知事選で相次ぐ保守分裂 福岡では

ことしの統一地方選挙では10の知事選挙が予定されている(2月20日現在)。このうち4つの県では「保守分裂」の選挙になる見込みで、前回とは様相を異にしている。こうした状況はなぜ起こっているのか。

「自分の信念が感じられない。新しい人がいれば、その人に変えるべき」(麻生副総理・財務相)「なぜ引きずり降ろさなきゃいけないのか。われわれは毅然(きぜん)として立ち上がる」(武田元防衛副大臣)
500万の人口を擁する福岡県。今回の県知事選挙で、現職への対応をめぐって自民党が割れている。

 
    

昨年12月、いち早く立候補を表明したのは小川洋知事だった。
「いろんな諸課題、これに果敢に挑戦する、チャレンジする。そして、前進し発展し続ける福岡県、この実現に全力を尽くしていく覚悟だ」(小川知事)

小川氏は8年前の県知事選挙に初めて立候補、自民党や公明党、地元財界などの幅広い支援を受けた。福岡県選出の麻生太郎副総理・財務相の後押しも受けて初当選を果たした。4年前の県知事選挙でも、麻生氏をはじめ自民党などの支援を受けて再選され、今回、3期目を目指している。

しかし2期目の途中から、麻生副総理や自民党県議団が、小川知事には将来の具体的なビジョンがなく、福岡市とも連携がとれていないなどとして批判的な立場に転じ、関係は悪化。このため自民党県連は、若く新しいリーダーで県政を刷新するとして、厚生労働省出身の武内和久氏の擁立を決めた。麻生氏も今回は武内氏の支援に回っている。

「どうやって、福岡を発展させるかというところについては、私なりにもっと強力にできる余地があるんじゃないか、スピード感をもって、強くやっていく領域がまだまだあるんじゃないか」(武内氏)

自民党本部は先月末、県連が推薦を求めていた武内氏と独自に推薦願を出していた小川知事の扱いを検討した結果、武内氏の推薦を決定した。
「県連の決意の堅さ、しん酌して総合的に考えてこういう判断にしました」(自民党・甘利選対委員長)

今月、福岡県内で行われた麻生氏の国政報告会には武内氏も出席。麻生氏は武内氏を支援していく考えを強調した。
「福岡のこれからの未来を考えると、どの候補者を選ぶべきか真剣に。皆さん方の選択だから。無難な人、今はそういう時代じゃありません。スピード感を持って迅速に対応しないといけない時期だ」(麻生副総理・財務相)

一方で自民党内では、県選出の武田良太元防衛副大臣が小川氏支持を明言している。また、山崎拓氏(元副総裁)や古賀誠氏(元幹事長)など、第一線を退いたものの今も政界に影響力を持つ自民党の重鎮たちも支持する考えを表明している。
「人物識見ともに申し分ない。代える理由というのは全くない」(山崎元副総裁)
「何か失政をしているとかね、マイナスになっているというふうには、僕は思えないもんだから。必ず小川さんを応援します」(古賀元幹事長)

県内の各種団体の支持も割れている。日本遺族政治連盟や農政連、医師連盟などは、小川知事を推薦している。一方、看護連盟や薬剤師連盟などは武内氏の推薦を決定してる。

福岡県知事選挙を巡っては、共産党も近く擁立候補を発表することにしている。(動画リポート 福岡放送局記者:池田航大)

【解説】統一地方選の焦点は

 
    

福岡では自民党同士の激しい争いになっているが、今回の統一地方選挙でこうした「保守分裂」の可能性がある知事選挙は、福岡だけではない。どうしてこうした構図の選挙が相次いでいるのか。

背景には、自民党一強の政治情勢が長く続いていることが挙げられる。

自民一強 権力争いが表面化

今回行われる10の知事選挙のうち、保守分裂の可能性がある福井・島根・徳島・福岡の4県は、いずれも、おととしの衆議院選挙で、すべての小選挙区で自民党の候補が勝利している。

過去の統一地方選挙の知事選挙の構図をみてみると、与野党が真っ向から対決となる選挙は、民主党政権が発足する前の平成19年には5つあった。2度の政権交代を挟み、徐々に「与野党対決型」は減って「与野党相乗り」が増えた。今回、与野党対決型は、北海道1つになる見通しだ。自民党一強が続く中で、野党が独自候補を擁立できなくなっていることをうかがわせる。

こうした状況での保守分裂について自民党の甘利選挙対策委員長は、「危機感が薄れている。言ってみれば分裂をする余裕が出てしまっている」と指摘。野党と真っ向から対決する構図とならないことから、自民党内の権力争いが表面化していると言える。

ただ、保守分裂の戦いは地方組織内にしこりを残すおそれもある。夏に控えている参議院選挙に一枚岩で臨めるか、懸念する声も出ている。

「対決型」は北海道

対決型の知事選挙となる見通しの北海道は、自民・公明が推薦する候補に対して、野党側は「野党共闘」で臨む。夏の参議院選挙で野党6党派は、定員1の1人区で候補者の一本化を進める方針で、北海道の戦いはその試金石となる。

また、統一選の前半には41の道府県議選も行われる。地方議員は党の組織の基盤となる。初めて統一地方選挙に臨む立憲民主党や国民民主党が、反転攻勢に向けて基盤を築けるのかが焦点となる。

さらに後半戦に合わせて衆議院の大阪12区と沖縄3区の2つの補欠選挙が行われる。こうした選挙の結果も、その後の安倍首相の政権運営や参議院選挙に影響を与えることも予想される。

大阪では「ダブル選挙」も?

このほか大阪では、大阪府知事選挙と大阪市長選挙のダブル選挙に向けた動きが出ている。いわゆる「大阪都構想」の実現を目指す大阪府の松井知事と大阪市の吉村市長は、こう着状態が続く局面を打開しようと、任期満了を前にそろって辞職し、統一地方選挙の前半にあわせて、知事選挙と市長選挙を前倒しで行う意向だ。松井氏と吉村氏が入れ代わって立候補することで調整しており、大阪都構想の行方を占う選挙となる。(解説 政治部記者:安藤和馬)

【おはよう日本 2月20日放送:この記事は放送を基に再構成したものです】

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