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静岡 事故原因を調査委員会が発表 8人死傷の橋げた落下 図解で詳しく

  • 2023年09月22日

ことし7月6日、静岡市清水区の国道1号線「静清バイパス」の工事現場で、建設中の高架道路の橋げたが落下し、8人が死傷しました。この事故を受けて、国土交通省が設置した事故調査委員会は調査で判明した落下の原因を公表しました。詳しく図解します。

8人が死傷  事故の経緯は?

ことし7月6日の未明、静岡市清水区尾羽の国道1号線「静清バイパス」の高架道路を建設する工事現場で、道路の土台にあたる長さおよそ63m、重さおよそ140トンの橋げたが9mほど落下し、作業員2人が死亡、6人が重軽傷を負いました。

この事故を受けて、国土交通省静岡国道事務所が設置した事故調査委員会は、8月に開いた2回目の会合で、橋げたを橋脚に下ろす作業中に西側の端の部分が所定の位置よりも10センチほど外側にずれ、それを直そうとして橋げたを持ち上げようとした際に落下したとみられるという見解を示し、その後もコンピューター上で再現実験を行うなどして分析を進めていました。

9月12日、委員会は3回目の会合を開き、終了後にこれまでの調査結果を明らかにしました。

事故発生時の作業状況は?

ここからは、事故調査委員会の調査結果を詳しく解説していきます。

黒く図示したのがセッティングビーム

現場では、道路の土台にあたる長さおよそ63メートル、重さおよそ140トンの橋げたを設置する作業を進めていました。まず行われたのは、黄色の矢印の方向、内側から外側に向かって、油圧ジャッキを使って橋げたを水平に移動させる作業です。その際、東側の端の部分は橋脚の上にのっていましたが、西側の端の部分はのっていませんでした。「セッティングビーム」と呼ばれる補助具を使い、橋げたをつり下げた状態で作業が進められていたのです。

つり下げられた西側の端の部分を、側面から詳しく見ていきます。

橋げたの水平方向への移動が終わったあと、ジャッキを使い、橋げたを下ろす作業が行われました。橋げたを下ろすのにあわせて、「サンドル」と呼ばれる鉄製の土台を徐々に抜いていきます。最終的に、つり下げた橋げたとすでに設置済みの橋げたの高さをあわせて固定する予定でしたが、この作業の途中で落下事故が起こりました。

2つの事故原因

なぜ、橋げたを下ろす作業中に橋げたは落下したのでしょうか?次に、図の赤く囲った部分の断面図をもとに、詳しく見ていきます。

「サンドル」は、設置が完了している橋げたの上に置かれていました。「サンドル」を抜きながら、橋げたを90cmほど降下させたところで、所定の位置よりおよそ10cm外側にずれたことがわかりました。このずれを直そうと、現場では「調整装置」を使って橋げたをつり下げるセッティングビームを内側に押しましたが、橋げたは動きませんでした。
そこで、もう一回ジャッキを使って、つり下げている橋げたを持ち上げようとしたところ・・・

バランスが崩れ、セッティングビームが土台から外れてしまったのです。

そして、土台から外れたときの衝撃で、セッティングビームと橋げたをつないでいた取り付け金具のボルトが破断したということです。事故調査委員会は、このように①セッティングビームが土台から外れたこと②それに伴ってボルトが破断したことが原因で、落下したと結論づけました。

“セッティングビーム”なぜ外れた?

セッティングビームが土台から外れてしまったのは、複数の原因が重なったと考えられています。

まず、図の左側の「サンドル」は、設置が完了している橋げたからはみ出す形で置かれていました

当時のサンドルの設置状況を再現

次に、当時の状況を再現した写真を見ると、右側のサンドルは、付近にある建設資材を避けるため、斜めに置かれており、土台の向きが左右で異なっていました。こうした置き方によって、不安定になりやすかったと考えられます。

さらに、本来はサンドル1個1個をそれぞれボルトで固定する必要がありますが、この固定のしかたが甘かったことも確認されたということです。

また前述のとおり、現場では作業中に生じた橋げたのずれを直そうと、調整装置を使い内側に押しましたが、動きませんでした。

このときセッティングビームの内部に力がたまり、ジャッキで持ち上げようとしたときにそれが解放されて、逆方向に動いたと考えられるということです。

これら複数の要因があいまって、土台が不安定になり、セッティングビームが土台から外れたことが、重大な事故へとつながったとみられます。

事故調「不安定感を禁じえない」

事故調査委員会の舘石和雄委員長は今回、現場で行われた施工方法について、次のように総括しました。

事故調査委員会
委員長名古屋大学大学院  舘石和雄 教授
決定的にダメなやり方ではないが、しっかりとやるやり方と比べて不安定感を禁じえないやり方だ。少なくとも(土台が)はみださないで施工することはできるし、(セッティングビームの)内部に力をためるようなプロセスを避けることはできる。
再発防止策をきちんとやってもらえれば防げることだと思う。今回のような悲惨な事故がないように取り組んでいただくことを期待したい。

  • 平田未有優

    記者

    平田未有優

    2019年入局
    福岡局を経て、2022年から静岡局にて事件・司法担当

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