選挙を知ろう

【18歳選挙権トリビア】
意外に高かった18~19歳の投票率

河村和徳さん河村和徳さん

東北大学大学院情報科学研究科准教授。共通投票所導入を検討した、総務省投票環境の向上方策等に関する研究会のメンバー。

残念だけど嬉しい!ハズレた予想

総務省が発表した18~19歳の今回の参院選での投票率は45.45%でした。私としては、この投票率は意外に高かったと思っています。総務省発表の年代別投票率によると、20歳代の投票率は1998年の参院選から、30%中ごろで推移してきました。

「過去の経緯から考えれば、18~19歳が投票できるようになったからといっても、40%はいかないだろう」、これが私の予想でした。しかし、結果はもっと高くなりました。

参議院議員選挙における投票率の推移

参照元:総務省 参議院議員通常選挙における年代別投票率の推移

キーは教育と「初物効果」

20歳代の投票率が40%台だったのは、1989年の参院選の時。この時は消費税導入が争点となり、リクルート事件や宇野元首相の女性問題なども選挙戦の焦点となりました。結果、女性の土井たか子党首が率いる日本社会党が躍進し、自民党は結党以来初めて参議院での過半数を失うことになりました。若い世代の投票率が高い時は、だいたい多くの有権者が高い関心を持つ争点があったときです。

1989年消費税導入

1989年消費税導入

それでは、今回の参院選はどうだったでしょうか。与党側はアベノミクスの成果を主張するのに対し、野党側はアベノミクスの批判はしますが対案を出せなかったとされています。野党側は安保法制への反対や改憲阻止を訴えましたが、与党側はその話にはあまり触れませんでした。どちらかと言えば、争点がかみ合わない選挙だったように思えます。

そうした中で、18~19歳の投票率が比較的高かったのは、やはり投票できるようになった「初物効果」に加え、学校などで主権者教育が行われるようになった効果が大きいと思います。

選挙に行こうと思う時期は?

ところで、選挙に行こうという感覚になる時期はいつ頃でしょう。
皆さんのおじいさん、おばあさんの頃は、大人になる過程で政治に気付く場は様々なところにありました。村祭りのとき、青年団の奉仕活動のとき、農作業のとき…成人になる前に、社会活動を通じて政治を学ぶことができました。しかし、今は大学進学率が高まり、20歳になっても社会に出ていない人の方が多いのが現状です。

最近の若者世代の多くは、「初めて子宝に恵まれたとき」に初めて政治と向き合うようになる、と私は思っています。子どもが生まれると、「近くに産婦人科はあるのかしら」「子どもを預けて仕事できるかな」「私たちの町の教育環境はどうだろう」と不安が生まれます。これらは、自分や家族だけで解決できる問題ではありません。そこで「政治・行政にお願いしないと」という発想が芽生え、政治に向き合おうとするのでは、と思うのです。

むしろ今がスタート

主権者教育の成果がある程度表れてよかった、と思う人もいますが、私としてはむしろ“今がスタート”と思っています。今回の選挙は18~19歳が初めて参加できる選挙でしたが、これからは「それが当たり前」になります。「初物効果」は徐々に失われていくので、新有権者が選挙に行くよう、私たち大人は刺激を与え続ける必要があります。

また、若者の投票への義務感を高めるにはどうしたらよいかも考える必要があります。「初めてなので今回は投票所に行ったけれども、次はもういいや」にならないよう、投票に行くことを習慣化させ、投票義務感を育てる。このことについても、私たちは知恵を絞っていかなければなりません。