選挙を知ろう

投票日に投票できない場合は?

河村和徳河村和徳さん

東北大学大学院情報科学研究科准教授。共通投票所導入を検討した、総務省投票環境の向上方策等に関する研究会のメンバー。

人気の「期日前投票制度」

日本の投票日は、基本的に「日曜日」。多くの人にとっては休日ですが、デパートの店員など、日曜日が仕事の人や、日曜日に出張というビジネスマンもいます。「投票日なのに投票できない」という人たちは、どうしたらいいでしょうか。

そういった人たちのために、「不在者投票制度」「期日前投票制度」があります。以前は「不在者投票制度」だけでしたが、より投票しやすくなるように2003年から、「期日前投票制度」が導入されました。

不在者投票制度:
選挙期間中、名簿登録地以外の市区町村にいる場合に、滞在先の選挙管理委員会で不在者投票ができる。

期日前投票制度:
選挙日に投票に行けない場合などに、公示(告示)の翌日から投票日の前日まで、投票できる。ただし、選挙人名簿登録地の市区町村で行う。

最近、この期日前投票を利用する人が増加する傾向にあり、その使われ方も多様化してきています。たとえば、「私は○○党員だから、投票先をもう決めている」というような人の中には、選挙運動に専念するために、期日前投票の初日に投票をさっさと済ませてしまう人もいます。

それから、天気を先読みして、期日前投票をする人もいます。荒天だと家から出るのもおっくうになりますし、投票所に行くまでも大変ですよね。そこで、天気予報で「投票日に台風が来そう」とか「大雪になりそう」といった情報が流れたとき、「晴れているうちに投票に行こう」と期日前投票を利用する人が増えるのです。選挙管理委員会によっては、「投票日は天候が悪くなりそうだから、期日前投票をしてください」と促すところもあるそうです。

「期日前投票制度」

気軽な「ついで投票」

期日前投票の利用者が増えている背景に、期日前投票所が便利なところに設置されていることもあります。大型商業施設や大学、ターミナル駅などに期日前投票所が設置されていたら、「買い物ついでにちょっと投票しよう」「授業の空き時間に投票しておこう」という気持ちになりやすい。「ついで投票」です。人が集まりやすいところに期日前投票所を設置している秋田県では、利用率が全国より高くなる傾向があるそうです。

便利な「期日前投票」ですが、投票できるのは「投票日前日まで」でした。「投票日当日」は、選挙管理委員会が指定した一つの投票所でしか投票ができませんでした。しかし、公職選挙法の改正により、「共通投票所」を2016年の参議院選から設置できるようになりました。投票日当日も、期日前投票所が置かれているような便利な投票所で、投票できるようになったのです。

「共通投票所」導入のメリットとは?

共通投票所を導入するメリットはいくつかあります。
1つは期日前投票と同じく、「ついで投票」を促す点。もし、大型商業施設に共通投票所が設置されたらどうでしょう。日曜日に大規模駐車場を備えている大型商業施設に買い物に行く人は少なくありません。政治に関心のなさそうな人でも「ちょっと投票しようか」という気になるかもしれません。

また、「つれ投票」を促すという点も指摘できます。大学生や社会人になって「知らない場所で一人暮らし」という人にとって、知り合いのいない投票所にはなかなか足を運びづらいと思います。しかし、共通投票所なら、同じ区域内であれば投票区が違っても一緒に投票所に行くことができます。友人や同僚と誘い合わせて投票所に行くことができるのです。

「共通投票所」導入のメリットとは

投票率が低下する中、今まで以上に投票に気楽に行ける環境をつくる必要があると思います。共通投票所制度の創設は、そうした取り組みの一環なのです。