宮城の方言『いきなり』を調べてほしい!

今回のみやぎUP-DATEでは、こちらの投稿にお応えします!

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宮城では「急に」だけでなく「とても」という意味でも使われる「いきなり」。
人によっては「いぎなり」や「いぎなし」など少し濁って発音したりもしますよね。
一体どんなルーツがあるのか、調査してきました!


どんな時に使ってる?

どんな時に使う言葉なのか、まずは街中でインタビュー!

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安藤さん
「街のみなさんがどんな時に『いきなり』を使うのか、聞いてみたいと思います!」


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「いきなり暑い! 最近いきなり暑い!」
「いぎなり疲れた。」
「『いきなりおいしいよ』とか、感情マックスの時に使うことが多いです。」

感情が高ぶったときに使われることの多い「いきなり」。
ただ、「いきなり」は標準語では「突然に」や「急に」という意味。
どうして宮城では「とても」や「すごく」という意味で使うようになったのでしょう?

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「いきなり」といえば…

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「こんばんは!
うちら、みちのくのスターダスト、いぎなり東北産だっちゃ!よろしくお願いします!」

「いぎなり東北産」は宮城を拠点に活動する9人組のアイドルグループで、メンバー全員が東北出身。
その中で宮城出身(宮城産)の橘さんと吉瀬さんに来ていただきました!

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まずはグループ名「いぎなり東北産」の「いぎなり」にどんな意味が込められているのか聞いてみました。

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橘さん
「メンバー全員が東北出身なので、純度100%の『めっちゃ』東北産です!という意味を込めて『いぎなり東北産』と名乗っています。」



さて、ここからが本題!
どうして宮城では「とても」の意味で使われているのか、お二人に考えてもらいました。

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「いぎなり、いぎなし…『異議なし!』」
「あ、異議ないよ、みたいな?」

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「誰も異議ないくらい『とっても』そうだよ、みたいな笑」
「あー、確かにね。異議ないくらいみんなが賛成する。あるかもしれない笑」


飛び出したのはまさかの「異議なし」説!


専門家に聞いてみた!

二人の説は正しいのか?
東北大学で「いきなり」を研究していた、大阪教育大学准教授の櫛引 祐希子先生に聞きました。

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櫛引先生
「ほかの人たちを寄せ付けないような勢いを感じるということでそういう解釈をされたんだと思いますが、残念ながらちょっと違うんです。」

いぎなり東北産のお二人、残念!
では、宮城の方言「いきなり」にはいったいどんないわれがあるのでしょうか?

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櫛引先生
「“とても”という意味の『いきなり』のルーツは、“突然に”とか“急に”という意味の標準語の『いきなり』なんです。

たとえば標準語の『いきなり』のほうは、事前に予想していなかった出来事が起きるときに使われます。
前もって予想していなかった出来事に遭遇するときというのは、非常に“状況の変化”が激しい時なんですよね。

一方、“とても”という意味の『いきなり』。
例えばとてもおいしいケーキを食べたとき『いきなりおいしい!』というふうに使うわけなんですけれども、自分が思っていた以上においしい、その“程度の大きさ”ですね。

つまり標準語の『いきなり』があらわしていた“変化の激しさ”、仙台方言のほうはその激しさの部分によりフォーカスしてどんどん“程度の大きさ”に変化していったと考えれられています。」


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標準語の「いきなり」のもつ「激しさや勢い」というニュアンスが、「とても」という意味に変化していったのですね。


どうして宮城で方言に?

なぜ宮城でこのような変化が起こったのでしょうか?

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櫛引先生
「1つ考えられるのは、仙台の地域性ですね。
仙台という地域は東北の中でも一番大きな都市です。
ですから様々な地域の人たちがやってきて、そこで暮らしていく。
(会話が)通じやすいように、県外の方にはなるべく方言を使わないようにしようという意識があって、標準語と同じ形の『いきなり』を使おうという、通じるだろうという意識のもと、気づかないで方言として使っていたのではないかと考えられます。」

標準語と宮城の方言では意味は違うけど、言葉は同じだから通じるだろうということで、宮城で広まっていったのではないかと先生は仰っていました。


いつから使われてるの?

「とても」というような意味のいきなりですが、1938年に書かれた「仙台の方言」という本には「いきなり押しんすな(乱暴に押すな)」という「乱暴に」という意味のいきなりが紹介されています。

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乱暴にという言葉にも、激しさのニュアンスがありますよね。
少なくともこの本が書かれた昭和初期には現在の「とても」と同じような使い方の「いきなり」が使われていたと考えられています。


安藤のひとこと。

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安藤さん
「同じ言葉でも意味が異なる、隠れた方言のようなものがあるんだなと感じました。
みなさんも地域ならではの言葉のニュアンスを再発見して、ぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。」





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