ページの本文へ

静岡WEB特集

  1. NHK静岡
  2. 静岡WEB特集
  3. 「陰陽師」の朗読で10人の声に挑戦してみました

「陰陽師」の朗読で10人の声に挑戦してみました

ラジオ 朗読 陰陽師 夢枕獏 ボイス 声 NHK 静岡 アナウンサー 望月豊
  • 2023年03月10日

「ラジオ文芸館」という朗読番組で10人の登場人物の読み分けに挑戦してみました。さらに音響効果さんの“音”づくりの現場にも密着。朗読番組制作の舞台裏をご紹介します。

耳で聴く短編小説「ラジオ文芸館」

「ラジオ文芸館」は、毎週月曜日の午前1時台に「ラジオ深夜便」(ラジオ第1・FM)で放送中の、アナウンサーの語りと音響効果による朗読番組です。
私は、文芸館での朗読は今回が6回目、演出も含めると10回目。作品選びも毎回アナウンサーの仕事のこの番組で、今回は大好きな夢枕獏さんの「陰陽師」シリーズから「月見草」を朗読しました。

夢枕獏さんの名作「陰陽師」シリーズのひとつ「月見草」

あらすじ
舞台は平安時代。陰陽師・安倍晴明と、その友・源博雅がいつものように酒を酌み交わしていると、話題は和歌の謎解きに。文章博士・大江朝綱に仕えていた女が、主人から残された歌の意味を知りたがって夜になると現れるのだといいます。2人はその歌の謎を解きに、荒れ果てた屋敷に向かいます。

登場人物10人をどう読み分けよう?

収録は名古屋放送局

登場人物はざっと10人。これまで担当した作品の中でも多い方です。さて、どう読み分けようかと思案して…。

■安倍晴明

「キザだけどさわやか」な感じにできたらいいな、と思ったものの、なかなかうまい語りが見つからず…。博雅との対比を明確にするため、結局ニヒルな感じだけを追求しました。初めて試す声色や話し方は自分の中でまだものになっていないので、顔を作って無理やりひねり出している感じです。

 

■源博雅

あつくるしく

晴明と対照的にとにかく元気にしました。メリハリをつけたいという演出上の理由で極端にしています。元気を出すために身ぶりを大きくしていますがが、そもそも公家なので、こんなうっとうしい感じではないと思います…。


■村上天皇

頭のてっぺんから声が出ることを願って

とにかく雅な人をイメージしました。以前の文芸館(2013年2月2日放送・杉本苑子「北野大茶湯余録」)で演じた豊臣秀吉=“位の高い人”が自分的にイマイチだったので、いろいろ模索しました。雅な人で思い浮かんだのが、子どもの頃に見たアニメ「一休さん」の将軍さまでした。
慣れない声なので、体を起こして高い声を出そうと四苦八苦しています。


■菅原文時

恐縮です…

声のパターンは、前回の文芸館(2020年3月2日放送・堀江敏幸「苦い手」)で登場した製材所の社長さん。2度目なのでわりと力みなく出せました。

 

「文章好みの輩」という人たちがたくさん出てくるので、自分の中でA~Eとしてみました。

■文章好みの輩A

シーンの変わり目にメリハリをつける意味で、とにかく甲高い声の人物をあてがってみました。前回の文芸館(「苦い手」)でやってみた課長の声ですが、話の流れの中でいいアクセントになってくれたと思います。写真を見ると力が入っています。これが自然体でできれば本物、かもしれません。


■文章好みの輩B

やや年配の人物を入れてみました。元の声は、以前の文芸館(「北野大茶湯余録」)に出てきた、主人公の50代くらいの男性。その時よりはいくぶん若めにしています。これはわりとスムーズにできました。


■文章好みの輩C

読み分けにも限界があるので輩も4人くらいかな、と思っていたのですが、やはりもう1人くらい必要と思って、急きょ加えました。地の文以外では、かなり地声に近いです。モチーフは、なにかのNHKスペシャルに出ていた若いイタリア人の男性医師の吹き替えです。


■文章好みの輩D

ダミ声です

元は以前の文芸館(「北野大茶湯余録」)に出てきたガマに似た男。この声で演じると会話がいきいきとしてくる(気がする)のでとても重宝しています。

 

■文章好みの輩E

のども口も大きくふくらませて!

声色は前回の文芸館(「苦い手」)の主人公と同じ。メタボ気味という設定だったので、口をふくらませて作っています。これに関しては、気持ちの問題ではなく本当に体を使って声を出しています。

 

■尼姿の女

実は幽霊でした

初めて担当した文芸館(2011年3月5日放送・いしいしんじ「風呂屋の島田夫妻」)で風呂屋の奥さんの語りを同僚に褒められてから気をよくして?女性の声は毎回楽しく演じています。そういえば女子高生に挑戦したこともありました(2017年2月4日放送・浅井リョウ「水曜日の南階段はきれい」)。

 

■地の語り

ここまで書いておいてなんですが、セリフよりも地の文の方が難しいです。後半は力まず読めたような気がします。

しみじみと
間違えた

 

リハーサル後、番組制作を取り仕切る名古屋放送局の鏡和臣アナウンサーにアクセントや読み方などをチェックしてもらいます。

 

◆これぞラジオの時間!!音響効果の世界へようこそ

耳で聴く短編小説と銘打つだけあって「ラジオ文芸館」はアナウンサーの語りと音響効果の競演!効果さんが趣向を凝らした音楽や音響効果も聴きどころです。

今回、音響効果を担当した大西さんは、収録当日、晴明が板切れで土を掘る“音”を収録。事前に送って頂いた効果音でも全く違和感はなかったのですが、大西さんいわく「スコップで掘っているふうにしか聞こえない」と収録し直すことに。

そういえば、「風呂屋の島田夫妻」でも、効果さんが水着でスタジオのお風呂に入ってお湯があふれる“音”を収録していました。
「ラジオ文芸館」は効果さんの職人魂あふれる番組でもあります。

 

◆ドキドキの試聴そして放送へ

廣田アナ(左)と鏡アナ(右)

制作統括の名古屋放送局・廣田直敬アナウンサーを交えて最終試聴。
 

こうして「ラジオ文芸館」は無事完成・放送されました!
 

放送は終わりましたが、2023年3月13日午前2時まで、インターネットの聴き逃し配信でお聴き頂けます。

https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=0324_07_3846128

よろしければお聴きください。

 

 

 

 

  • 望月豊

    NHK静岡 アナウンサー

    望月豊

    静岡県伊豆の国市出身。1998年入局。大阪放送局時代に「関西発ラジオ深夜便」「ラジオ文芸館」などの番組や、府内の小学校での出前授業など、朗読の番組・企画を数多く手がける。

ページトップに戻る