静岡 台風15号から半年 被害爪痕残る
- 2023年03月28日
去年9月、台風15号の影響で静岡県内に記録的な大雨が降ってから3月23日で半年。各地で浸水や土砂崩れなどの被害が相次ぎ、この雨がきっかけで静岡市清水区では大規模な断水が発生しました。半年たった今も暮らしへの影響は続いています。
記録的大雨による被害
去年9月23日の夜から24日。県内各地で降った猛烈な雨。記録的短時間大雨情報は16回発表され、12時間に降った雨の量は7つの地点で観測史上最多となりました。
各地で住宅などへの被害も相次ぎ、床上浸水の被害は5600棟余り。32世帯、83人が公営住宅での仮住まいを今も余儀なくされています。災害救助法に基づいて公的な支援が受けられる住宅の応急修理は、申請のあったうちのおよそ半分にあたる580余の住宅で終わっていません。
被害を受けた住宅に住み続けるのか悩み、修理の開始に踏み切れないでいる住民も少なくないといいます。
断水の原因となった取水口はいま
静岡市清水区で発生した大規模断水の原因の1つになった取水口です。水は問題なく取り込めていますが、今も被害の爪痕が残っています。
最大6万戸余りに影響が出た清水区の断水。清水区内のおよそ8割の世帯に水を供給するための取水口が、大量の流木や土砂で詰まりました。
半年たった今の状況を、市の担当者に案内してもらいました。
(川越さん)「取水口の上には、手すりやフェンスがあったんですが、当然流されてしまって、今はなくなっています。修理もまだ終わっていない状態です」
周辺の設備や機器の一部は復旧できていない状態で、流木がそのまま残っているところも…。
(川越さん)「当時壊れた監視カメラと照明です。撤去は終わっていませんが、川の状況と水位を監視するために、監視カメラは新しいものを設置しました」
手動のバルブ
今後の雨に備えた対応も進められていました。
(川越さん)「これまでは土砂がたまったなというときに、担当者が現場に来て手動でバルブを開けていました。そうすることで泥を流していたんです。少しでも対応を早くできるようにと、ことし12月までに遠隔で操作できる電動のバルブに替える予定です」
市は、清水区内の大部分の水の供給をひとつの取水口が担う現在の状況をふまえ、今後、取水口を増やすことなども含め、新たな水源の確保を検討していくことにしています。
天竜区の土砂崩れ現場はいま
浜松市天竜区では住宅3棟が巻き込まれる土砂崩れが発生しました。家族とともに土砂に巻き込まれた男性がNHKの取材に応じ、半年たった心境を語りました。
土砂崩れが発生した浜松市天竜区緑恵台。いまも土砂の撤去作業などが続いています。
自宅が巻き込まれ自分を含め家族3人がけがをした佐藤聖徳さんです。
(佐藤さん)「半年は、早いなという感じです。時間がたってくると被災した直後とは違った思いが浮かんできて、責任とか補償だとか、通常の自然災害ではないので、そういったところをきちんとした形で解決しないといけないとより強く思っています」
市の調査では、崩れた土砂の大部分は宅地の造成後に作られた盛り土だったことがわかっていて、佐藤さんは警察に被害届けを提出しています。盛り土のあった土地の所有者からは、被災した住民への説明はないということです。佐藤さんは、ほかの被災者とともに土地の所有者や盛り土を行った業者に補償を求めていくことも検討しているといいます。
(佐藤さん)「普通に生活していたところ、全部が消えてしまったので、それに対して償ってほしい」
天竜区の土砂崩れをめぐっては、市が専門家などでつくる検証会を設けて、行政の対応や原因について検証を進めています。