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静岡県に油田が?!漫画Dr.STONEで今注目!牧之原 相良油田

しず♡LOVE 田中アナウンサーが静岡の油田へ なんといまも自然の中から石油が染み出ている!
  • 2024年05月30日

静岡県に油田があることをご存じですか?明治時代に発見された牧之原市にある相良油田は、最盛期には手掘りの井戸で、ドラム缶3500本ほどの原油が取れたそうです。いま、この油田が全国の小中学生から注目されています。テレビアニメ化もされている漫画 Dr.STONE の作中で大事なシーンとして描かれているのです。出てくる原油は、こはく色をした良質なもの。なんと原油のままでバイクが走るそうです。田中アナウンサーが訪ねました。

明治時代 手掘り井戸で石油を採掘

NHK静岡のアナウンサーやキャスターが県内の地域の魅力を訪ねる「しず♡LOVE」。今回訪ねたのは牧之原市です。お茶で有名な牧之原台地。菅ケ谷地区のお茶畑の隣に、茶色い鉄塔が立っていました。昭和25年に掘られた石油の井戸、石油坑です。わずかですが、石油は今も出るそうです。近づくと確かに油のにおいがしました。

隣にあった説明板を見て驚きました。明治後期の「手掘り井戸」の写真です。小屋1つ1つが油井(ゆせい)の建屋で、中で人が石油をくみ上げています。斜面に密集して建っている様子を見ると、この地域の一大産業だったというのがわかります。

入館無料 油田を学べる資料館

相良油田の歴史や特徴について学ぶことのできる施設が鉄塔から徒歩5分ほどのところにある「相良油田資料館」です。明治6年(1873年)に手掘りの採油が始まった相良油田。最盛期の明治17年頃には240もの油井があり、年間およそドラム缶3600本分の石油を産出していたそうです。

最盛期には600人ほどの人が働いていた油田ですが、石油は徐々に取れなくなり、およそ80年後の昭和30年頃、すべての事業が閉じたそうです。

大きなものは7.5キロある つるはし

命がけで80メートルもの深さまで掘るのに使ったというつるはしが展示してあったり、油田開発の歴史やかかわった人物について紹介されたパネルなどがあります。資料館の入館は無料です。

93歳 相良油田の歴史の証人

最後まで採掘の仕事にかかわっていた方にお話しが聞けるということで、訪ねました。

田中満太郎(みつたろう)さん93歳です。戦中、三重県の伊勢で空襲にあい、母とふたり、実家の相良(牧之原市)に疎開してきた田中さん。尋常高等小学校の卒業の年に終戦。14歳で油井のさく泉工(さくせんこう)の助手として働き始めたそうです。戦中、油田は軍が管理していましたが、戦後、相良には油田のある新潟や秋田から技師が来て、石油の掘削調査が行われていたそうです。

田中さんは、量はそれほどではなかったものの、太平洋側の油田という希少性と、石油の質の高さに誇りを持っていたと言います。

「太平洋側ではここだけだもんで。石油の質は世界一だから。そのまま使えるから。それは世界に誇ってもいいくらいの油」(田中さん)

実は相良油田の原油は、黒くドロッとした粘性の高いものではなく、さらっとしたこはく色をしている軽質油(けいしつゆ)で、世界的にも貴重なんだそうです。

漫画 Dr.STONE で全国から注目!

そんな質の高い原油が、漫画の物語に取り入れられました。テレビアニメ化もされている、漫画「Dr.STONE」です。

Dr.STONEは、人類が石になってしまった未来で、豊富な科学知識を持つ少年たちが文明を作ってゆく冒険物語で、少年たちが牧之原を訪ね、石油を採掘。この石油を燃料に船で海を渡る大事なシーンとして描かれています。

漫画の制作にも協力した資料館にはDr.STONEのコーナーができました。

資料館の館長で、地域の魅力を伝える「菅山クラブ」の代表、山﨑治さんもその反響の大きさに驚いています。

「一躍有名になりましたね。メッセージカードがこんなに」(山﨑さん)

ビーカーやフラスコの形をした紙に、全国のファンからのメッセージが書かれています。壁一面のメッセージに山﨑さんも嬉しそうでした。

いまも石油の湧き出る湿地へ

そんなDr.STONEの世界を感じられるという場所に山崎さんが連れて行ってくれました。

細い林の道を降りてゆき、小川を渡ると、泥っぽい湿地が現れました。

足元には火気厳禁の看板も

ここが明治5年、牧之原ではじめて石油が発見された「深谷の油田」です。湿地に鉄管が立っています。湿地に刺さっている筒の先からガスが出ています。近づいてみると、本当にガソリンや灯油のにおいがしました。

「石油というと、遠いところから大きな船で運ばれてきて、精製されてといった、すごく人工的な物というイメージがあったんですけど、ここに来てみると、やっぱり石油も自然のものなんだというのがわかりますね」(田中アナ)

工場やガソリンスタンドではなく、緑に囲まれた林の中でガソリンや灯油のにおいがするのが不思議でなりません。中東でも地下からくみ上げているので、考えてみれば当然なのですが、実際に石油の湿地を目の当たりにすることで、認識を新たにさせられました。

牧之原で受け継がれる油田の歴史

相良の石油採掘の歴史は、今も受け継がれています。2年に一度行われている「原油汲み上げと桜まつり」。桜の開花の時期に実際にイベントで石油をくみ上げます。
この春、コロナ禍以降、はじめて行われましたが、漫画の影響もあって過去最高の400人が全国から集まりました。

お祭りで特に盛り上がるイベントが、くみ上げた原油でバイクを走らせるイベントです。良質な石油ということが一目瞭然だと人気だそうです。
今回、しず♡LOVEで再現してくださいました。

本当に“原油”でバイクが走る?

資料館の山﨑さんが、この春、お祭りでくみ上げた原油を持ってきました。ゴミなどを取り除くため、青いフィルターに通しますが、原油はそのままバイクへ注がれます。
エンジンが壊れてしまわないか、見ているこちらがドキドキします。

キックペダルを踏みこむと、ブロロン!と軽快にエンジンが回り始めました。普通のガソリンに比べ、やや白煙が多く出るようですが、エンジンは快調です。

走行も安定しています。
地下からくみ上げたそのままの油でバイクが走る。世界に誇る質の高い原油という意味がよくわかりました。

バイクのイベントを担当しているのは、牧之原市でバイク店を経営する伊藤章人さんです。

「こどもの頃からずっと相良油田を勉強してきて、偶然、ガソリンだったり燃料使う仕事に就きました。イベントに参加させていただいて、いろんな人にオートバイ見ていただける機会ができたので、よかったなと思います」(バイク店を経営する伊藤さん)

かつてランプ用の油として全国に流通したという相良油田の石油。漫画の影響もあり、いまも多く人の心にロマンの灯を伝えていました。
 

【2024年5月16日放送 しず♡LOVE】

※動画は放送後2か月間公開

  • 田中 洋行(たなか ひろゆき)

    NHK静岡 アナウンサー

    田中 洋行(たなか ひろゆき)

    幼少の頃からの釣り好き。学生時代は海洋生物を専攻。自然の油田に感動しました。見えない世界から何かが出てくるのはわくわくしますね。油田に、釣りに通じるロマンを感じました。

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