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【しず♡LOVE】 静岡の古墳を巡る旅に大コーフン!NHK静岡

たっぷり静岡1月17日放送回 静岡市
  • 2024年01月25日

『静岡県は古くから交通の要衝で、古墳時代の初期から立派な古墳があるんですよ。ぜひ見てみたいと思っていまして』。
静岡や関東に住む20人ほどの古墳愛好家グループ、不二古墳倶楽部(ふじこふんクラブ)。代表の亀和田聡さんは静岡の古墳に格別の思いをもっていました。静岡は弥生時代の登呂遺跡が有名ですが、その後の古墳時代については静岡に住んでいる方もあまりご存知ないのではないでしょうか。それならぜひ「しず♡LOVE」で密着させてください!とお願いしました。
知られざる静岡の古墳時代を巡りました。
(撮影・リポート 田中洋行アナウンサー)

【しず♡LOVEの動画は記事最後】

そもそも古墳時代 古墳って何?

静岡市にある古墳のパンフレット

歴史の話です。登呂遺跡で知られる弥生時代が終わると、日本各地に突如として不思議な形をしたお墓ができはじめます。形や大きさ、副葬品、埴輪(はにわ)、石室などなど、同じものが1つとない、個性豊かなお墓です。まだまだ文字が浸透していない時代に建造された、バラエティに富んだお墓はまるで後世に何かを訴えかけているかのようです。全国に16万基あるとも言われる多様な古墳の数々。ところが研究が進み、個性的に思われていたそれらに様々な共通性が見えてきているそうです。

大きさは違っても、奈良県の古墳の形をモデルとした相似形の古墳が全国に伝わり、さらに副葬品にも共通性が見られます。単なるお墓ではなく、日本が1つの国としてまとまってゆく時代を象徴しているのが古墳という建造物だと考えられているそうです。
栃木県に住む亀和田聡さんは小学生の頃からそんな古墳に魅せられ、以来、50年以上も古墳を訪ね歩いています。

50年以上古墳を訪ね歩いている亀和田聡さん

「静岡は日本武尊(やまとたけるのみこと)の神話の時代から人々が往来してきた交通の要衝なんです。ですから古墳時代の初期からずっと立派な古墳があるんですよ。墳活(ふんかつ)を楽しみにしていました」。
ふ、墳活ですか?

墳活(ふんかつ)とは

古墳愛好家の中ではすでに一般的になっているということば“墳活”。各地の古墳を訪ね歩く活動のことで、いまや旅行会社によるバスツアーも各地で行われています。亀和田さんいわく「学術的なものでなくて、古墳に行ってみて、古墳の上から地形を眺めたり、古墳のかわいい形を楽しんだり、木々に覆われた森を感じてみたりと、自由な形で古墳を楽しむのが墳活です。本や写真ではわからないことが、訪ねることで分かる事は多いんですよ」
文字による記録のない時代で、事実の確認は容易ではないですが、だからこそ自分の頭の中で古墳時代の物語を作るのが墳活の魅力のようです。なんだか楽しそうですね。
いざ、静岡の墳活に出発です。

6世紀後半~7世紀 
賎機山古墳(しずはたやまこふん)

1月上旬、静岡浅間神社の境内に3人が集まっていました。世界遺産の百舌鳥・古市古墳群をヘリコプターで墳活したり、島根県出雲市の初期の古墳を巡ったりしている、まさに墳活の達人たちです。まず向かったのは静岡県の名前の由来にもなった賎機山(しずはたやま)にある古墳です。

静岡浅間神社のすぐ横の階段を上がることおよそ3分。6世紀に作られたとされる、国指定の「賎機山古墳」がありました。
直径はおよそ30m、高さ7mの円墳(えんぷん)で、内部には埋葬者のための石室(せきしつ)とよばれる石で囲まれた広い空間があるのが特徴です。
解説を熱心に読むみなさん。やはりコーフンするそうです。

石室(せきしつ)に潜入!

現在、令和4年の台風による被害の影響で石室内への立ち入りは制限されていますが、特別に静岡市の文化財課の立ち合いのもと、古墳内部に入ることができました。

みなさん一礼して入ります
驚く田中洋行アナ

正直、驚きました。古墳のある位置も標高50mの高台ですが、そこまで巨大な石が運ばれ、積み上げられていたのです。
羨道(せんどう)と呼ばれる通路の天井は低いのですが、中に入ると4mほどの高さのある空間が現れました。

中はとても厳かな空間に感じました。驚いたのは天井石(てんじょういし)と呼ばれる石室上部の石です。

「ふつう(天井石は)平らなのに」「どう積み上げた?」「そもそもこの位置までどうやって持って来たのだろう」口々に驚きの声があがります。

長さ3m近い大型の家形石棺

石室にあるのは石でできた大きな棺(ひつぎ)、石棺(せっかん)です。石室の積み上げた石とは違い、伊豆の石を加工して作ったもので、奈良県の国宝、藤ノ木古墳の石棺にそっくりだということです。発掘調査が行われたときにはすでに盗掘の被害があり、人骨や副葬品はほとんど残っていませんでしたが、石室の中に残っていた土器や馬具などの副葬品から、大きな力を持った豪族の墓であると考えられています。

重機もガソリンもない時代に多くの人を組織し、今の奈良県の技術者などの協力も得ながら作られたと考えられる古墳。1300年前の静岡の人々の技術力に驚かされました。

3世紀後半
神明山古墳(しんめいさんこふん)

次に訪ねた古墳は清水区袖師町の住宅街にありました。

住宅街の横のこんもりとした緑の丘は、静岡県内で最も古い古墳の1つで、卑弥呼の時代に作られた全長70mの前方後円墳です。奈良県の箸墓(はしはか)古墳と同じ形をしていることで注目されています。

古墳の丘を登り始めるみなさん

その古墳に、みなさんどんどん登り始めました。古墳は現在、公園と神社(神明宮)の敷地になっています。登ってみることで、どうしてここに作られたのかがわかると言うんです。

古墳の上から景色を眺めると、方角を確認しはじめました。古墳はその地域の特徴的な山や海の方向に作られることが多かったそうです。そして当時から被葬者は北極星の方角、つまり北向きに埋葬されていたそうです。偉大な自然の中に神聖なものを見出し、そんな自然に敬意をもって暮らしていたのが想像されます。
亀和田さんは、この古墳は当時の海岸に沿うように作られ、海からの来訪者たちの目印になったのではないかと想像を膨らませていました。

それにしても1000年以上の時を経て、木々に覆われてしまった緑の丘。前方後円墳の特徴的な形はわかりません。みなさんはわかるのでしょうか?

「さまざまな古墳を訪ね歩いた経験をフル動員して、それを脳内で復元するんです。前方部(ぜんぽうぶ)はこの辺だよね?とか」。奈良県の箸墓古墳にも行ったことのある東京から参加した馬宮守人さんは静岡の相似形の古墳にコーフンしていました。

脳内で想像力をふくらましながら楽しむ前方後円墳。墳活の奥深さを知りました。

4世紀後半
三池平古墳(みいけだいらこふん)

最後は、清水ナショナルトレーニングセンター。この看板の右横の小高い丘を登っていくと三池平古墳があります。

この古墳は2009年(平成21年)に当時の姿に復元整備され、きれいな前方後円墳の姿を楽しむことができます。ここである方と待ち合わせをしていました。

神社の宮司をされている山岸克久さんです。小学生の頃、この古墳の発掘に立ち会ったそうです。昭和33年の発掘の話をきのうのことのように魅力的に語る山岸さん。
まさに古墳の語り部(かたりべ)です。

山岸さんはこの古墳を地域の子供たちにも知ってほしいと、9年前から「古墳祭り」を開催しています。墳丘の上に地域の多くの人が集い、子どもから大人まで踊りや歌を奉納します。お祭りではフラダンスが人気だそうです。

「王様も惑わされちゃうのでは?」という意見には、「現代の采女(うねめ)ですから」とのこと。

山岸さんは「古代人の贈り物(古墳)を大切にして、子どもたちに自分たちが住んでいる庵原の地に誇りを持ってほしい」と言います。
お祭りが古墳とともに末永く地域の方々に愛されるといいですね。

今回沼津市から参加した脇元さん、魅力的な静岡の古墳の数々に、県外にばかり墳活に行っていたことを反省され(笑)、多くの人に静岡の古墳を知ってほしいと話していました。

さらに古墳時代に近づくには?

「しず♡LOVE」ではご紹介できませんでしたが、今回、みなさんは他に2か所、重要な場所を訪ねていました。「登呂遺跡」と静岡市の「埋蔵文化財センター」です。

登呂遺跡 古墳時代直前の生活を感じられます

各地の博物館や文化財センターには弥生時代や古墳から出土した勾玉(まがたま)などの副葬品や埴輪、土師器(はじき)などが展示されています。クラブのみなさんは古墳とあわせて訪ねることで、よりその時代をイメージすることができるといいます。

三池平古墳から出土した「変形方格規矩四神鏡」
(静岡市埋蔵文化財センター)

登呂遺跡は弥生時代の遺跡で、古墳時代の直前の時代です。当時静岡で人々がどうやって生活していたのか知ることができます。また静岡市清水区の埋蔵文化財センターには三池平古墳からの貴重な出土品が展示されているほか、古墳の模型や発掘調査時の写真などに解説が添えられています。

静岡市の墳活を計画されている方は、ぜひこれらの施設にも足をのばしてみてください。

実際に古墳を訪ねることで、普段見慣れた静岡市の景色が違って見えてきました。古墳時代の人々も同じ海や山を見ていたと思うと、古代の人々とつながるような気持ちになります。
私は魚釣りが好きですが、水の中や、魚の行動を想像するのが釣りの楽しみです。古墳巡りは、歴史の中に釣り糸をたらし、確かにあった人の行動や生活を想像で楽しめるのが魅力なんだなと感じました。
不二古墳倶楽部のみなさん、山岸さん、どうもありがとうございました!

  • 田中 洋行(たなか ひろゆき)

    NHK静岡 アナウンサー

    田中 洋行(たなか ひろゆき)

    海好き、釣り好き、サカナ好きのアナウンサー。古墳めぐり。偉大な先人たちが今を生きる我々につながっていると思うと確かにコーフンしますね。

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