選挙を知ろう
偉人の名前で立候補は可能?
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白鳥浩さん
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法政大学大学院教授。「現代政治分析研究」担当。
えっ?歴史上の偉人が選挙に?
ある昼下がり。静寂を打ち破って、選挙カーのスピーカーから大音量で、ウグイス嬢の連呼が聞こえてきます。
「みなさま~、このたび○○県知事選挙に立候補いたしました、お~だ~のぶなが、でございま~す!投票日には、お~だ~、のっぶっなっがっ、とお書きくださ~い。お二階から、ご声援ありがとうございま~す。歩いていらっしゃるお嬢ちゃん、お坊ちゃん、お父さん、お母さんによろしくね~。おだ~のぶながでございま~すぅ・・・」
もし、こんな風に「織田信長」という候補者がいたらどうでしょうか。いそいそと投票所に足を運ぶ、「レキジョ」と呼ばれる歴史好きの女性や、歴史ゲーム・ファンが結構いるんじゃないでしょうか。
「知名度」が勝負!
選挙では「知名度が勝負」である場合が多いといわれています。誰もが知っている歴史上の人物にあやかって、本名とは異なる名前を申請して選挙に臨めば、当選の可能性が高くなることでしょう。“選挙戦略”としてはアリかもしれません。
では本当に「織田信長」や「源義経」といった歴史上の人物の名前で、選挙に臨むことは“可能”なのでしょうか。結論から言えば、不可能ではありません。ただし、一定の条件をクリアすることが必要となるため、簡単ではありません。
そもそも申請された候補者名の適否を判断するのは、それぞれの選挙区の選挙管理委員会。そこで認められるためには、「通称認定の申請」という“候補者がその名称を使用していた実績”が必要となります。これまでに、その名前を使用していたことが認められれば、その名前を使って選挙に臨むことは可能です。
実際、歴史上の人物と同じ名前で選挙を戦ってきた候補者も存在しました。でも有権者としては、歴史上の人物に力を借りず、自らの名前と実力で選挙戦を勝ち抜いてもらいたいものですよね。