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成長して様変わり!小さな魚たちの卒業式 

幼魚水族館 館長&岸壁幼魚採集家の鈴木香里武さんが愛情たっぷりに解説
  • 2023年04月03日

旅立ちの春・・・
静岡県東部にある清水町でとある変わった卒業式が行われました。

多くの人々に見送られ旅立ったのは小さな魚たち。入学当初からは想像できないほどの姿に変化を遂げていました・・・!(驚)

初めての卒魚式に潜入!

とある変わった卒業式が行われると聞き、やってきたのは清水町にあるサントムーン柿田川。
なにやら多くの人だかりが・・・

近づいてみると・・・

卒‟魚”式・・・?
実は清水町にある幼魚水族館で初めての卒業式が行われたんです。

幼魚水族館は去年7月に岸壁採集家の鈴木香里武さんが館長となりオープンした、世界でも珍しい幼魚専門の水族館。鈴木香里武さんによると幼魚は人間でいうと小学生くらいの子どもたちだそう。

館長の鈴木香里武さんと幼魚たち

そんな幼魚たちから、この度、成長に伴って幼魚水族館を卒業し、横浜市の八景島シーパラダイスに移る魚たちがいるんです。この日はその魚たちの卒業式!つまり卒魚式(そつぎょしき)!

個性的な卒魚生たち!ほかにもまだまだいますよ・・・
卒魚式にはたくさんの人が集まりました!

幼魚水族館を訪れていた町民や子どもたちが多く集まる中行われた卒魚式では、館長の鈴木香里武さんが卒業する魚たちの成長ぶりを愛情たっぷりに語ってくれました!

アツく語り始める鈴木香里武さん(壇上右)

入学当初から驚きの変化!
香里武 館長が語る幼魚の成長ぶり

今回卒業するのは13種類69匹の魚たち。幼魚から成長する中で大きな変化を遂げました。

たとえばこちらの「ソウシハギ」。幼魚水族館にやってきた当初は、おちょぼな口から尻尾まで黄色に黒のドット柄でした。なんだか憎めない姿がかわいい~ですね~。

幼魚時代の「ソウシハギ」

しかし、現在の姿は、黄色は薄れなんだか少し毒々しい色合いに。大きさも9センチから20センチにまで成長しました!

現在(撮影:幼魚水族館)
幼魚時代の姿について説明する鈴木香里武さん

「幼魚は小さな身を守るために進化の過程でさまざまな工夫を編み出しているんです。幼魚時代のソウシハギは敵に見つからないように「枯れ葉」に擬態しているんですよ。幼魚の色、形すべてに意味があるんです。」館長・鈴木香里武さん

枯れ葉に擬態するといえば、こちらの「ナンヨウツバメウオ」も卒業します!館長の鈴木香里武さんも「海の忍者」や「擬態名人」と評するほどイチオシの幼魚として紹介していました。

幼魚時代の「ナンヨウツバメウオ」
枯れ葉に似ていませんか?
香里武館長の手書き・幼魚紹介板
「うす茶色の枯れ葉」・・・!!
実は・・・写真上が「ナンヨウツバメウオ」下が枯れ葉。
海面に浮かぶ姿・・・そっくりですよね!

「ナンヨウツバメウオは、上から狙う海鳥から身を守るため、身体を横倒しにして海面をゆらゆらと漂っています。上から見ると枯れ葉と区別がつかないんですよ。水族館にきたときは5センチほどの大きさでした」館長・鈴木香里武さん

では卒業を迎えた今、どんな姿に成長したのでしょうか・・・?こちら!!

黄色と黒のしま模様に!

枯れ葉とはまったく違う姿に変わり、20センチにまで成長していました。ちなみに、さらに成長するとスペードの形をした銀色の姿になるのだとか。

幼魚水族館ではこうした幼魚が成長する過程でのリアルな変化もお客さんと一緒に見守ってきたんです。今この瞬間しかない幼魚の姿を楽しめるのが幼魚水族館の魅力のひとつでもあります!

卒魚生への愛がとまらない・・・!!

せっかくなので卒魚生の成長ぶり(変化)をもう2種類ご紹介!(幼魚時代の美しい写真は館長の鈴木香里武さんからのご提供です!)

やんちゃ坊主だった!?「クサフグ」

「吹き出しをつけたくなるような表情豊かな顔がかわいい幼魚時代のクサフグ。でも水族館でいちばんのヤンチャ坊主だったかもしれません(笑)新しい魚が入ると甘噛みしちゃったり・・!色んな水槽を渡り歩いて卒業の日を迎えました!」館長・鈴木香里武さん

幼魚時代はちょっと怒り顔な「アミモンガラ」
軽石に擬態する「アミモンガラ」
水族館でも軽石といっしょに展示していました!
(撮影:鈴木香里武)

「軽石に擬態する魚はアミモンガラだけらしいんです。適応力がとっても高い幼魚でした」館長・鈴木香里武さん

卒魚生に贈るメッセージ

大きな成長を遂げて旅立つ13種類69匹の魚たちには、清水町民や館長の鈴木香里武さんからあたたかいメッセージが送られました。

同じくこの春、卒園した園児からは歌のプレゼント
卒魚式に参列した清水町在住の親子

40代母親「幼魚が成長したらどうするのだろうと不思議に思っていました。八景島シーパラダイスで大きくなった姿をまた見られると思うとうれしいです。ぜひ追いかけて見に行きたいです!」
小学4年生娘「大きくなったね、と言ってあげたい。また元気な姿を見らえるとうれしいです!」

館長・鈴木香里武さん

「ときめきとロマンを届け続けてくれたみなさん。立派に成長して新たな船出をお祝いできることを館長として大変うれしく思っています。

大水槽を泳ぐ成魚と違って、幼魚であるみなさんは体が小さくて遠くからではよく見えません。だからこそ幼魚水族館のお客さんは自然と水槽に近づいて間近でみなさんの顔を見つめることになります。近くで見るみなさんの顔や仕草のかわいらしいこと。小ささゆえに自然と生まれた距離感の近さ。それが素敵な世界に気付かせてくれます。

みなさんの第二の‟魚生”がイキイキとみずみずしいものになることを心よりお祈り申し上げます」

館長・鈴木香里武さん(右)
広報・石垣幸二さん(左)

そして、13種類69匹の魚たちは4月1日に無事、横浜市の八景島シーパラダイスへと入学したということです。どうか、みなさんお元気で!!

八景島シーパラダイス 副館長・安部奏さん(左)へ
無事、卒魚生の引き渡し完了!
卒魚生は八景島シーパラダイスの水槽へ

また、幼魚水族館には新たに駿河湾の岸壁から500匹の幼魚たちが入学しました!幼魚から成魚へ・・・おもしろいように色や形などの姿を変えていく様子をぜひ見守ってみてはいかがでしょうか。来年3月には2回目の卒魚式を行いたいということです。

  • 捧 美和子(ささげ みわこ)

    静岡局 ディレクター

    捧 美和子(ささげ みわこ)

    静岡局2年目。富士山と駿河湾が生み出す自然の豊さに驚く毎日。

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