選挙を知ろう

「ひらがな」「カタカナ」で好感度アップ?!

白鳥浩さん白鳥浩さん

法政大学大学院教授。「現代政治分析研究」担当。

難しい名前は「ひらがな」や「カタカナ」に!自書式の掟

名前を“ひらがな”で申請する候補者を多くみかけます。これは、日本では有権者が候補者名を自分で書く、“自書式”であることに関係しています。氏名に使われている漢字の画数が多かったり、難しい漢字だったり、漢字では読みかたがわかりにくかったりする場合には、候補者は名前を“ひらがな”で申請することもあるのです。

これは、自分の手で書いて投票する“自書式”ならではのこと。“有権者”という「ユーザー」が難解な漢字を書かなくて済むための「ユーザー・フレンドリー」な配慮であり、そして“候補者”という「サプライ・サイド」の事情からくるものです。選挙運動では、候補者の名前を有権者に覚えてもらわなくてはなりません。候補者は、ビラなどの文書の文字情報だけではなく、テレビや車のスピーカーを通じた音声情報としても発信しています。ダイレクトに音声情報と繋がる“ひらがな”で候補者名を申請した方が、票につながりやすいという事情があるのです。

「足利尊氏」なんて読む?

名前たりともおろそかにしない戦、それが「選挙」

もしも「足利尊氏」という候補がいたとしたら、おそらく「足利たかうじ」あるいは「あしかが たかうじ」といった様に“ひらがな”で登録した方が、選挙戦略上有利かもしれません。

あしかがたかうじの選挙ポスター

一方、沖縄では“ひらがな”と共に“カタカナ”も多く使われているようです。やわらかく見える“ひらがな”よりも、決然として見える“カタカナ”のほうが、力強く心に残るからという側面があるのかもしれません。

候補者の名前一つ取っても、検討すべき多くの側面が存在します。選挙とは、まだまだ奥が深いものであるということを思い知らされるとともに、非常に興味深いものであることもご理解いただけるのではないでしょうか。