2018年04月23日 (月)第6投 春は鮒【早坂 隆信】
早坂は決意した。
「必ず、かの大鮒を釣らねばならぬ!」
春はマブナ(ギンブナ)の季節である。
産卵を控えた大型の個体が浅場にやってくる。
一年で最も大物に出会える時期なのだ。
30cm以上のものが大物とされ、釣り人の間では「尺ブナ」と呼ばれている。
桜の咲くころから4月いっぱいくらいまで、シーズンは短い.。
4月某日、マブナ釣り師は近所の川にやってきた。
水深30cmほどの浅場に草がボサボサ。
春はこういうところにフナが隠れているものなのだが、
隠れきれずボサボサの周りをうようよしているのもだいぶいる。
簡単そうだな!
しかし、ボサボサの近くに仕掛けを入れても当たりがない。
魚はそこにいるのに、うんともすんとも。おかしいな。
おーい、エサだぞ。
アタリもないまま、陽が傾いてきた。
日没までに必ず戻ると約束して出てきたのだが、じつにマズイ。
家では怪獣たちが暴れている。
待っている人があるのだ。
「ああ、陽が沈む。ずんずん沈む。」
それでもあきらめきれずにいると、
むむっ、ウキが妙な動き。
何かかかった!
重いのに全然暴れない感じ。
これはどうやらフナに違いないぞ!
大きいフナは動きが極めてにぶい。
岸に寄せながら写真を撮るのも余裕でできる。
やっぱりマブナだ!
それにしても
お前、ずいぶんでかいな!
測ってみよう
うわっ、36cm。
マブナってこんな大きくなるんだ・・・
写真を撮ってサヨウナラ。
40cmになったらまた会おう。
一匹釣れると、帰りたくなくなるのが釣り人というものである。
早坂ほどの男も例外ではない。
「・・・もう一匹くらいすぐ釣れるんじゃないかなあ。」
もぞもぞしているうちに太陽が地平線に没した。
「ああ、待ってくれ!」
釣り人は慌てて帰宅した。
本日の釣果
マブナ36cm・・・1匹
投稿者:早坂 隆信 | 投稿時間:16:41