の一部を含む「東京圏」の地価の平均は全体で去年より3.1%上昇しました。
リーマンショックの影響で地価が落ち込む前の2007年以来、16年ぶりの高い上昇率です。
用途別では、住宅地は平均で2.6%上昇しました。
上昇は3年連続で、上昇率は去年より1.4ポイント拡大しました。
都心部の需要が堅調なことに加え、都心部への交通の便がよい郊外の駅周辺などで再開発が相次ぎ、住宅の需要が高まっていることが要因です。
また商業地は4.3%上昇しました。
11年連続の上昇で、上昇率は去年より2.3ポイント拡大しています。
リモートワークの定着でオフィス需要に不透明さは見られるものの、新型コロナの5類移行で外出が増えたことや、海外からも含めて観光客が回復したことで、飲食店などの出店需要が高まりました。
東京圏の地価は、新型コロナの影響で一時伸びが鈍っていましたが、社会経済活動の回復に伴って郊外も含めて上昇が加速しています。

東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の一部を含む「東京圏」の住宅地では、都心部の住宅価格が高止まりするなか、利便性の高い周辺部に住宅を求める動きが一層強まり郊外の地価も押し上げられました。
特に千葉県では、住宅地の地価上昇が顕著で、市川市や柏市、流山市など都心部と鉄道で結ばれている6つの自治体の地価が5%以上、去年より上がりました。
最も上昇した地点は、千葉県我孫子市の「我孫子4丁目」で、前の年に比べてプラス18.6%上昇しました。
ことし2月に都内から我孫子市に引っ越したという30代の夫婦に話を聞きました。
我孫子に決めた理由は、住宅の割安感が大きな決め手だったといいます。
購入した戸建ては3200万円で都内で住んでいたマンションより月々の支払いが安かったうえ、倍以上の広さを確保できるようになりました。
さらに、都心部へのアクセスの良さも我孫子を選んだ理由でした。
最寄りのJR我孫子駅を使えば、東京駅まで40分で行くことができるほか、始発列車も多く、都心の職場まで座って通勤できるということです。
夫婦によると、当初は埼玉県川口市や神奈川県川崎市なども候補に入れていましたが、都内とあまり値段が変わらなかったということで、「食費も光熱費も値上がりするなかで、将来子育てすることも見据えて月々の固定費をなるべく抑えたいと思っていたので、いろいろな条件を満たしてくれたのが我孫子でした」と話していました。
千葉県内に住宅を多く供給する会社によりますと、住宅価格が高騰するなかで、埼玉県や神奈川県に比べて千葉県は比較的地価が安く、割安な住宅を求める人たちの受け皿になっているといいます。
現地に多くの住宅を供給する会社の須田那乙喜千葉営業部長は「埼玉や神奈川だと2000万円台で供給できる物件は限られますが、千葉県内だと結構あります。都内に賃貸で住んでいるお客様のなかには家はほしいけど月々の支払い額は変えたくないという方もいますが、利便性の高さがありながら、その要望を実現できるのが千葉の一番の魅力だと考えています」と話しています。