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藤井聡太五冠の勝負メシ 静岡幻のとろろ!?

牧之原市ふるさとの味 「サガラメ」復活なるか⁉ 
  • 2023年01月19日

懐かしいふるさとの味ってありませんか?

静岡県牧之原市周辺の海域では、地元の地名が由来の海藻「サガラメ」が久しく取れていません。みそ汁に入れると驚くねばりを発揮するこの海藻、復活へはある魚が邪魔をしているというんです。どういうことなんでしょう。

サガラメってどんな味?

サガラメは漢字で書くと「相良布」。牧之原市にある相良地区が名前の由来だそうです。ワカメの仲間で、みそ汁に入れたとろろ汁やタケノコの煮込みなど、ふるさとの味として親しまれてきました。

【勝負メシ】 サガラメ料理は真ん中上のカツオのメマキ(牧之原市提供)

将棋の八大タイトルの1つ「王位戦」が去年9月に牧之原市で開催された際、第1局の勝負メシで、藤井聡太五冠が食べたのが「コロッケランチ」。ここにふるさとの味としてサガラメを使った「カツオのメマキ」が添えられています。サガラメは地元では取れなくなっているため、使われたのは県外産でした。それでも地域の味を知って欲しいと提供された大切な郷土料理なんです。

どんな味がするんでしょうか?

勝負メシを作った牧之原市の民宿を訪ねました。

店主の森田裕さんと中学の同級生だった今村尚史さんが待っていてくれました。

勝負メシ作った森田裕さん(左)と同級生の今村尚史さん

2人は代わる代わる懐かしそうにサガラメの話をしてくれました。

「サガラメは、ここではメと呼んで珍しいものではありませんでした。毎朝、毎晩、みそ汁に入れて食べていました。格別おいしいわけではありませんが、磯の香りがたまりません。昔は浜によく取りに行きました。慣れ親しんだふるさとの味ですね。でも地元のものは、もう何十年も食べてない。とろみは、ここのメが一番で、今でも時期になると食べたくなります」

地域に欠かせないサガラメ

この辺りの海は遠浅で、地域の人たちは海に入ってサガラメなどの海藻を取っていたといいます。牧之原市史料館によると、「かちょり(徒歩採)」。海に歩いて入って取ることをそう呼んでいたそうです。

でも昭和の時代(1990年ごろ)が終わると、次第に取れなくなり、現在、この地域では、サガラメの自生は確認されていません。

昭和30年ごろの「かちょり」の様子(牧之原市史料館所蔵)
森田裕さん提供

幻の地物サガラメ 残ってた!

なんと、なんと、その地物のサガラメが残っているというのです。

森田さんが冷凍庫を探したところ、先代が残してくれた乾燥したサガラメが缶の中にあったといいます。「20年以上前のものだよ。乾燥させてあるからまだ大丈夫。3品作ったよ」と、調理してくれました。同級生の今村さんも驚きの表情、私以上にうれしそうです。

カツオのメマキを調理中
サガラメとタケノコの煮物
細かくしたサガラメをみそ汁に入れる
数分で驚くほどのねばりけが出る

藤井五冠に出した「カツオのメマキ」もさることながら、絶品だったのは、みそ汁です。
小さく切ったサガラメを熱々のみそ汁に入れて数分待つと完成です。

食べると、びっくりするほどのねばねば。よく混ぜた納豆ほどです。そこに甘みと磯の香りが口の中に広がります。心と体が温まる料理でした。ありがとうございました!

「涙でそう。この年になって食べられるとは思ってなかった。これが一番やね」

今村さんの顔には笑顔が広がっていました。これがふるさとの忘れられない味です。

本当にうれしそうでした! よかったですね

サガラメは復活するのか?

なぜ、この味がなくなってしまったんでしょうか。

2人は、口をそろえて次のように話しました。

「はっきりしたことは私たちにはわかりません。ただこの付近の海岸線は昔はもっと砂浜が続いていました。遠浅の美しい海岸線でした。でも今は砂浜がなくなり、海の環境が変わってしまったんじゃないでしょうか。もうサガラメは復活しないんじゃないかと思っています」

確かに目の前の海岸線に砂浜はありません。

民宿前の牧之原市片浜の海岸

サガラメの名前のもとになった相良(さがら)地区の地名は、牧之原市史料館によると、砂が多いことから砂河原(すながわら)を由来だとする説があるそうです。

地域の人たちが忘れられないこの味、そして砂浜は戻ってくるんでしょうか。

笑顔の同級生 こちらも変わらないふるさとの宝ですね

実は、サガラメを使ったふるさとの味や静岡の豊かな海を復活させようと、この10年あまり、取り組んでいる人たちがいます。困難な自然との闘い、希望が見え始めた復活への挑戦は、第2弾でお伝えします。
 

  • 長尾吉郎

    静岡局 ニュースデスク

    長尾吉郎

    1992年NHK入局
    初任地大分局で釣り覚える
    報道局社会部・広報局など
    ヤエンによるイカ釣り好き

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