「選挙フェイク」に気をつけて!

選挙の期間中には、候補者の演説や、有権者のSNSなどによってさまざまな情報が発信されますが、なかには誤った情報が特定の候補者を当選、または落選させる目的で発信されるケースもあります。

そうした“選挙フェイク”によって大切な選挙の結果がゆがめられてしまわないように、私たち自身も注意が必要です。

過去にはこんな“選挙フェイク”

“選挙フェイク”に世界的な注目が集まった例としては、アメリカの大統領選挙があります。2016年に行われた大統領選挙では、「ローマ法王がトランプ氏の支持を表明した」「クリントン氏陣営の関係者が人身売買に関わっている」といった、いずれも誤った情報がSNSで拡散し、中には情報を信じた人が発砲事件を起こしたケースもありました。

おととし(2020年)の大統領選挙では、「トランプ氏への票が不正に廃棄された」として、投票用紙が道路に捨てられているように見える写真がSNSで拡散しましたが、まったく別のニュースのものでした。

国内では、おととし行われたいわゆる「大阪都構想」をめぐる住民投票で、「都構想が実現すると消防車が到着する時間が早くなる」「水道料金が引き上げられる」といった主張がチラシやSNSなどで拡散しました。しかしこれらはいずれも根拠が不確かだったため、賛成・反対双方の立場の人たちが互いに「デマだ」と非難しあい、対立を深める状況になりました。

“選挙フェイク” 対策は?

日本の公職選挙法では「虚偽事項公表罪」を規定して、当選させない目的で候補者に関する誤った情報を流した場合、罰金などを科すと定めています。また名誉の棄損や業務の妨害があった場合には、それぞれ罪に問われます。

このほか、「プラットフォーマー」と呼ばれるツイッターやフェイスブックなどSNSの運営企業でも、選挙を妨害するような誤った投稿や、誤解を招く投稿を規約で禁止していて、規約に違反する投稿の削除を要請したりアカウントを停止するといった対策をとっています。

しかし過去にはアカウントを停止された利用者から「表現の自由の侵害だ」という主張があがったこともあり、プラットフォーマーとしてどのような対応が適切なのか、議論が続いています。

私たちが注意することは?

“選挙フェイク”に惑わされないために、私たちはどんなことに気をつければよいのでしょうか。
確認するポイントは次の3つです。

「誰が」発信しているのか。信頼できる人やウェブサイトから発信されているか、根拠となる資料を示しているか、などを確かめましょう。運営元がわからないサイトや、匿名のSNSアカウントが発信している場合には要注意です。

「いつ」発信されたのか。過去に広がった誤った情報が、別の選挙で再びSNSに投稿されることがあります。その情報がいつのものなのか、すでに訂正された情報が繰り返し使われていないか、確かめてみてください。

「一方的な情報」ばかりを自分が見ていないか。ネットやSNSで、自分が信じたい情報や、同じような意見ばかりを見てしまっていないでしょうか。違う立場の人が発信している情報も見て、自分に思い込みや誤解がないか、一度立ち止まって考えてみてください。

自分が“フェイクの加害者”にならないように

情報をよく確かめないまま家族や友だちに話したり、SNSに投稿したりすると、誤った情報をさらに広めてしまうおそれもあります。“選挙フェイク”によく見られる過激なタイトルにつられて、感情にまかせてSNSに投稿してしまわないように、「感情がゆさぶられたときほど拡散するのはちょっと待つ」ことも大切です。

TOPに戻る